KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

諧獣ベッコス×ナキラ

2010年07月30日 | インディーズソフビ






PICOPICO怪獣きぐるみショーのメインアクター、諧獣ベッコスと
サンガッツさんのワンフェス2010夏限定品、「泣いてたまるか」の
ゲスト怪獣・かわいい怪獣ナキラ!共にきぐるみ怪獣という設定のせいか
並べると相性がよさそうな感じ。息のあったコンビ芸人怪獣って感じですか、
いろいろポーズをつけて飾ってみると楽しいです。
何か作風もコミカルさで近いところを狙っているようにも見えますネ。



ベッコスの長い舌は軟質塩ビでできているので、子供たちにビヨーンと
ひっぱられる、YOUTUBEでの気の毒な屋外パフォーマンス風景を
再現・想像しながら遊んだりも可能。造形自体もベッコスの着ぐるみを製作した
PICOPICOさんご本人が担当したので、これは寸分たがわぬ
デキ。少しソフビらしいレトロなアレンジも入っているのが
親しみやすさを倍加させているカナ?

PICOPICOさんと中野貴雄監督率いる仮面ライライ一座は
すっかり東京のトイ・ガレキイベントでのパフォーマンスでおなじみの
存在に。何か怪獣ソフビの売り場にいる記号的なイメージキャラクターに
すでになっている気が。今後さらに活躍の場が広がるといいいですね。





前面とカラーはガラモン(ピグモン?)、背面はレッドキングと
いわば成田怪獣のいいとこどりで、当時の怪獣ブームに追い風が吹く真っ只中にあって
デザインにフットワークの軽さも伝わってきます。一般ドラマに登場する怪獣にして
ウルトラ怪獣と地続きに見れるフォルムを持つナキラ。きぐるみの造形は
名匠高山良策で、直系の円谷特撮美術スタッフが組んで生まれた
隠れた名獣です。

劇中では青島幸男演じる新人サラリーマンが務める
広告代理店が文具メーカーの宣伝に使うイメージキャラクターとして製作した
着ぐるみの怪獣という設定でした。





ウルトラファイト風(ただし屋外版)に大決闘。ユルいです。
この2匹にレッドマンやゴッドマン相手はかわいそう。
そうだな、グリーンマンあたりを乱入させたい感じ。




「泣いてたまるか/かわいい怪獣ナキラ」とはこんな話だ!

怪獣ブームの真っ只中の日本。広告代理店に何とか就職した新人営業マン
(青島幸男)は地味な文房具メーカーの販売拡大企画を任され、初仕事に
燃える。下宿先の子供が見ている怪獣番組を見てインスピレーシォン!
(円谷プロの全面協力で画面に映っているのはウルトラQ「ペギラが来た!」の
クライマックスシーン)夕餉の時間、昭和の子供たちがブラウン管に映る
怪獣たちのドラマに心酔した空間がそのまま一場面に!
「しかしどこもかしこも怪獣一色だな、(いいなー)、
ハッ、よし、これだ!」






その夜、青島の見る夢は原始人になった自分が
洞窟で怪獣に遭遇するシーンだった。
夢のシーンではアンテナを修繕された(アンテナの形状が違う)ギャンゴが登場!

このウルトラ怪獣を使用し撮られた石器時代のシーンはじつはなかなか興味深いものがある。
というのは「戦えマイティジャック」の1エピソード「来訪者を守りぬけ!」に
キグルミが流用された巨大猿人パッキーが
もともとは主人公キャラになる予定だった「ウルトラセブン」は
原始人たちの物語だったから。

初期番組案の「ウルトラセブン」はもしかすると実際に映像化されていたら
こんなタッチの番組になっていたのかもしれないね。
しかし青島氏はギャンゴと縁が切れないね(笑)。

そして翌日の営業会議で怪獣を使った宣伝を
提案する青島「怪獣の番組を見て、マンガを見て寝たら
思わず夢にまで怪獣が出てきたんですよ!この広報宣伝は絶対
子供たちの人気の的になります!!」



ところが飲み屋に行き、ライバル広告代理店で辣腕を振るうベテラン女性に
彼女の正体も知らず、うかつにも怪獣を使う宣伝のアイデアをもらしてしまう青島

ライバル会社も流行に機敏に動き怪獣を使った広報展開を開始。
「アイデアを盗まれてくやしがってるけど甘いあなたがいけないのよ!
この社会は相手のアイデアを盗むような本物の怪獣たちがうようよいることを
肝に命じるべきだわ!

そう、あなたはまだ生まれたての赤ちゃん怪獣なのよ!」

厳しく叱咤する女性だが、やる気をもって広告宣伝の世界に
飛び込んできたこの若手のライバルの力量がいかほどか測りつつ
彼を憎からず見守っている気持ちもあるようだ。



たぶんネット初公開カナ。
これがライバル広告代理店の作るナキラのライバル怪獣(宇宙人)だ!
とうとう文具会社の宣伝は2社のコンペティションに。
ライバル広告代理店のプレゼン風景にはあの女性が出現。

青島の浮かんだアイデアを盗み、先に実現させて仕事をとろうというのだ!
パチ怪獣同士の広告争奪戦が開始された!

