ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

「羽根の記憶」MVは色鮮やかな美しい映像詩も、曲印象を薄める「操り人形」の芝居と大人目線の詞 [07Jul15]

2015-07-07 19:30:00 | 芸能
[映画] 『アイズ』秋葉原アキバシアターで上映中
伊藤万理華の主演映画。原作は鈴木光司の短編ホラー小説集『アイズ』(2005)収録の『しるし』。鈴木氏は、『リング』『らせん』『仄暗い水の底から』などの原作者。
映画『アイズ』の公式サイト
映画『アイズ』予告編
秋葉原アキバシアターにおける特別追加上映の情報
舞台挨拶の情報
伊藤万理華の2015/07/06_11:42ブログ

映画『アイズ』予告編 主題歌Ver. teenAge dream / SuG
SuG「teenAge dream」のMV

[映画] 『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』が7月10日(金)から全国ロードショー
7月10日(金)からTOHOシネマズ新宿ほか各地の映画館
乃木坂による単独主演映画。7月10日(金)と11日(土)に全国でメンバー参加の舞台挨拶。
映画の公式サイト
舞台挨拶のスケジュール

[地デ] 『初森ベマーズ』が7月10日(金)深夜に放送開始
7月10日(金) 24 : 12 ~ テレビ東京『初森ベマーズ』初回
乃木坂46が主要役を独占する初の連続「単独」ドラマ。毎週金曜日深夜に放送。
テレビ東京の番組公式サイト

[舞台] 【第二章】學蘭歌劇『帝一の國』-決戦のマイムマイム- が7月12日(日)から上演開始
東京公演 7月12日(日) ~ 20日(月祝) AiiA 2.5 Theater Tokyo
大阪公演 7月25日(土) ~ 26日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
井上小百合と樋口日奈がWキャストでヒロインを演じる舞台。
ネルケプランニングの『帝一の國』公式サイト

[映画] 『コープスパーティ』が8月1日(土)から全国ロードショー
シネリーブル池袋ほか各地の映画館
生駒里奈の初主演映画。7月23日(水)19 : 00より、ユナイテッド・シネマ豊洲にて、舞台挨拶付きの完成披露試写会。
映画『コープスパーティ』の公式サイト
乃木坂公式サイトの試写会に関する記事


乃木坂メンバーが出演する、近々放送予定の注目番組

[BS] 土曜夜11時15分
7月11日(土) 23 : 15 ~ 23 : 44 NHK BSプレミアム『乃木坂46SHOW!』
「太陽ノック」と「他の星から」のスタジオライブ。潜入シリーズは、渡辺みり愛が舞台『じょしらく』を取材。コントは「乃木坂ずし」。
NHK『AKB48SHOW!』の番組公式サイト

乃木坂出演番組をさらに知りたい方は、以下のページをご覧下さい。
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 22Apr15 ~ レギュラー出演番組



12枚目シングル「太陽ノック」のセブンイレブン限定盤に収録された、いわゆる3番目曲である「羽根の記憶」のMVが、先週公開されました。

乃木坂公式サイトの関連記事
YouTubeに公開された「羽根の記憶」MV
# クリックするとすぐに動画が始まりますので、音声などにご注意下さい

生田絵梨花が、日曜日のブログに

とても好評みたいです

と書いていて、出演作品の反響を割と注意深く見守るイメージのあるいくちゃんにしては、珍しくスピーディで強気なコメントになっています(笑)。

生田絵梨花の2015/07/05_19:18ブログ


実は、MVでタクトを振っている指揮者役は、中島章博氏という本物の指揮者が演じていて、ご本人がコメントをブログにアップされています。

中島章博氏の7月6日付ブログ

同じ芸術音楽の世界に携わる人が自身のMVに出演したということで、音大ピアノ科に在籍するいくちゃんが、気を使って、素早くフォローしたんでしょうか(笑)。


さて、楽曲とMVに対する個人的な感想を少し。

「羽根の記憶」は、10年後の自分を見つめながら、鳥のように空を飛びたいと願う、若い感性を、ゆったりとした旋律に載せて歌ったバラードで、聴いていて、心が落ち着くような、爽やかな曲だと思います。

