テレビ・ラジオで近々放送される予定の注目番組
[地デ] 8月19日(水) 22 : 00 ~ 22 : 49 NHK総合『バナナ♪ゼロミュージック』
バナナマンMCによるNHK音楽情報番組の第2弾。乃木坂から生駒里奈、白石麻衣、松村沙友理が出演。
ナタリーの関連記事
[地デ] 8月19日(水) 26 : 15 ~ 26 : 30 テレビ朝日『ちょいアゲ↑スイッチ』
深夜2時15分から始まる15分番組に、秋元真夏と高山一実が出演。12日(水)と19日(水)の2週連続企画。
テレビ朝日の番組公式サイト
[地デ] 8月21日(金) 09 : 28 ~ テレビ東京『7スタライブ』
毎週金曜午前に放送される情報番組内の「マイライク」コーナーに、衛藤美彩が、7日、14日、21日、28日に連続して出演。5分ほどの短いコーナーながら、出身県である大分の郷土料理を食べ、お酒を飲み、カウンター越しにマスターと語るなど、吉田類ばりの、かなり濃ゆい内容(笑)。好評だった『乃木坂工事中』の1人飲み企画がオファーを呼び寄せたのかも。お酒の似合う「大人なアイドル」って、かつてないジャンルで、みさ先輩には新しい世界を切り開いて欲しい。
テレ東の番組公式サイト
衛藤美彩の2015/07/31_23:00ブログ
『しくじり先生』で高山一実が涙の大活躍!「1人家飲み」は衛藤美彩がセクシーの新分野を開拓 [26May15]
乃木坂出演番組をさらに知りたい方は、以下のページをご覧下さい。
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 22Apr15 ~ レギュラー出演番組
12枚目「太陽ノック」収録のペアPVを全部鑑賞しました。
今日は、私が面白いと感じたベスト5を、順に紹介します。
あくまで個人の感想なので、PV談義のネタや、初回限定盤購入の参考くらいの感じで、軽め目に読んで頂ければ幸いです(笑)。
[5位] 生駒里奈&井上小百合
「踊るバカ、神様の嫉妬」
監督・脚本・撮影・編集:熊坂出
初回限定盤TypeA収録
ダンスの練習に打ち込む二人の少女が、互いに親友ながら、1人の男性を同時に好きになってしまい、その恋の行方がドラマの中核になっています。
親友にあなたの彼氏が好きなんだと打ち明けたり、その彼氏に告白したり、「実は私ね、」的な会話をつないで進む、割とよくあるタイプの恋愛劇です。
こういった「打ち明け」や「告白」のシーンが視聴者を魅了するかどうかは、役者の演技力次第という面があるのだけど、生駒里奈と井上小百合は、舞台、ドラマ、映画への出演はあるものの、役者としてのキャリアはまだ浅い。
一方、相手役の藤原季節は、『人狼ゲーム ビーストサイド』(熊坂出監督)や『新宿スワン』(園子温監督)など、多数の映画に出演するプロの俳優です。
その結果、彼が絡むシーンは何とか様になっているものの、生駒ちゃんとさゆにゃん二人だけのやりとりは、観ていて「うっ、うん」と、ちょっと肩に力が入ってしまう場面がある(笑)。
決して下手ではないのだけど、揺れ動く微妙な心理を表現するには、かなり高度な演技力が必要で、芝居としては、どうしても物足りなさが残ります。
もし、この作品が、ダンス好き女子高校生の恋愛模様を追っているだけなら、そういった物足りなさもあって、あまり面白いとは感じなかったでしょう。
しかし、表現したいテーマはもっと別のところにあるようです。
そして、そのテーマを明示する二つのダンスがとても印象的で、演技面でのぎこちなさを帳消しにして、作品を見応えのあるものにしています。
一つは、生駒里奈が、告白してフラれた後、井上小百合の前で踊るダンス。
無の境地を思わせる静かな表情、宗教的な雰囲気すら漂う体の動きが、瑞々しくも、神秘的な魅力を放ち、ありふれた日常の光景を、何か別の、張りつめたものに変えてしまう。
この神に捧げるかのようなダンスを境に、非日常的な空気が流れ込み、ドラマは違ったメロディを奏で始めます。
生駒里奈のダンスを目撃した井上小百合は、心に強い感情が生まれ、彼氏と別れることを決意する。
足りないの、今の私じゃ足りないの、ダンス!
という台詞は、別れの理由として、もちろん意味不明で、彼氏も納得出来ない表情を浮かべます。
しかし、ドラマを観ている側は、神々しい生駒のダンスから、井上小百合の内面に芽生えた気持ちを理解し、この言葉を味わうことが出来て、物語に引き込まれていく。
神様の寵愛を受けているかに見える親友への「嫉妬」、さらに、彼氏という存在に頼り、ダンスにすべてを捧げられない自分の弱さが、心に重くのしかかってくる。
彼氏に別れを告げた後、井上小百合が1人で踊ります。
これが二つ目のダンスです。
生駒里奈のダンスとは異なり、どこか苦しげで、何かに飢えているような表情を見せながら、大きく手足を動かす。
自分を無にして、神に捧げるダンスではなく、神の関心を自分に引きつけようと足掻くような、人間的な感情に溢れたダンス。
生駒里奈の「空」のダンスと、井上小百合の「色」のダンス。
鮮やかな対比を見せる二つのダンスが、踊りという芸術を巡る「バカ」と「嫉妬」の物語を浮き彫りにして、ドラマ全体を輝かせていると感じました。
ちなみに、井上小百合は、
あっ、作品中のダンスは、全部自分で考えた創作ダンスです
とブログに書いています。
ダンスこそが、PVの重要ポイントになっているので、凄いですね、これは。
作品のテーマや構成が意欲的で、二つの印象的なダンスがそれを上手く提示している。
5位の評価は低過ぎで、もっと高い順位にすべきじゃないかと、かなり迷いました。
ただ、乃木坂ファンとして、生駒ちゃんとさゆにゃんの可愛さをあざとく放り込むような(笑)、アイドル的魅力の「見せ場」があれば、もっとテンションが上がったと思います。
メンバーのキュートな魅力が溢れているなら、作品そのものの出来不出来に関わらず、ついつい高評価をしてしまうのがファンの悲しい性です。
逆に、ユーモアやビジュアルアピールを抑えたガチのドラマだと、物語展開の面白さや追求するテーマの深さだけで観ることになり、どうしても少し辛口になってしまうんですね。
「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」MVは、多くのファンが支持するドラマ系MVですが、齋藤飛鳥の天使風舞台衣装を伊藤万理華が繕ってあげるシーンでの、この世のものと思えない、あしゅの壮絶な美しさは、高評価を呼び込む重要な因子の一つになっている。
アイドルのPVは、こういった確信犯的な「見せ場」があった方が、繰り返し鑑賞される確率が高まるんじゃないでしょうか
藤原季節の紹介ページ
井上小百合の2015/07/11_18:42ブログ
[4位] 中元日芽香&能條愛未
「Study of Idol」
演出・編集:山本篤彦
プロデューサー:澤辺翔太
初回限定盤TypeA収録
前半が教室の机に座り、出されるお題にフリップで回答するバラエティ、後半はオリジナル曲を歌う音楽シーンで、笑いあり、歌あり、二人の可愛さありと、お楽しみが幕の内弁当のように詰まった、バランスの良い秀逸な作品だと思います。
バラエティ部分では、中元日芽香が普通の答えを出したあと、能條愛未がボケて落とすのが基本の流れになっていて、まず、このコンビネーションが良い。
冒頭、本物の猫である「にゃんこ先生が」が教卓に上り、
「能條さん、アイドルとはにゃんですか?」
と問いかけると、
「え~、笑顔の・・・宅配便」
静々答えるものの、間髪を入れず、というより、「便」に被せて、先生が決然と
「アイドルは可愛いが全てニャ!」。
底の浅さが心地良い、小賢しさ全開のアイドル観と(笑)、それを即座に否定される絶妙の間合い。