池谷仙克系というんでしょうか、シルバー仮面の等身大編に出てきそうな宇宙人っすね。
番組美術スタッフによるデザインで成田ラインの仕事ではなさそう。
「わが社は怪獣にサイエンスフィクションの要素を入れて、怪獣から一歩進んだ宇宙人を
広報に使用します。全身リモコンで動き、声はテープレコーダーで
再生するという最先端のつくりです!」
ハリウッドSFX映画対日本特撮映画を先見したような展開。
この攻勢にどう出る青島?奇策は?!「泣いてたまるか!!」







これもネット初公開だと思う、ナキラが浮かぶ前に
下宿先の家族が考えたナキラのアーリーデザインともいえる謎の怪獣たち。
それにしても下宿先の家族が、居候といっしょになってちゃぶ台を囲み、
怪獣を考えてくれたり。店子にここまで親身なのも昭和のころならではの
人間関係の描写かと。当時の近所関係はなんともほのぼのしてたのね。

青島はあの女性の言った一言を思い出す。
あなたはまだ生まれたばかりの赤ちゃん怪獣なのよ。
エコーのように胸中に響く一言が突如ヒントとしてカタチに!!
「赤ちゃん怪獣か。。。それだ!」





そして誕生。ナキラ大地に立つ!
いつのまにかキグルミも完成(でも製作過程が出てこない。青島が夜なべして
大伴昌司のカネゴンのキグルミ自作入門でも読みながらスーツを自分で作ったのか?)

成田先生のデザイン画はここでは青島の絵ということになってるが
「漫画家さんに書き直してもらいたかったんですけど、
まあこんなのたいしたことないっすよ」オイオイ結構おそれおおいぞ青島。
上役たちもまだ半信半疑だが、とにかくやってみろとGOサイン。
下宿先の息子の協力でさっそく怪獣のきぐるみを青島本人が着込み
怪獣らしい歩きなどを練習開始
「そんなんじゃ怖くないよ!ほら、ノッチノッチ!!」






「きゃあああ」
下宿先でのスーツアクショントレーニングはおばさんが上げた恐怖の悲鳴により
中止。アチャー。仕方なく公園で夜中に練習することに。
「しかしまあ、なんでここまで俺がしなきゃならないんだよ~」




公園を歩いているカップルが通報し、警官(名バイブレイヤー大泉晃!)やら
考古学的見地から怪獣を研究をしている得体のしれない博士
(シャドー星人の回の占い師を演じていた木田三千夫!)やらあたかも怪獣映画の
登場人物ともいえるいろんな人が集まってきて大騒ぎに。




下宿先の子供「あれー、チャックが壊れてるみたいだよ」
青島「なんだって! 
違う、俺は怪獣じゃない!!」
とうとう警官隊が出動して発炎筒とネットで押さえ込まれ、
青島は怪獣として逮捕されちゃいました。
(今、思ったんだけどこの話、昭和当時、円谷倉庫から
近所の子供によりガラモンのキグルミが盗まれて
夜中に公園で着て遊んでるのを市民が目撃して大騒ぎになった有名な事件に似てますよね)





しかしこの大騒動も大きなどんでん返しを生むことに。
新聞にまでデカデカとのったこの新人営業マンのお騒がせ事件は人々に話題を提供し、
結果的にタダで膨大な宣伝効果を生み出すことに。
青島のいる広告代理店はこの文房具メーカーの宣伝契約を
無事ゲット。しょげていた青島だったが
思いもよらず上司からお前はよくやった!と励まされ、
けっして泣かないつもりだったのに感きわまって思わず嬉し涙を流す青島
もう、泣いたっていいんだ!

そして円谷怪獣たちがパレードする一大イベント当日
(ウルトラ本編よりもちょっぴり疲れた感じの
ガラモン、ギャンゴ、ネロンガのキグルミが登場。いいな~
怪獣ファンならタイムスリップして行ってみたい風景ですな)

下宿先の子供とお父さんも来訪したが
キグルミたちばかりで青島がどこにいるかわからない。
路傍で華やかなパレードを見守るマスクオフ状態のナキラ=青島
イベントは成功したが青島の心の中にはいつしかあのコンペティションで競った
敏腕女性のことがうかび、心ならずも表情は晴れなかった。







そこへあの彼女が登場「わたしの負けね、自分のアイデアをとられても
あなたの純粋なその目を見ていたら、なんだか気負っちゃったのよ。
もうかなわないなとおもったワ」
なんだか今は戦友のような、それ以上の何かが2人の間には築かれたような。
どこかで惹かれあいながらも
弱肉強食の精神で社業を拡大する貪欲なエコノミックアニマルとして対決した2匹の怪獣。
そしてそのうちの一匹の怪獣・ナキラは辛酸をなめて少し大人になり
今は怪獣ではなくなったパートナーの女性と
怪獣たちの闊歩するパレードの中をいっしょに歩き出していた。

なんかイイ話だね。

サンガッツさんはこのナキラを「子供の怪獣」としてキューピー人形の
イメージを取り込んでソフビにアレンジ。成田モンスターとしてのシャープな
雰囲気をあえてソフビとしてなじみやすくマイルドに仕上げたというところか。

実際、劇中でも駆け出しの広報宣伝マンがナキラの姿を空想しているシーンで自分が
ひよっこの広報営業マンであるという意識をこめて生まれたての赤ちゃんの
怪獣というイメージで作ろう、と話しているシーンがあるので、
このサンガッツさんの開発史におけるヒラメキは
くしくも劇中の設定にシンクロしていることになる
(HPを見ていると、サンガッツさんは通しでこのナキラの話をご覧になって
いないみたいなので、あくまで偶然みたいだな。なんつっか
好きこそもののなんたらっつか、スキルに勘が加わって仕上がりが補完された格好カナ。)






というわけでサンガッツさんにとっても作りたい成田怪獣の一匹として、
念願のソフビ化が叶った模様です。


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