MVは、絶妙な光量の下、カラフルで透明感の溢れた風景をバックに、乃木坂メンバーが軽やかに踊るシーンが連続して、きめの細かい画質が胸に滲みる仕上がりになっています。

海辺、学校、ゲームセンター、古着屋、駐車場など、選抜全員が、1人1人違う景色に登場、アップでのシーンが入っていたり、メンバー紹介ビデオと言っても良い面がある。

表題曲「太陽ノック」MVは、悪くもなければ、良くもないという印象しか受けなかったけど、「羽根の記憶」MVは、明らかに惹き付けられるものがあって、リピートして観たくなる作品です。


しかし、絶賛に値する傑作かと問われると、気になる点を二つほど指摘したくなります。

一つは、メンバーが、自分の意思に反して、歌を口ずさみ、体が動いてしまう、「操り人形」の芝居をするのですが、これは必要なんでしょうか?

歌詞の中に、「誰かに操られている自分」という話は出て来ないし、むしろ、自分の羽根を使って、自由に空を飛ぶことがメインテーマなので、なぜ操られる必要があるのか、観ていてよく分からない。

一方、MVで表現されている流れは、「誰かに操られた自分」を断ち切って、本当の自我に目覚めるのではなく、むしろ、操られながら、新しい自分へ導かれていくように見える。

となると、歌詞に書かれていない、自分を覚醒させる指揮者とは、どういった存在なのか、どうにもこうにも気になってくる。


指揮者は、他ならぬ総合プロデューサー秋元康氏であると言うならば、話の辻褄は合うけど、それでは、空を飛ぶことすら、誰かに仕切られているのが「アイドル」ってな話になって、何だか、歌の世界観全てがぶち壊しですね(笑)。

伊藤万理華、若月佑美、高山一実、橋本奈々未あたりが、持ち前の演技力に物を言わせて、抵抗しつつも、体を持って行かれるような、インパクトのある「操り人形」をぶっ込んでますが、「笑い」以外のどういう受け止め方をすれば良いのか、観ていて戸惑いを感じます。

指揮者のタクトに合わせて、普通に踊ればいいんじゃないかと思うのですが。

実際、齋藤飛鳥、西野七瀬、井上小百合、斉藤優里は、何かに操られる芝居がなく、かえって、ダンス、景色、そしてビジュアルの美しさが、素直に心に入ってくる。

MVの制作者は、何らかの意図があって、「操り人形」の芝居を入れたのだと思うけど、映像部分に歌詞世界とぶつかり合うような「意味」を入れると、歌のメッセージが、ぼやけてしまいます。


もう一点、気になったのは、歌詞そのものです。

空は飛ぶためにある
見上げるためじゃない

「羽根の記憶」以外でもそうなんですが、乃木坂の若いメンバーが、「等身大」の自分を歌うタイプの楽曲で、頻繁に感じるのは、作詞者の目線が上にあり過ぎることです。

未来へ向かってもがき、「空を飛びたい!」と痛切に願う気持ちと、「空は見上げるものじゃない」と、自分ではなく空のあり方を考察する余裕は、両立するように思えない。

「見上げるための空」があっても良いけど、そんなことはどうでも良くて、自分は、「この空を飛ぶんだ!」という、強い望みがあるだけでしょう。

若いうちに失敗しておけと
大人たちは意味深に語る

これも、大人になって過去を振り返ったとき思い出す情景ではあっても、青春真っ只なかにいる若者自身の目線という雰囲気がない。

自意識に溢れかえった自我が、焦りながら、恋いこがれながら、何かを激しく求めている空気感が、冷静で説明調の、評論家のような台詞によって、勢いを削がれてしまっています。


