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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

人が安定しないと何も始まらない

2015-08-31 20:47:21 | 馬が好き
乗馬にいく。
気がつけば8月もおわり。まあ小中学生でもないし、宿題仕上げなきゃとか、そういうプレッシャーはないけどね。
きょうは小雨模様だけど、気温は24度くらいまでしか上がんない9月下旬の陽気というので、運動するにはラク。
しかし、馬のみなさんは昨日まで試合があったとかで、今日もやっぱ軽めの運動で終わろうということらしい。

さて、きょうの馬は、メイショウダイクン、はじめて。
初めての馬に乗るのは、緊張する一面もあるけど(←特にサラブレッドはね)、楽しみのほうが大きい、どんな馬だろ。
何度かほかの人が乗ってるのを、チラッと見たことある気もするけど、はっきりした記憶がない。私よりうまい人ばかり乗ってるようだったので、自分にこの馬まわってくるとは思ってなかったから。
乗ってる人への先生のアドバイスも、「そーゆーとき、もうすこし、そこをそーしてみて」みたいな、私にはわからない内容だったような気がしたし。
当たって砕けろと、馬房から出してみるが、馬装してる感じでは、おとなしい。不穏なとこ、ない。まあ、みんな、そうだけど。

ところがところが、またがって、馬場へ行こうとすると、めずらしいことに、厩舎地区を向こうから放馬した馬がやってくる。
こっれは怖いぞぉ、と思うんだが、逃げる場所もないんで、なるべく平静を装う。寄ってくるかとも思ったが、向こうが避けてったので、とくに危ない場面にはならず。ちょっと興奮してるようにも見えるけど、まあムダに飛んだり跳ねたりしなかったので、安心する。いい馬かもしれない。
時間どおり馬場に入ったつもりだったのに、一番乗り。ほかのひとそろうまで、しばらくある。

よくよく考えたら、きょうはみんな一人一頭の割り当て、初級者のひとも自分で全部馬装しなきゃいけないし、そのへん少し手間取ってたのかもしれない、ほかのひとも手伝ったりしてたのかもしれない、私はそんなこと知らん顔でサッサと来ちゃったけど。
手綱伸ばしたまま、アブミもはかず、グルグル常歩する。勢いよく歩く、止まったりしない、勝手に曲がったりしない、隅角を内回りせず放っておいても奥までいく、いい馬かもしれない。
馬上体操する。最近の私は、定番の馬上体操ぢゃなくて、手足の関節をなるべくブルブル震わせるようにすることをしてる。筋肉や腱を伸ばそうとするんぢゃなくて、関節を動かしたい、イメージとしてはマエケン体操を乗馬に応用できないかなって感じ。

ようやく人馬がそろったようで、隊列になる。後ろへ後ろへまわってったつもりが、いつの間にか先頭に立たされる。うーん、しゃあないか、でも知らないよー、初めての馬だから、ペースむちゃくちゃになったり図形グニャグニャになってもー。
速歩スタート、軽速歩。きょうはなんとなくアブミがひとつくらい短め、短くして踏んづけていきたい感じがしたから。
もうちょっとだけ前に出てくれるかな、って脚をつかう。あらら、意外とストライドが小さく、ちょこちょこっとしちゃう感じ。うまく動かせてないけど、なんせ先頭なんで、とにかく前に。
何度か手前を替えたりして、こんどは輪乗り。「もうすこしコンタクトをとって。明確に求めるとか、ジワーッとつかうとか、いろいろやってみて」ということだが、確かになんだか頼りない。でも、前に出てる感じがしないんで、そもそも。
こういう感じのとき、急に手でどうこうしようとしても、アタマ上がってきちゃったり止まっちゃったりってことが容易に想像されるので、とにかくまずは前に。前に出てないのに内向けようとしてはいけない、輪乗りでも真っ直ぐ前進してることが必要。
そしたら、きょうはすぐに駈歩が命ぜられる。いまいち出がよくない、詰められてなかったからね速歩のうちに。
出たかと思ったら、いまいちパランパラン、なんちゃって駈歩な気がする、後肢が全然踏み込んできてないよ。「もっと動かして、キックか、シートしてみるか、いろいろやって」 はいー。
駈歩弱いとつい手で強くコンタクトしようとして引っ張っちゃうのが私の悪癖なんだけど、そこをじゃましないようにしといて、脚つかってく。カラダを揺するんぢゃなくて、馬といっしょに動いてくつもりで脚を追い抜いていくべく動いてく。
どうにかリズムが整ってきた、そうなると気持ちいい駈歩してくれる。脚に反応してくれたらホメるを繰り返す。