さらに、にゃんこ先生の「正解」を受けて、目を丸くして、感服しながら頷く中元日芽香と、「ああ~、そっちの感じ?」とやや面食らっている能條愛未。
最高に面白いです。
にゃんこ先生の言葉は、テロップで入るのですが、これが非常に効果的に使われている。
一匹の猫がとある家屋の前で、木製ドアの入り口を見つめている写真から、猫の気持ちを想像して答えるお題で、
「この家、昔よく、ピンポンダッシュしに行ってたなあ」
と答える能條さんに対して、
「手、届くかニャ?」
とのテロップ(笑)。
「ピンポンダッシュはダメ!」じゃなくて、そこなの?、というズレ感も含め、よく練られたツッコミだと思います。
それにしても、ジョンソンさんの、アイドルにあるまじき、適度な「やさぐれ」ぶりが堪りません。
猫の表情、台詞の内容、やりとりのテンポなど、随所に相当な作り込みを感じさせ、それらが、二人の可愛さを上手く引き出している。
とくに、合間合間に入る、猫と二人のツーショット写真(?)は、飛び抜けたクオリティで、びっくりするほど、中元能條のキュートが溢れ出ています。
にゃんこ先生の言うように、結局、アイドルPVの最終目的は、メンバーの可愛さを炸裂させることで、この作品は、余計な寄り道を省いて、真っ直ぐにその目標に突き進んでいます。
おそらく、台詞と脚本を考え抜き、相当数の写真や映像カットを撮影し、慎重な編集で仕上げた筈で、クリエーターの可愛いを演出する情熱が、画面から伝わってきます。
そもそも、こちらが欲しい表情を猫にさせることに苦労するわけで、作品中、にゃんこ先生が絶妙な表情を連発すること自体が、素晴らしい仕事だと思います。
そして、後半、二人が別々の小さな段ボールに、しゃがんで入り、「猫の目パンデミック」という曲を歌います。
ご承知の通り、中元能條は乃木團のボーカルで、二人とも高い歌唱力を持っています。
そのため、歌部分に本人の地声があまり加工されることなく使われていて、心に響く可愛い音楽になっている。
やはり、機械で弄らない生声は、パワーが違います、もちろん歌が下手だと話にならないけど(笑)、この二人は乃木坂トップクラスなので。
「Study of Idol」は、アイドルPVが何を表現すべきかを、明確に見据え、そこに向かって作り込んだバラエティ系PVの傑作だと思います。
中元日芽香と能條愛未の可愛さを、さまざまな仕草、トーク、表情、歌で伝えることに成功していて、何度も再生したくなる魅力を持っている。
正直、このPVを観て、ひめたんとじょーさんが、これまでの数倍くらい好きになった(笑)。
そうそう、「猫の目パンデミック」は、ぜひ乃木團で、生歌生演奏のステージをやって欲しいですね。
[3位] 伊藤かりん&川村真洋
「アイスティーガール」
監督・脚本・編集:小田学
初回限定盤TypeA収録
「Cafe ソライロ」を舞台に、店員である伊藤かりんと川村真洋が、ある女性、おそらくは一度別れた恋人を、5日間連続で待っている天然パーマの男性客と繰り広げる、コメディタッチのショートストーリーです。
ドラマ系PVの中では、この作品がもっとも優れていると、私は思いました。
まず、映像の透明感が素晴らしい。
冒頭、カフェの外観が映りますが、絶妙な光量の中、おしゃれな建物の佇まいが印象的です。
さらに、店内シーンも、どういう撮影方法なのか、明るい空気感の中、白いワイシャツに大きな腰巻きエプロンという、カッコ可愛い店員ファッションに身を包んだ、メガネのかりん&ろってぃが、肌の質感まで鮮やかに映し出されます。
テーブル、椅子、窓、キッチン、チワワと、カフェの内観もカラフルで、ファッショナブルに作り込んでいる。
こういったクオリティの高い舞台装置の中、三人のちょっと風変わりな物語が進んでいく。
伊藤かりんの演じる店員は、神経質で融通のきかない性格のようで、2分遅刻したろってぃを、「ラーメンならあと1分で出来る」「時給千円なら1分166.6・・、え~と」など、教育ママのようなメガネ越しに(笑)、ちくちく責め立てます。
かりんさんは役者としても、頭が良いのだと思います、発声、テンポ、表情など、場面ごとに求められる演技を「正確」にこなし、このドラマの軸を作る役割を上手く果たしています。
一方、ろってぃは、メガネに遊び心があり、大きめに胸をはだけたワイシャツで、「まあええやん、そんな細かいこと言わんでも」とばかり、かりんさんとは対照的な性格を演じる。
滑舌や間合いにまだ改善の余地はあるけど、不真面目というより、ちょっと適当で、ちょっとセクシーな現代っ子キャラを、見事に作り上げています。
失礼ながら、ろってぃにこれほどの演技センスがあるとは思いませんでした。
何と言うか、顔の表情や立ち居振る舞いに人を惹きつける色気があって、ドラマ空間を生み出すだけの、非日常感をふんだんに備えている。
超絶的に素晴らしいスタイルや、ダンスで鍛えた身のこなしとリズム感が、源泉になっているのだと思いますが、雰囲気のある演技で、感心しました。
さらに、男性客も度を越したユニークさを発揮します(笑)。
注文したドリンクをほとんど飲んでしまった後、「今さら言うのも何ですが、頼んだのはアイスティーで、これはアイスコーヒーですよね」と言い始める。
かりんさんが、「私は絶対、アイスティーを出した」と言い返すと、なぜかニヤッとした表情で、両腕を奇妙に振りながら「水掛け論になっちゃうんで」。
かりんとお客の間に入ったろってぃが、一歩も引かない両者にしびれを切らして、「直接やってもらって良いですか」。
しかし、直接対話も水掛け論に終始したようで、遂には、「私がおごるから、許して下さい。遅刻のことも。三人メガネやし、仲良くしよ」とろってぃが現実的な解決策を示して、一件落着です。
最後の場面、話し合いが終わって、ろってぃが「彼女とか待ってるんですか?」と男性に尋ねます。
すると、図星だったようで、「(彼女が来ることは)これっぽちも、ほんの少しも期待してないんで、別にいいんです」。
ところが、言った直後、チリンチリンとドアベルが鳴り、カフェの扉が開いて、風が吹き込んできます。
ドアの方を見た彼は、人間の限界に迫るほどの、行き過ぎた歓喜の表情を浮かべ(笑)、その表情を見たかりんとろってぃも、呆然として、入り口を見つめます。
なぜか大量の紙吹雪が舞う中(笑)、狂喜する男性客と驚きのあまりフリーズして佇むかりん&ろってぃの図は、かつてのPARCOのCMを彷彿させるような、カラフル&アバンギャルドなシーンになっていて、思わず魅入ってしまいました。
「おおおおーーーーー!」の男性、「なんだかな~」とかりん、「わおー、あるんやそんなこと」のろってぃ。
三人三様の表情を浮かべながらも、妙な達成感に包まれたような、魅力的なシーンです。
ここでも、川村真洋の眼差しと立ち姿がセクシーで、女優としての可能性を感じさせます。
性格や考え方の全然違う三人が織りなす小さな波乱が描かれていて、方向性としては、もたいまさこ、室井滋、小林聡美が三姉妹を演じた深夜のホームコメディ『やっぱり猫が好き』に近いテイストがある。
この作品は、ドラマの醍醐味の一つである、映像美や空気感において、傑出したクオリティを誇っていて、そこに癖のある登場人物が入って、テレビの連続ドラマにしても良いような出来になっていると思います。
ちなみに、男性客を演じたのは、山本圭祐さんで、NHK連続小説ドラマ「まれ」にも出演されているようです。
振れ幅の大きな、明るくコミカルな芝居が、良いですよね。
所属事務所の俳優紹介ページ
12枚目に収録された他のドラマ系PVを観て、ちょっと気になったことがあります。