ゲスの極み乙女。の「ロマンスがありあまる」、[Alexandros]の「ワタリドリ」、SuGの「teenAge dream」など、最近、評判を呼んでいる曲は、嫌になるほど「僕」や「自分」に耽溺した歌詞になっていて、大空を羽ばたいて、次のステージへ飛んで行きたいという、若き願望が詰め込まれています。

これらはすべて自作の楽曲で、歌い手が、自分の今の感情を、言葉にして、メロディに載せて届けるスタイルになっています。

そのため、「等身大」の自分が、そのまま歌詞に生かされていて、聴き手は、歌い手の自我世界に、ある意味、逃げ場なく取り込まれ、心をぐいぐい揺さぶられます。

何と言うか、歌を通して、明らかに、余裕なく「ありあまっている自分」が伝わってくる、説明一切なしで(笑)。


「羽根の記憶」は、乃木坂メンバーの自我が色濃く反映される筈の歌で、方向性としては、上記の歌と同じものを持っています。

しかし、16歳の齋藤飛鳥や17歳の星野みなみの内面がテーマとなるような曲の歌詞を、現在57歳、おそらく彼女たちの親より年上である秋元康氏が、大人目線を完全に封印して書くのは、さすがに難しい。

1人称で、瑞々しい感性の溢れる詞が必要であれば、いっそのこと、あしゅやみなみ本人が書いた方が、間違いなく「今どき感」があって、生きが良い。

そして、メンバー本人が作詞出来ないのであれば、せめて、年齢がメンバーにより近いアーティストに頼むべきです。


ダウンロード配信、カラオケ、有線リクエスト、音楽祭での演奏時間などを総合すると、AKB48Gと乃木坂46の楽曲は、近年、一般層に受けなくなっていて、とくに若い層からの支持を失いつつある疑いが濃厚です。

楽曲が支持を集められないのは、膨大な数の歌を、秋元氏が1人で作っていることに加えて、歌い手であるメンバーと作詞者の年齢が離れすぎていることが原因だと思います。

作るべき曲数を含めて、作詞作曲システムを見直さないと、「恋するフォーチュンクッキー」のように、ときどき注目曲を出せても、人気低落傾向に根本的な歯止めは掛からないでしょう。


乃木坂の歌で、若い1人称の感性が、いかんなく盛り込まれ、表現されていると感じるのは「君の名は希望」で、だからこそ、この歌にはパワーがあって、高い評価を受けている。

J-popの音楽シーンで、濃厚な自我を歌うバンドが主役になりつつある中、乃木坂が生き残るためには、1人称ミディアムバラードとでも呼びたくなる「君の名は希望」のような曲を、もう一度、目指す必要があると思います。

「羽根の記憶」は、方向性としてトレンドに合っているけど、乃木坂メンバーが主役になり切れていない点に、根深い問題を感じさせるものがある。

誰かの「操り人形」ではなく、自分の意思で、自分の歌をうたうことが、隠れた羽根を広げることに他ならないでしょう。


日曜日の文化放送『乃木坂の「の」』で、12枚目Type-B限定曲である、からあげ姉妹の「無表情」が初オンエアされました。

CD音源なのに、松村沙友理の音程が怪しいという、なかなかパンチの利いた曲で(笑)、好感が持てます。

そして、からあげ姉妹、「食物連鎖」「サイダー」「無表情」に続く次の曲は、生田絵梨花と松村沙友理が二人で作詞作曲しちゃえば良いんですよ。

もし、メンバーが作詞作曲した歌が、シングルに収録されるよう状況を実現出来れば、乃木坂46は、10年後も、大空を高く飛んでいるでしょう。

メンバーが自作した歌を、メンバーが自分の声で歌い、メンバーが握手してCDを売るのであれば、それがどんなクオリティであったとしても、文句を言う人は少ないと思うし(笑)。


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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています

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