手前替えた輪乗りでの駈歩、こんどは発進もさっきよりよい、なんか馬のやる気スイッチが入ってきた気がする。
蹄跡に出て、ツーポイント。最初立ち上がったあと、勢いが落ちた気がしたので、脚。そのあとは、もう何もしなくてもズンズン進んでくれる。ジャマしない場所探して、アブミに立つ。
おいおい、勢い良過ぎだな、と思って、声をかけながら乗る。ときどきおさえる、引っ張りあいにならないように、すこしスピードダウンした瞬間に手の力ゆるめる。
ちょっと速過ぎるかなあと後ろの様子をうかがうが、7,8頭の部班で蹄跡の駈歩をするとなると、先頭は遅いと後ろで渋滞が起きるので、かまわずいく。「いいペースですよ」と一度言われる。自信もって継続する。
けっこう長くツーポイントする、いい駈歩が続く、ラクで気持ちいい。でも、油断すると長蹄跡でどんどんスピードが上がっちゃいそうな気がする。
こういうとき、サラブレッドに乗ってると、競走馬時代の記憶がよみがえってガンガンいっちゃうんぢゃないかという一抹の不安がアタマをよぎる、特に初めての馬の場合なんかはね。ギャロップで走ったときのスピードを体感したことがない、止める方法知らないし自信ないってのは、シロウトの弱みである。
でも、まあそんな激走するはずもなく、楽しい駈歩をしてるうちに、おしまい。十分、クールダウンしてから、帰る。

きょうの練習、終わってから思い起こしてみるに、最初のコンタクトうまくとれてないとこでは、前に出てない・出てるの感じ取れないっていうより、人間の安定が足りなかったんだろうという結論に至る。
そのあと駈歩で、鞍にはまり込んでいくべく、馬と同調して動こうとしているうちに、だいぶ馬と重心が一致してきたし、人が安定してきた、そこでハミうけがすこしずつできてきたように思う。
どの馬でもそうだけど、この馬の場合は特に、人が安定しないと、いいものを全然みせてくれない、って感じがした。教わるところがいっぱいあったな、いい馬だ。

手入れしたあと、サラブレッドだから食わないかもなって半信半疑でリンゴやったら、食った。いい馬だ。
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奇病連盟

2015-08-27 20:36:09 | 読んだ本
北杜夫 昭和49年 新潮文庫版
前回から、奇病つながり、というわけでもないが。
けっこうとってあって、いまになって読み返している北杜夫の文庫本、持ってるのは昭和56年の16刷、そのころ読んだんだろう。
主人公の山高武平(ヤマタカブヘイ)は37歳独身の男。
ジャーナリストになるのが夢だったが、一流新聞社・出版社の新卒採用には落ち、小さい出版社に何度か勤めるが、入社するたびにその会社がつぶれていくという不運の持ち主で、いまは製薬会社で薄っぺらなPR誌の編集をしている。
で、彼の奇病というのが、歩きはじめるとしばらくのあいだ、四歩目ごとに爪先だちでピョコリと伸びあがる、そうしないと歩けない。緊張しているときとか、長く座ったあと立ち上がって歩き出すときとかは、特にひどい。
医者の見立てでは、強迫神経症の一症状で、実はこの癖が出たのは三年前からだけど、それ以前は靴ひもを何度も結び直さないと歩きだせないという、やっぱり強迫神経症だった。
そんなヘンな癖が、なんだかわからないけど財界の黒幕で、66歳だけどやたら健康で病気ひとつしない、会長と呼ばれる人物がつくった、奇病連盟のスカウトの目にとまる。
奇病連盟の会員は、たしかに変わった症状の持ち主ばかりだが、特に悲惨という感じのしない種類の病人が集められてて、わりと明るい雰囲気である。
でも、奇病連盟の活動はそれほど詳細にわたって展開されてくわけぢゃなくて、そこに誘われたのを契機に、会長の若い娘に妙に気に入られたり、むかしの彼女とヨリが戻りそうになったり、っていう武平の生活のほうが主の物語である。
最後、新しい道を歩み出すとこで、
>大体サラリーマンにとって一番嬉しいのは、入社したとき、上役がバナナの皮に辷って転ぶのを見るとき、自発的に辞表を出すときだ。
って一文があるんだけど、そりゃやってみたいもんだね。
どうでもいいけど、巻末の解説によれば、この小説は1966年10月から半年間、朝日新聞に連載されてたものらしい。
いま新聞にどういうものが連載されてるかは知らないけど、今ぢゃちょっとウケないんぢゃないかな、こういうの、って思う。昭和な感じのユーモア。