TypeC収録の伊藤万理華&桜井玲香、そして深川麻衣&若月佑美が典型例なんですが、メンバーの演技は上手いのに、ドラマ空間における、登場人物としてのキャラが弱くて、結局、何をしたかったのか、何が言いたいのか、明確に伝わってこない作品が幾つかあった。
脚本の書き込みが足りないのか、撮影手法の問題なのか、それとも私の理解力が乏しいのか(笑)。
理由は分かりませんが、折角、ハイレベルな芝居をしているのに、それがドラマ全体の魅力につながっておらず、ちょっと残念に感じました。
むしろ、TypeB収録の斎藤ちはる&永島聖羅によるトイレを巡る話の方が、低予算感が半端ではないけど(笑)、メッセージがはっきりしていて、クスクス笑えて楽しい。
作品のクオリティを大きく左右するのは、使える予算規模と、メンバーの拘束を含めた「制作時間」じゃないかという話があって、その辺の事情が分からないと、批評出来ない面があります。
どんな制作環境であっても、一定レベル以上の作品を生み出すのがプロという意見はあるけど、そうは言っても、予算が極めて少なく、撮影時間が短く制限され、企画脚本編集に許される期間が数日なんてことになると、クオリティを上げるのは難しいですよね。
「まりっか'17」のように、優れた個人PVは、そのメンバーへの注目度を飛躍的にアップさせるので、今後も、クリエーターと出演メンバーに、運営は出来るだけ十分な、予算と時間をあげて欲しい、まあ、予算はどうしようもない面があると思いますが(笑)。
[2位] 川後陽菜&相楽伊織
「にわにはにわ」
企画・作詞・振付:大石タケシ
監督・振付:高野千砂
作曲 : 平沢敦士
音楽プロデューサー : 川村昌司
初回限定盤TypeB収録
間違いなく音楽系PVの傑作だと思います。
エンドロールに表示される制作陣を見ると、上記のように、作詞、作曲、監督、音楽プロデューサーを、それぞれ専門のスタッフが担当、さらに、振付を二人で行なうなど、完全に音楽に特化した体制になっています。
こういった万全の布陣が、優れた楽曲とダンスを生み出したようで、クオリティの高さが納得出来ます。
素晴らしいのは、川後陽菜と相楽伊織が抱く、トップモデルになりたいという夢と、なかなか上手くいかない現実が、歌詞のテーマになっていて、二人の等身大に近い姿がそこに描かれていることです。
そのため、自分の言葉で、自分の気持ちを歌っているような迫力があります。
とくに、メロディがゲーム音楽のようなシンプルなテイストに抑えられているので、歌詞が強調され、心にしっかり入ってくる。
八頭身小顔のモデルにコンプレックスを抱き、モデルウォークが上手く出来ず、セクシーポーズに今いち色気が漂わない、そんな悩みを抱えながら、それでも進んで行く中、なぜか「はにわ」が登場します(笑)。
わたしの中はからっぽなのかしら
キレイなくびれ探すのムダかしら
なにも感じないような顔をして
ささいなことでヒビ割れしやすいんだ
これらの歌詞は、「はにわ」が自分たちの分身であることを窺わせます。
しかし、一方、
古墳時代からここで待ってる
というフレーズがあり、願い事を書いた紙を「はにわ」の両目に入れると、はにわがロケットのように天に飛んで行くシーンがある。
つまり、自分たちの象徴であるだけでなく、願いを叶えてくれるパワーを持った不思議な神様的存在でもある。
日々暮らす家の庭に、自らの分身であり、同時に、超越した存在でもある「はにわ」が、古墳時代から棲息している。
短パンから伸びた白い綺麗な脚や、Tシャツを押し上げる膨らんだ胸は、セクシーを表す記号の筈なんだけど、「大人のセクシー」には、まだ何か足りないのか、色気があるのかないのか、よく分からない(笑)。
大人と子ども、現実と夢の境を彷徨う、思春期にいる少女の立ち位置不明な存在感が、神聖であるような、とぼけたような、何でこんなもの作ったんだろうと考えたくなる、「はにわ」の不思議な存在感と絶妙に共鳴し合って、音楽が加速していきます。
モデルを目指す少女の気持ちに、「はにわ」を絡ませるアイデアは、天才的に面白い着想で、PVを何度観ても新鮮な感動があって、出来の良さに唸ってしまう。
広い庭のある古い一軒家。
芝生や樹々、縁側、畳の部屋、台所、お風呂場などで繰り広げられる、さまざまなシーンとダンスは、どれもが新鮮な映像美に溢れています。
そして、これらの舞台装置が、川後陽菜と相楽伊織の可愛らしさを、思う存分に引き出し、観た人の95%が二人を応援したくなるほど(笑)、川後相楽の魅力が炸裂したペアPVに仕上がっている。
終盤、「ゴスロリ」ファッションを纏い、4体の「はにわ」を従えて、庭で踊るシーンでは、あまりのシュール可愛いに、「もう、そのままデビューしちゃえよ!」と、言いたくなった。
ん~、この作品を構成する個々のアイデアには、もの凄い切れ味があります。
こういう傑出した作品が、何気なく、しれっと入っているから、乃木坂の個人PVやペアPVは、見逃すわけにいかなくて、初回限定盤を全種類買っちゃうわけです(笑)。
[1位] 鈴木絢音&渡辺みり愛
「時空超越アイドル イマガール」
監督・脚本:ZUMI
初回限定盤TypeB収録
1984年に生きる少女と2046年にいる同じ年齢の少女が、アイドルになりたいという強い願いを共有したことで、「時空超越衝突現象」によって、タイムスリップして2015年の世界で出会い、二人でアイドルを目指すSF的な物語です。
この作品が凄いのは、ストーリー、演技、ファッション、音楽など、すべての要素が高いレベルで有機的に融合し、渡辺みり愛と鈴木絢音の魅力を引き出すだけでなく、もっと長尺の作品を観てみたいと思うほど、スケールが大きく、しかも完成度の高いドラマに仕上がっていることです。
同じ鏡をのぞき込む状態で、初めて存在がぶつかり合った二人。
1984年からやって来た、渡辺みり愛演じるカコは、少女漫画から抜け出てきたような、おっちょこちょいで、些細なことは気にしない性格ですが(笑)、明るく元気で、アイドルになりたいという純粋な情熱が体から溢れている。
1984年は、中森明菜や小泉今日子がアイドルとして活躍していた時代で、おニャン子クラブが「セーラー服を脱がさないで」をリリースする前年に当たります。
世界的なインターネット網は存在せず、コンピューターによる高度なデータ処理技術も、一般人には無縁の話で、アイドルであっても、ステージ上、生で歌を披露していました(笑)。
ある意味、今より、ずっと人間的だった時代に生きるカコのアイドル像は、シンプルで力強く、同じ髪型で個性が埋没している?と心配しながらも、自分の魅力をステージでアピールすれば、多くの人が振り向くスターになれると素直に信じている。
一方、2046年は、バーチャルアイドルが主流の世界で、アイドルを目指す少女にとってのハンデは、「人間であること、データ化出来ないこと、汎用性がないこと、そして年を取ること」だそうで、よくぞアイドルを志したと、その勇気を褒めたくなるほど、困難過ぎる道のりです(笑)。
そして、スマートフォンがおもちゃに見えるような、高度な機器を身に付け、子どもの頃から大量のデータに晒されるために、分析力はあるものの、子どもらしい無鉄砲でストレートな情熱が失われてしまっていて、カコと同じ年齢ながら、ひどく大人びている。
持ち前の分析力から、ミライは、事態を冷静に観察して、2015年にタイムトリップしたことを、すぐに見抜きます。
荒唐無稽になりがちな、SFストーリーなんだけど、二人のキャラが、時代背景を考えて、緻密に作り込まれている。
ミライが本来の生活時代を判別する高機能メガネで相手を観察していると、「何これ、ハイテクマシーン、えっ、おニュー、おニュー?」とカコが騒ぎます。
さらに、「そうだ私これからアイドル発掘オーディションがあるの、もう行かなきゃ、ドロンさせて頂くわ」。
「おニュー」「ドロン」って、ああ!何か言ってたなぁあの頃って感じで、懐かしいというより、恥ずかしいですね(笑)。
リアリティを高めるため、台詞にも「時代考証」が入っていて、渡辺みり愛は、本当に「オールナイトフジ」全盛の頃からやって来たんではないかと、錯覚しそうになります。
もちろん、カコは、30年前のオーディションには間に合わず(笑)、とぼとぼ見知らぬ街を彷徨い、そこで再び、ミライと出会います。
今がいつなのか、ここがどこなのか、さほど気にすることなく、夢に向かって突っ走るカコと異なり、ミライは、人間である自分がアイドルになれるのかどうか、2046年での悩みをそのまま引きずって、行動を起こせません。
そんなミライの手を取って、カコは、「なれるよ絶対、だって可愛いもん。一緒に目指そうよ、トップアイドル!」と満面の笑みで誘います。
時空超越アイドルユニット「イマガール」の誕生です(笑)。
感心したのは、渡辺みり愛と鈴木絢音の演技が本当に上手くて、キャラが驚くほど立っています。
みり愛さんは、勢い、愛嬌、戸惑い、喜び、希望といった感情を全身で自然に表現出来ていて、無邪気で人間味溢れるカコが生き生きとドラマ空間を闊歩している。
あーちゃんは、ナレーション的な状況説明のシーンが多いのだけど、メタリックで冷静な雰囲気を漂わながら、淀みなく台詞が出ていました。
演劇経験の浅い人が、説明調の長い台詞を担当すると、グダグダになって、聴くに耐えない出来になっても不思議じゃないけど、彼女は、ちゃんと芝居を成立させていて、これは相当レベルの演技力だと思います。
高層ビルの上階、夕暮れの街並を見ながら、「2015年のアイドル戦国時代」を語る場面は、台詞を上手くクリアしているため、背筋がキレイに伸びた、美しい立ち姿が鮮やかに心に入ってきて、眼下に広がる都会の景色と併せ、心に滲みるシーンになっている。
とんでもない逸材だと思います、渡辺みり愛と鈴木絢音は。
さらに、小物を含めたファションが、ドラマにぴったりハマっている。
渡辺みり愛は、黄色を基調にした松田聖子風のアイドル衣装に、真珠のカチューシャとネックレスが、常軌を逸して似合っていて、ありえないほど可愛い。
また、シルバーがベースの近未来ファッションが、高機能腕時計やブレスレットと併せて、鈴木絢音のクールな美貌を、ゾクゾクするほど引き立てています。
最後に、オリジナル楽曲の歌とダンスが披露されます。
二人のパフォーマンスは、CGを使って豪華に演出され、ドラマ部分と共鳴する、カコとミライの気持ちを綴った歌詞が、明るくノリの良いメロディに乗って、カラフルに元気よく流れ出す。
この音楽シーンは、カコとミライが、アイドルになりたいという夢を叶える、物語のクライマックスです。
そして、「イマガール」という歌は、カコとミライのアイドル奮闘記を越え、時代や才能など様々な制約があっても、それでも人は、自分という唯一無二の存在を、世界に向けて発信したいのだという、普遍的なテーマに迫る部分があって、聴くものの心に、高揚感を沸き立たせます。
過去でもなく、未来でもなく、「今」こそが輝く時だ、というメッセージが爽やかです(笑)。
「時空衝突」というSFのアイデアをベースに、過去と未来の少女が抱えるそれぞれの悩みと、変わらぬ共通の情熱を描き、同じ夢を持つもの同士の出会いが、夢の扉を開けていく様子を、音楽パフォーマンスによって表現する。
秀逸なドラマ構成と言うべきで、そこに、隙のない、キャラ、台詞、演技、ファッションが盛り込まれ、傑出した作品に仕上がっています。
ここまで充実したコンテンツを、7分弱のPVに詰め込むのは、ちょっと信じられない才能で、見終わって、呆然としてしまいました。
今回、ランキングを作るために、それぞれのペアPVに点数を付けたんですが、この作品は躊躇なく満点にしました。
そして、満点は、これだけです。
12枚目収録ペアPVの最高傑作は、文句なしで、「イマガール」だと私は思います。
あらゆる面において、クオリティが段違いで、まだ観てない方には、ぜひお薦めしたいPVです(笑)。
渡辺みり愛の2015/07/28_18:30ブログ
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2014年7月 ~
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 ~ 関連記事の目次 (01Jul14 ~)
2013年11月 ~ 2014年6月
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2013年4月 ~ 2013年10月
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 ~ 関連記事の目次 (19Apr13 ~ 31Oct13)
// 乃木坂メンバーが出演する映画・舞台・テレビ番組
[地デ] 毎週金曜 24 : 12 ~ テレビ東京『初森ベマーズ』
乃木坂46が主要役を独占する初の連続「単独」ドラマ。
テレビ東京の番組公式サイト
[映画] 『アイズ』秋葉原アキバシアターで上映中
伊藤万理華の主演映画。原作は鈴木光司の短編ホラー小説集『アイズ』(2005)収録の『しるし』。鈴木氏は、『リング』『らせん』『仄暗い水の底から』などの原作者。
映画『アイズ』の公式サイト
映画『アイズ』予告編
秋葉原アキバシアターにおける特別追加上映の情報
舞台挨拶の情報
伊藤万理華の2015/07/06_11:42ブログ
映画『アイズ』予告編 主題歌Ver. teenAge dream / SuG
SuG「teenAge dream」のMV
[映画] 『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』が全国ロードショー中
7月10日(金)からTOHOシネマズ新宿ほか各地の映画館
乃木坂による単独主演映画。7月10日(金)と11日(土)に全国でメンバー参加の舞台挨拶。
映画の公式サイト
舞台挨拶のスケジュール
[舞台] 【第二章】學蘭歌劇『帝一の國』-決戦のマイムマイム- が7月12日(日)から上演開始
東京公演 7月12日(日) ~ 20日(月祝) AiiA 2.5 Theater Tokyo
大阪公演 7月25日(土) ~ 26日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
井上小百合と樋口日奈がWキャストでヒロインを演じる舞台。
ネルケプランニングの『帝一の國』公式サイト
[映画] 『コープスパーティ』が8月1日(土)から全国ロードショー
シネリーブル池袋ほか各地の映画館
生駒里奈の初主演映画。7月23日(水)19 : 00より、ユナイテッド・シネマ豊洲にて、舞台挨拶付きの完成披露試写会。
映画『コープスパーティ』の公式サイト
乃木坂公式サイトの試写会に関する記事
// 星野みなみの溢れる魅力
7月18日14:18 星野みなみ
乃木坂の風 09Oct13 ~ 星野みなみが放つ紺碧の輝き、代々木ライブの魅力と今後を考える
乃木坂の風 16Sep13 ~ 「みさ、原宿行くの?」、星野みなみに激怒する衛藤美彩! in 乃木坂の「の」
乃木坂各論第3話、星野みなみ ~ 紺碧の微笑、静謐の情熱、ここにヒロインがいる
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アレチの素敵な乃木坂業務連絡 22Apr15 ~ レギュラー出演番組
# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています