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夢遊病者の姪

2015-08-26 20:48:15 | 読んだ本
E・S・ガードナー/宇野利泰訳 1976年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
持ってるのは1991年の8刷、あるだけ読み返してる推理小説、ペリイ・メイスンのシリーズ、発表は1936年の古典。
原題は「THE CASE OF THE SLEEPWALKER'S NIECE」。邦題を一見したとき私は、夢遊病になった姪の話(夢遊病者は姪にかかる形容)かと思ったんだが(表紙の画の印象もあるだろうけど)、ちがった。
夢遊病に悩む金持ちの伯父のことで、メイスンのとこに相談に来たのが24歳の姪。伯父は夢遊病の発作のさなかに、肉切りナイフを戸棚から取り出したってんだから、物騒だ。
その伯父は離婚の争いの最中だけど、妻もなかなかしたたかで、離婚して毎月定額の手当をもらうより、夫は精神錯乱だから全財産は差し押さえ・自分が管理するって具合に話をもってくほうが儲かると考えている。
で、その夢遊病の伯父の兄弟やら共同経営者やらが出てきて、いったいこのなかの誰が何の理由で殺されるんだろうと不思議に思うとこもあったんだが、ちゃんと事件は発生する。
メイスンは、依頼人を守るために、例によって危ない橋をわたるようなまねをするわけで、凶器のナイフの存在についてちょっとしたワザを仕掛けようとするんだが、失敗して自らの立場を窮地に追いやってしまったかのように見えたりするとこが、なかなかスリリング。
終盤は、ちゃんと法廷シーンがあって、私の好きな「異議があります。不適格にして関連性がなく、重要性を欠く質問として、異議を申し立てます」みたいなやりとりと反対尋問の応酬があったりして、このシリーズらしい戦いがみられる。
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乗りやすい馬に、ヘタに乗る

2015-08-24 19:29:32 | 馬が好き
乗馬にいく。
きょうは少し涼しく感じる、予想は29度らしい。雲が多いけど、台風が来なくて何よりだ。台風が二つ近づいて来てるらしいけど、私と関わりあいのあるとこにぶつかってないのは、ラッキーとしか言いようがない。

きょうの馬はポートマジン。
あれれ?たてがみ刈っちゃってるぅ? まあ、この馬は汗っかきだからなー、馬が過ごしやすければそれでいーんだけど。
で、先週なんだが知らないけど(たぶん少年たちの試合とか?)かなり働いたので、本日の練習は軽くと。いいねえ、軽くやるの得意。