[地デ] 8月19日(水) 22 : 00 ~ 22 : 49 NHK総合『バナナ♪ゼロミュージック』
バナナマンMCによるNHK音楽情報番組の第2弾。乃木坂から生駒里奈、白石麻衣、松村沙友理が出演。
ナタリーの関連記事
[地デ] 8月19日(水) 26 : 15 ~ 26 : 30 テレビ朝日『ちょいアゲ↑スイッチ』
深夜2時15分から始まる15分番組に、秋元真夏と高山一実が出演。12日(水)と19日(水)の2週連続企画。
テレビ朝日の番組公式サイト
[地デ] 8月21日(金) 09 : 28 ~ テレビ東京『7スタライブ』
毎週金曜午前に放送される情報番組内の「マイライク」コーナーに、衛藤美彩が、7日、14日、21日、28日に連続して出演。5分ほどの短いコーナーながら、出身県である大分の郷土料理を食べ、お酒を飲み、カウンター越しにマスターと語るなど、吉田類ばりの、かなり濃ゆい内容(笑)。好評だった『乃木坂工事中』の1人飲み企画がオファーを呼び寄せたのかも。お酒の似合う「大人なアイドル」って、かつてないジャンルで、みさ先輩には新しい世界を切り開いて欲しい。
テレ東の番組公式サイト
衛藤美彩の2015/07/31_23:00ブログ
『しくじり先生』で高山一実が涙の大活躍!「1人家飲み」は衛藤美彩がセクシーの新分野を開拓 [26May15]
乃木坂出演番組をさらに知りたい方は、以下のページをご覧下さい。
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 22Apr15 ~ レギュラー出演番組
12枚目「太陽ノック」収録のペアPVを全部鑑賞しました。
今日は、私が面白いと感じたベスト5を、順に紹介します。
あくまで個人の感想なので、PV談義のネタや、初回限定盤購入の参考くらいの感じで、軽め目に読んで頂ければ幸いです(笑)。
[5位] 生駒里奈&井上小百合
「踊るバカ、神様の嫉妬」
監督・脚本・撮影・編集:熊坂出
初回限定盤TypeA収録
ダンスの練習に打ち込む二人の少女が、互いに親友ながら、1人の男性を同時に好きになってしまい、その恋の行方がドラマの中核になっています。
親友にあなたの彼氏が好きなんだと打ち明けたり、その彼氏に告白したり、「実は私ね、」的な会話をつないで進む、割とよくあるタイプの恋愛劇です。
こういった「打ち明け」や「告白」のシーンが視聴者を魅了するかどうかは、役者の演技力次第という面があるのだけど、生駒里奈と井上小百合は、舞台、ドラマ、映画への出演はあるものの、役者としてのキャリアはまだ浅い。
一方、相手役の藤原季節は、『人狼ゲーム ビーストサイド』(熊坂出監督)や『新宿スワン』(園子温監督)など、多数の映画に出演するプロの俳優です。
その結果、彼が絡むシーンは何とか様になっているものの、生駒ちゃんとさゆにゃん二人だけのやりとりは、観ていて「うっ、うん」と、ちょっと肩に力が入ってしまう場面がある(笑)。
決して下手ではないのだけど、揺れ動く微妙な心理を表現するには、かなり高度な演技力が必要で、芝居としては、どうしても物足りなさが残ります。
もし、この作品が、ダンス好き女子高校生の恋愛模様を追っているだけなら、そういった物足りなさもあって、あまり面白いとは感じなかったでしょう。
しかし、表現したいテーマはもっと別のところにあるようです。
そして、そのテーマを明示する二つのダンスがとても印象的で、演技面でのぎこちなさを帳消しにして、作品を見応えのあるものにしています。
一つは、生駒里奈が、告白してフラれた後、井上小百合の前で踊るダンス。
無の境地を思わせる静かな表情、宗教的な雰囲気すら漂う体の動きが、瑞々しくも、神秘的な魅力を放ち、ありふれた日常の光景を、何か別の、張りつめたものに変えてしまう。
この神に捧げるかのようなダンスを境に、非日常的な空気が流れ込み、ドラマは違ったメロディを奏で始めます。
生駒里奈のダンスを目撃した井上小百合は、心に強い感情が生まれ、彼氏と別れることを決意する。
足りないの、今の私じゃ足りないの、ダンス!
という台詞は、別れの理由として、もちろん意味不明で、彼氏も納得出来ない表情を浮かべます。
しかし、ドラマを観ている側は、神々しい生駒のダンスから、井上小百合の内面に芽生えた気持ちを理解し、この言葉を味わうことが出来て、物語に引き込まれていく。
神様の寵愛を受けているかに見える親友への「嫉妬」、さらに、彼氏という存在に頼り、ダンスにすべてを捧げられない自分の弱さが、心に重くのしかかってくる。
彼氏に別れを告げた後、井上小百合が1人で踊ります。
これが二つ目のダンスです。
生駒里奈のダンスとは異なり、どこか苦しげで、何かに飢えているような表情を見せながら、大きく手足を動かす。
自分を無にして、神に捧げるダンスではなく、神の関心を自分に引きつけようと足掻くような、人間的な感情に溢れたダンス。
生駒里奈の「空」のダンスと、井上小百合の「色」のダンス。
鮮やかな対比を見せる二つのダンスが、踊りという芸術を巡る「バカ」と「嫉妬」の物語を浮き彫りにして、ドラマ全体を輝かせていると感じました。
ちなみに、井上小百合は、
あっ、作品中のダンスは、全部自分で考えた創作ダンスです
とブログに書いています。
ダンスこそが、PVの重要ポイントになっているので、凄いですね、これは。
作品のテーマや構成が意欲的で、二つの印象的なダンスがそれを上手く提示している。
5位の評価は低過ぎで、もっと高い順位にすべきじゃないかと、かなり迷いました。
ただ、乃木坂ファンとして、生駒ちゃんとさゆにゃんの可愛さをあざとく放り込むような(笑)、アイドル的魅力の「見せ場」があれば、もっとテンションが上がったと思います。
メンバーのキュートな魅力が溢れているなら、作品そのものの出来不出来に関わらず、ついつい高評価をしてしまうのがファンの悲しい性です。
逆に、ユーモアやビジュアルアピールを抑えたガチのドラマだと、物語展開の面白さや追求するテーマの深さだけで観ることになり、どうしても少し辛口になってしまうんですね。
「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」MVは、多くのファンが支持するドラマ系MVですが、齋藤飛鳥の天使風舞台衣装を伊藤万理華が繕ってあげるシーンでの、この世のものと思えない、あしゅの壮絶な美しさは、高評価を呼び込む重要な因子の一つになっている。
アイドルのPVは、こういった確信犯的な「見せ場」があった方が、繰り返し鑑賞される確率が高まるんじゃないでしょうか
藤原季節の紹介ページ
井上小百合の2015/07/11_18:42ブログ
[4位] 中元日芽香&能條愛未
「Study of Idol」
演出・編集:山本篤彦
プロデューサー:澤辺翔太
初回限定盤TypeA収録
前半が教室の机に座り、出されるお題にフリップで回答するバラエティ、後半はオリジナル曲を歌う音楽シーンで、笑いあり、歌あり、二人の可愛さありと、お楽しみが幕の内弁当のように詰まった、バランスの良い秀逸な作品だと思います。
バラエティ部分では、中元日芽香が普通の答えを出したあと、能條愛未がボケて落とすのが基本の流れになっていて、まず、このコンビネーションが良い。
冒頭、本物の猫である「にゃんこ先生が」が教卓に上り、
「能條さん、アイドルとはにゃんですか?」
と問いかけると、
「え~、笑顔の・・・宅配便」
静々答えるものの、間髪を入れず、というより、「便」に被せて、先生が決然と
「アイドルは可愛いが全てニャ!」。
底の浅さが心地良い、小賢しさ全開のアイドル観と(笑)、それを即座に否定される絶妙の間合い。
さらに、にゃんこ先生の「正解」を受けて、目を丸くして、感服しながら頷く中元日芽香と、「ああ~、そっちの感じ?」とやや面食らっている能條愛未。
最高に面白いです。
にゃんこ先生の言葉は、テロップで入るのですが、これが非常に効果的に使われている。
一匹の猫がとある家屋の前で、木製ドアの入り口を見つめている写真から、猫の気持ちを想像して答えるお題で、
「この家、昔よく、ピンポンダッシュしに行ってたなあ」
と答える能條さんに対して、
「手、届くかニャ?」
とのテロップ(笑)。
「ピンポンダッシュはダメ!」じゃなくて、そこなの?、というズレ感も含め、よく練られたツッコミだと思います。
それにしても、ジョンソンさんの、アイドルにあるまじき、適度な「やさぐれ」ぶりが堪りません。
猫の表情、台詞の内容、やりとりのテンポなど、随所に相当な作り込みを感じさせ、それらが、二人の可愛さを上手く引き出している。
とくに、合間合間に入る、猫と二人のツーショット写真(?)は、飛び抜けたクオリティで、びっくりするほど、中元能條のキュートが溢れ出ています。
にゃんこ先生の言うように、結局、アイドルPVの最終目的は、メンバーの可愛さを炸裂させることで、この作品は、余計な寄り道を省いて、真っ直ぐにその目標に突き進んでいます。
おそらく、台詞と脚本を考え抜き、相当数の写真や映像カットを撮影し、慎重な編集で仕上げた筈で、クリエーターの可愛いを演出する情熱が、画面から伝わってきます。
そもそも、こちらが欲しい表情を猫にさせることに苦労するわけで、作品中、にゃんこ先生が絶妙な表情を連発すること自体が、素晴らしい仕事だと思います。
そして、後半、二人が別々の小さな段ボールに、しゃがんで入り、「猫の目パンデミック」という曲を歌います。
ご承知の通り、中元能條は乃木團のボーカルで、二人とも高い歌唱力を持っています。
そのため、歌部分に本人の地声があまり加工されることなく使われていて、心に響く可愛い音楽になっている。
やはり、機械で弄らない生声は、パワーが違います、もちろん歌が下手だと話にならないけど(笑)、この二人は乃木坂トップクラスなので。
「Study of Idol」は、アイドルPVが何を表現すべきかを、明確に見据え、そこに向かって作り込んだバラエティ系PVの傑作だと思います。
中元日芽香と能條愛未の可愛さを、さまざまな仕草、トーク、表情、歌で伝えることに成功していて、何度も再生したくなる魅力を持っている。
正直、このPVを観て、ひめたんとじょーさんが、これまでの数倍くらい好きになった(笑)。
そうそう、「猫の目パンデミック」は、ぜひ乃木團で、生歌生演奏のステージをやって欲しいですね。
[3位] 伊藤かりん&川村真洋
「アイスティーガール」
監督・脚本・編集:小田学
初回限定盤TypeA収録
「Cafe ソライロ」を舞台に、店員である伊藤かりんと川村真洋が、ある女性、おそらくは一度別れた恋人を、5日間連続で待っている天然パーマの男性客と繰り広げる、コメディタッチのショートストーリーです。
ドラマ系PVの中では、この作品がもっとも優れていると、私は思いました。
まず、映像の透明感が素晴らしい。
冒頭、カフェの外観が映りますが、絶妙な光量の中、おしゃれな建物の佇まいが印象的です。
さらに、店内シーンも、どういう撮影方法なのか、明るい空気感の中、白いワイシャツに大きな腰巻きエプロンという、カッコ可愛い店員ファッションに身を包んだ、メガネのかりん&ろってぃが、肌の質感まで鮮やかに映し出されます。
テーブル、椅子、窓、キッチン、チワワと、カフェの内観もカラフルで、ファッショナブルに作り込んでいる。
こういったクオリティの高い舞台装置の中、三人のちょっと風変わりな物語が進んでいく。
伊藤かりんの演じる店員は、神経質で融通のきかない性格のようで、2分遅刻したろってぃを、「ラーメンならあと1分で出来る」「時給千円なら1分166.6・・、え~と」など、教育ママのようなメガネ越しに(笑)、ちくちく責め立てます。
かりんさんは役者としても、頭が良いのだと思います、発声、テンポ、表情など、場面ごとに求められる演技を「正確」にこなし、このドラマの軸を作る役割を上手く果たしています。
一方、ろってぃは、メガネに遊び心があり、大きめに胸をはだけたワイシャツで、「まあええやん、そんな細かいこと言わんでも」とばかり、かりんさんとは対照的な性格を演じる。
滑舌や間合いにまだ改善の余地はあるけど、不真面目というより、ちょっと適当で、ちょっとセクシーな現代っ子キャラを、見事に作り上げています。
失礼ながら、ろってぃにこれほどの演技センスがあるとは思いませんでした。
何と言うか、顔の表情や立ち居振る舞いに人を惹きつける色気があって、ドラマ空間を生み出すだけの、非日常感をふんだんに備えている。
超絶的に素晴らしいスタイルや、ダンスで鍛えた身のこなしとリズム感が、源泉になっているのだと思いますが、雰囲気のある演技で、感心しました。
さらに、男性客も度を越したユニークさを発揮します(笑)。
注文したドリンクをほとんど飲んでしまった後、「今さら言うのも何ですが、頼んだのはアイスティーで、これはアイスコーヒーですよね」と言い始める。
かりんさんが、「私は絶対、アイスティーを出した」と言い返すと、なぜかニヤッとした表情で、両腕を奇妙に振りながら「水掛け論になっちゃうんで」。
かりんとお客の間に入ったろってぃが、一歩も引かない両者にしびれを切らして、「直接やってもらって良いですか」。
しかし、直接対話も水掛け論に終始したようで、遂には、「私がおごるから、許して下さい。遅刻のことも。三人メガネやし、仲良くしよ」とろってぃが現実的な解決策を示して、一件落着です。
最後の場面、話し合いが終わって、ろってぃが「彼女とか待ってるんですか?」と男性に尋ねます。
すると、図星だったようで、「(彼女が来ることは)これっぽちも、ほんの少しも期待してないんで、別にいいんです」。
ところが、言った直後、チリンチリンとドアベルが鳴り、カフェの扉が開いて、風が吹き込んできます。
ドアの方を見た彼は、人間の限界に迫るほどの、行き過ぎた歓喜の表情を浮かべ(笑)、その表情を見たかりんとろってぃも、呆然として、入り口を見つめます。
なぜか大量の紙吹雪が舞う中(笑)、狂喜する男性客と驚きのあまりフリーズして佇むかりん&ろってぃの図は、かつてのPARCOのCMを彷彿させるような、カラフル&アバンギャルドなシーンになっていて、思わず魅入ってしまいました。
「おおおおーーーーー!」の男性、「なんだかな~」とかりん、「わおー、あるんやそんなこと」のろってぃ。
三人三様の表情を浮かべながらも、妙な達成感に包まれたような、魅力的なシーンです。
ここでも、川村真洋の眼差しと立ち姿がセクシーで、女優としての可能性を感じさせます。
性格や考え方の全然違う三人が織りなす小さな波乱が描かれていて、方向性としては、もたいまさこ、室井滋、小林聡美が三姉妹を演じた深夜のホームコメディ『やっぱり猫が好き』に近いテイストがある。
この作品は、ドラマの醍醐味の一つである、映像美や空気感において、傑出したクオリティを誇っていて、そこに癖のある登場人物が入って、テレビの連続ドラマにしても良いような出来になっていると思います。
ちなみに、男性客を演じたのは、山本圭祐さんで、NHK連続小説ドラマ「まれ」にも出演されているようです。
振れ幅の大きな、明るくコミカルな芝居が、良いですよね。
所属事務所の俳優紹介ページ
12枚目に収録された他のドラマ系PVを観て、ちょっと気になったことがあります。