二人で一頭乗るうちの一鞍目。開始5分前くらいに馬場に入って、手綱伸ばしたまま常歩してると、一鞍目は部班しないというんで、広いほうに出てく。
運動を命ぜられたのは20分くらいの時間でということなので、常歩はもういいことにして、5分手綱伸ばしたままユルユルと軽速歩する。
手綱ちゃんともって5分速歩する。そのあと5分駈歩。
駈歩の前に、停止から3歩後退しようとしたら、下がんないよマジンくん。前に出る気満々なのはいつも助かるんだけど、ときどき止まんなくなる感じになって弱っちゃうんだよね。
駈歩はいっしょけんめ前に出てくれるし、真っ直ぐ歩度伸ばそうとしたら、いー感じで駈けてくんで、楽しいんだが。
最後の5分は、速歩で、次に乗る人のことも一応慮って、ブレーキ利くか確認する時間にすることにする。
ところが、なかなかうまくいかない。引っ張りあいになって、いまにもガーッといっちゃいそう。
どうですか、という先生に、「ブレーキ利きません」と答える。
人間の動きが硬い、止まってる、もっと鞍にはまりこんでいくように動いて、胸張ってふところは深く、動いていくなかで馬をコントロールして、みたいなこと言われて、へそが脚を追い抜いていくように、馬より先に先に動いていくようにって感じで乗っていく。
ポートマジンは、反撞とかそんななくて乗りやすいかわりに、ついつい逆に鞍の上でベターっと静止しがちになっちゃう、こっちが。カラダを止めて、手を引っ張るから、馬とケンカになっちゃうんだろう。
ユラリユラリと馬の上で揺れてくなかで拳を安定すること考えて動かしてるうちに、おしまい。
でも、前より、アタマ下のほうにぶら下がってくような感じが少ない、乗りやすくなった気がする、ポートマジン。
乗り替わって、ひとの乗ってるの見てても、なんかマジメに走るなあマジンくんは、って思う。

二鞍目の部班も30分足らずで終了。帰って、洗って、リンゴやって、おしまい。
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ブルートレイン殺人事件

2015-08-20 20:21:13 | 読んだ本
アガサ・クリスティ/中村妙子訳 昭和58年 新潮文庫版
持ってる数少ないけど、あるだけ読み返してみようとしてる推理小説。
文庫の初版持ってるけど、当時なんで読もうとしたのかは分かんない。たぶん書店で文庫の新刊が目についたからってだけだとは思う。
どうでもいいけど今回私がこれ読み返したのは、こないだ7月の名古屋への行き帰りの車中だったりする。前回からは、強引に、列車つながりといったとこか。
原題は「The Mystery of the Blue Train」で、そのまんま。リヴィエラ行きのブルートレインのなかで事件が起きる。
登場人物のひとり、美しい目をもち誰にでも好かれる女性キャサリン・グレイは、10年間コンパニオンとして身近で世話をしていた老婦人から多額の遺産を贈られる。
それがちょっとしたニュースになり、急に親戚が増えちゃったりするんだが、まあこれを機に社交界に出るのも悪くないかと、リヴィエラに従姉の子爵夫人を訪ねていく途中で、事件に巻き込まれる。
と言っても、直接のトラブルが身に起こるのは、一緒に乗り合わせていて、ちょっとしたことから悩み事の打ち明け話をしてきた、億万長者の家族のほうである。
そっちの夫婦は離婚間近といった状況なんだが、いますぐ別れるとなると、経済的に困ったことになるとか名家を引き継ぐ機会をふいにするとか、あまり好ましくないタイミング。それでいて、夫も妻もそれぞれ愛人がいること分かってるんで、争うとなると一方的に有利に立てないというドロドロ状態。
で、名探偵ポアロが登場するんだが、彼もたまたまその特急に乗り合わせただけ。殺人事件が起きたと聞くと、誰も依頼してないのに「お手伝いできることがあったらと思って」と警察署長を訪ねてくるおせっかいぶりである。
そのちょっと前に、列車内でキャサリンが探偵小説を持っているのをみて、どうして探偵小説が好まれるのかと話しかける。そして、現実にはない出来事だろうけど、フィクション読むと刺激があるというキャサリンの意見に対して、
>そうしたことは、ときとしてじっさいに起るものです
とか、
>あなたご自身、何かの事件に巻きこまれないともかぎりませんよ
とか不吉なことを言っちゃあ、さらに、
>あなたは何か興味ある出来事が起るといいと憧れていらっしゃる(略)“欲すれば、すなわち与えられる”―これです!何かが起らないと、はたして誰にいえましょう?
なんて言って得意になってる。そりゃ、あんた自身のことだろう。
で、結局、事件に巻きこまれてく彼女に対して、「これこそ、われわれ二人の“探偵小説”ですからね。ごいっしょに捜査に当ろうじゃありませんか」なんて言うんである、困ったもんだ。
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