TypeC収録の伊藤万理華&桜井玲香、そして深川麻衣&若月佑美が典型例なんですが、メンバーの演技は上手いのに、ドラマ空間における、登場人物としてのキャラが弱くて、結局、何をしたかったのか、何が言いたいのか、明確に伝わってこない作品が幾つかあった。
脚本の書き込みが足りないのか、撮影手法の問題なのか、それとも私の理解力が乏しいのか(笑)。
理由は分かりませんが、折角、ハイレベルな芝居をしているのに、それがドラマ全体の魅力につながっておらず、ちょっと残念に感じました。
むしろ、TypeB収録の斎藤ちはる&永島聖羅によるトイレを巡る話の方が、低予算感が半端ではないけど(笑)、メッセージがはっきりしていて、クスクス笑えて楽しい。
作品のクオリティを大きく左右するのは、使える予算規模と、メンバーの拘束を含めた「制作時間」じゃないかという話があって、その辺の事情が分からないと、批評出来ない面があります。
どんな制作環境であっても、一定レベル以上の作品を生み出すのがプロという意見はあるけど、そうは言っても、予算が極めて少なく、撮影時間が短く制限され、企画脚本編集に許される期間が数日なんてことになると、クオリティを上げるのは難しいですよね。
「まりっか'17」のように、優れた個人PVは、そのメンバーへの注目度を飛躍的にアップさせるので、今後も、クリエーターと出演メンバーに、運営は出来るだけ十分な、予算と時間をあげて欲しい、まあ、予算はどうしようもない面があると思いますが(笑)。
[2位] 川後陽菜&相楽伊織
「にわにはにわ」
企画・作詞・振付:大石タケシ
監督・振付:高野千砂
作曲 : 平沢敦士
音楽プロデューサー : 川村昌司
初回限定盤TypeB収録
間違いなく音楽系PVの傑作だと思います。
エンドロールに表示される制作陣を見ると、上記のように、作詞、作曲、監督、音楽プロデューサーを、それぞれ専門のスタッフが担当、さらに、振付を二人で行なうなど、完全に音楽に特化した体制になっています。
こういった万全の布陣が、優れた楽曲とダンスを生み出したようで、クオリティの高さが納得出来ます。
素晴らしいのは、川後陽菜と相楽伊織が抱く、トップモデルになりたいという夢と、なかなか上手くいかない現実が、歌詞のテーマになっていて、二人の等身大に近い姿がそこに描かれていることです。
そのため、自分の言葉で、自分の気持ちを歌っているような迫力があります。
とくに、メロディがゲーム音楽のようなシンプルなテイストに抑えられているので、歌詞が強調され、心にしっかり入ってくる。
八頭身小顔のモデルにコンプレックスを抱き、モデルウォークが上手く出来ず、セクシーポーズに今いち色気が漂わない、そんな悩みを抱えながら、それでも進んで行く中、なぜか「はにわ」が登場します(笑)。
わたしの中はからっぽなのかしら
キレイなくびれ探すのムダかしら
なにも感じないような顔をして
ささいなことでヒビ割れしやすいんだ
これらの歌詞は、「はにわ」が自分たちの分身であることを窺わせます。
しかし、一方、
古墳時代からここで待ってる
というフレーズがあり、願い事を書いた紙を「はにわ」の両目に入れると、はにわがロケットのように天に飛んで行くシーンがある。
つまり、自分たちの象徴であるだけでなく、願いを叶えてくれるパワーを持った不思議な神様的存在でもある。
日々暮らす家の庭に、自らの分身であり、同時に、超越した存在でもある「はにわ」が、古墳時代から棲息している。
短パンから伸びた白い綺麗な脚や、Tシャツを押し上げる膨らんだ胸は、セクシーを表す記号の筈なんだけど、「大人のセクシー」には、まだ何か足りないのか、色気があるのかないのか、よく分からない(笑)。
大人と子ども、現実と夢の境を彷徨う、思春期にいる少女の立ち位置不明な存在感が、神聖であるような、とぼけたような、何でこんなもの作ったんだろうと考えたくなる、「はにわ」の不思議な存在感と絶妙に共鳴し合って、音楽が加速していきます。
モデルを目指す少女の気持ちに、「はにわ」を絡ませるアイデアは、天才的に面白い着想で、PVを何度観ても新鮮な感動があって、出来の良さに唸ってしまう。
広い庭のある古い一軒家。
芝生や樹々、縁側、畳の部屋、台所、お風呂場などで繰り広げられる、さまざまなシーンとダンスは、どれもが新鮮な映像美に溢れています。
そして、これらの舞台装置が、川後陽菜と相楽伊織の可愛らしさを、思う存分に引き出し、観た人の95%が二人を応援したくなるほど(笑)、川後相楽の魅力が炸裂したペアPVに仕上がっている。
終盤、「ゴスロリ」ファッションを纏い、4体の「はにわ」を従えて、庭で踊るシーンでは、あまりのシュール可愛いに、「もう、そのままデビューしちゃえよ!」と、言いたくなった。
ん~、この作品を構成する個々のアイデアには、もの凄い切れ味があります。
こういう傑出した作品が、何気なく、しれっと入っているから、乃木坂の個人PVやペアPVは、見逃すわけにいかなくて、初回限定盤を全種類買っちゃうわけです(笑)。
[1位] 鈴木絢音&渡辺みり愛
「時空超越アイドル イマガール」
監督・脚本:ZUMI
初回限定盤TypeB収録
1984年に生きる少女と2046年にいる同じ年齢の少女が、アイドルになりたいという強い願いを共有したことで、「時空超越衝突現象」によって、タイムスリップして2015年の世界で出会い、二人でアイドルを目指すSF的な物語です。
この作品が凄いのは、ストーリー、演技、ファッション、音楽など、すべての要素が高いレベルで有機的に融合し、渡辺みり愛と鈴木絢音の魅力を引き出すだけでなく、もっと長尺の作品を観てみたいと思うほど、スケールが大きく、しかも完成度の高いドラマに仕上がっていることです。
同じ鏡をのぞき込む状態で、初めて存在がぶつかり合った二人。
1984年からやって来た、渡辺みり愛演じるカコは、少女漫画から抜け出てきたような、おっちょこちょいで、些細なことは気にしない性格ですが(笑)、明るく元気で、アイドルになりたいという純粋な情熱が体から溢れている。
1984年は、中森明菜や小泉今日子がアイドルとして活躍していた時代で、おニャン子クラブが「セーラー服を脱がさないで」をリリースする前年に当たります。
世界的なインターネット網は存在せず、コンピューターによる高度なデータ処理技術も、一般人には無縁の話で、アイドルであっても、ステージ上、生で歌を披露していました(笑)。
ある意味、今より、ずっと人間的だった時代に生きるカコのアイドル像は、シンプルで力強く、同じ髪型で個性が埋没している?と心配しながらも、自分の魅力をステージでアピールすれば、多くの人が振り向くスターになれると素直に信じている。
一方、2046年は、バーチャルアイドルが主流の世界で、アイドルを目指す少女にとってのハンデは、「人間であること、データ化出来ないこと、汎用性がないこと、そして年を取ること」だそうで、よくぞアイドルを志したと、その勇気を褒めたくなるほど、困難過ぎる道のりです(笑)。
そして、スマートフォンがおもちゃに見えるような、高度な機器を身に付け、子どもの頃から大量のデータに晒されるために、分析力はあるものの、子どもらしい無鉄砲でストレートな情熱が失われてしまっていて、カコと同じ年齢ながら、ひどく大人びている。
持ち前の分析力から、ミライは、事態を冷静に観察して、2015年にタイムトリップしたことを、すぐに見抜きます。
荒唐無稽になりがちな、SFストーリーなんだけど、二人のキャラが、時代背景を考えて、緻密に作り込まれている。
ミライが本来の生活時代を判別する高機能メガネで相手を観察していると、「何これ、ハイテクマシーン、えっ、おニュー、おニュー?」とカコが騒ぎます。
さらに、「そうだ私これからアイドル発掘オーディションがあるの、もう行かなきゃ、ドロンさせて頂くわ」。
「おニュー」「ドロン」って、ああ!何か言ってたなぁあの頃って感じで、懐かしいというより、恥ずかしいですね(笑)。
リアリティを高めるため、台詞にも「時代考証」が入っていて、渡辺みり愛は、本当に「オールナイトフジ」全盛の頃からやって来たんではないかと、錯覚しそうになります。
もちろん、カコは、30年前のオーディションには間に合わず(笑)、とぼとぼ見知らぬ街を彷徨い、そこで再び、ミライと出会います。
今がいつなのか、ここがどこなのか、さほど気にすることなく、夢に向かって突っ走るカコと異なり、ミライは、人間である自分がアイドルになれるのかどうか、2046年での悩みをそのまま引きずって、行動を起こせません。
そんなミライの手を取って、カコは、「なれるよ絶対、だって可愛いもん。一緒に目指そうよ、トップアイドル!」と満面の笑みで誘います。
時空超越アイドルユニット「イマガール」の誕生です(笑)。
感心したのは、渡辺みり愛と鈴木絢音の演技が本当に上手くて、キャラが驚くほど立っています。
みり愛さんは、勢い、愛嬌、戸惑い、喜び、希望といった感情を全身で自然に表現出来ていて、無邪気で人間味溢れるカコが生き生きとドラマ空間を闊歩している。
あーちゃんは、ナレーション的な状況説明のシーンが多いのだけど、メタリックで冷静な雰囲気を漂わながら、淀みなく台詞が出ていました。
演劇経験の浅い人が、説明調の長い台詞を担当すると、グダグダになって、聴くに耐えない出来になっても不思議じゃないけど、彼女は、ちゃんと芝居を成立させていて、これは相当レベルの演技力だと思います。
高層ビルの上階、夕暮れの街並を見ながら、「2015年のアイドル戦国時代」を語る場面は、台詞を上手くクリアしているため、背筋がキレイに伸びた、美しい立ち姿が鮮やかに心に入ってきて、眼下に広がる都会の景色と併せ、心に滲みるシーンになっている。
とんでもない逸材だと思います、渡辺みり愛と鈴木絢音は。
さらに、小物を含めたファションが、ドラマにぴったりハマっている。
渡辺みり愛は、黄色を基調にした松田聖子風のアイドル衣装に、真珠のカチューシャとネックレスが、常軌を逸して似合っていて、ありえないほど可愛い。
また、シルバーがベースの近未来ファッションが、高機能腕時計やブレスレットと併せて、鈴木絢音のクールな美貌を、ゾクゾクするほど引き立てています。
最後に、オリジナル楽曲の歌とダンスが披露されます。
二人のパフォーマンスは、CGを使って豪華に演出され、ドラマ部分と共鳴する、カコとミライの気持ちを綴った歌詞が、明るくノリの良いメロディに乗って、カラフルに元気よく流れ出す。
この音楽シーンは、カコとミライが、アイドルになりたいという夢を叶える、物語のクライマックスです。
そして、「イマガール」という歌は、カコとミライのアイドル奮闘記を越え、時代や才能など様々な制約があっても、それでも人は、自分という唯一無二の存在を、世界に向けて発信したいのだという、普遍的なテーマに迫る部分があって、聴くものの心に、高揚感を沸き立たせます。
過去でもなく、未来でもなく、「今」こそが輝く時だ、というメッセージが爽やかです(笑)。
「時空衝突」というSFのアイデアをベースに、過去と未来の少女が抱えるそれぞれの悩みと、変わらぬ共通の情熱を描き、同じ夢を持つもの同士の出会いが、夢の扉を開けていく様子を、音楽パフォーマンスによって表現する。
秀逸なドラマ構成と言うべきで、そこに、隙のない、キャラ、台詞、演技、ファッションが盛り込まれ、傑出した作品に仕上がっています。
ここまで充実したコンテンツを、7分弱のPVに詰め込むのは、ちょっと信じられない才能で、見終わって、呆然としてしまいました。
今回、ランキングを作るために、それぞれのペアPVに点数を付けたんですが、この作品は躊躇なく満点にしました。
そして、満点は、これだけです。
12枚目収録ペアPVの最高傑作は、文句なしで、「イマガール」だと私は思います。
あらゆる面において、クオリティが段違いで、まだ観てない方には、ぜひお薦めしたいPVです(笑)。
渡辺みり愛の2015/07/28_18:30ブログ
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2014年7月 ~
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// 乃木坂メンバーが出演する映画・舞台・テレビ番組
[地デ] 毎週金曜 24 : 12 ~ テレビ東京『初森ベマーズ』
乃木坂46が主要役を独占する初の連続「単独」ドラマ。
テレビ東京の番組公式サイト
[映画] 『アイズ』秋葉原アキバシアターで上映中
伊藤万理華の主演映画。原作は鈴木光司の短編ホラー小説集『アイズ』(2005)収録の『しるし』。鈴木氏は、『リング』『らせん』『仄暗い水の底から』などの原作者。
映画『アイズ』の公式サイト
映画『アイズ』予告編
秋葉原アキバシアターにおける特別追加上映の情報
舞台挨拶の情報
伊藤万理華の2015/07/06_11:42ブログ
映画『アイズ』予告編 主題歌Ver. teenAge dream / SuG
SuG「teenAge dream」のMV
[映画] 『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』が全国ロードショー中
7月10日(金)からTOHOシネマズ新宿ほか各地の映画館
乃木坂による単独主演映画。7月10日(金)と11日(土)に全国でメンバー参加の舞台挨拶。
映画の公式サイト
舞台挨拶のスケジュール
[舞台] 【第二章】學蘭歌劇『帝一の國』-決戦のマイムマイム- が7月12日(日)から上演開始
東京公演 7月12日(日) ~ 20日(月祝) AiiA 2.5 Theater Tokyo
大阪公演 7月25日(土) ~ 26日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
井上小百合と樋口日奈がWキャストでヒロインを演じる舞台。
ネルケプランニングの『帝一の國』公式サイト
[映画] 『コープスパーティ』が8月1日(土)から全国ロードショー
シネリーブル池袋ほか各地の映画館
生駒里奈の初主演映画。7月23日(水)19 : 00より、ユナイテッド・シネマ豊洲にて、舞台挨拶付きの完成披露試写会。
映画『コープスパーティ』の公式サイト
乃木坂公式サイトの試写会に関する記事
// 星野みなみの溢れる魅力
7月18日14:18 星野みなみ
乃木坂の風 09Oct13 ~ 星野みなみが放つ紺碧の輝き、代々木ライブの魅力と今後を考える
乃木坂の風 16Sep13 ~ 「みさ、原宿行くの?」、星野みなみに激怒する衛藤美彩! in 乃木坂の「の」
乃木坂各論第3話、星野みなみ ~ 紺碧の微笑、静謐の情熱、ここにヒロインがいる
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アレチの素敵な乃木坂業務連絡 24Sep13 ~ 星野みなみのコーナー
// 特集ページ
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アレチの素敵な乃木坂業務連絡 24Jun14 ~ シングル収録全曲の簡易ハンドブック
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 22Apr15 ~ レギュラー出演番組
# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています