■鑑賞日記

基本的に[ネタバレ]に配慮しておりませんので御注意下さい。そして概ね敬称略。

朧の森に棲む鬼@新橋演舞場(1/18昼公演)

2007年01月19日 | ステージ・レポ
朧の森の魔物と、命を引換に力を手に入れる取引をし
舌先三寸で人を騙し、世を渡り、地位を得ていく男ライを演じる染五郎が美しい。
均整の取れたスタイルに目鼻立ちもきりり。
着物姿の立ち居振る舞い、太刀さばき、見栄を切る仕草などはお家芸。
ライを信じて人生を共に歩んできた腕に覚えのある弟分キンタには阿部サダヲ。
ひたすらライを信じて生き最後には裏切られてしまうのだが
そののちのキンタの殺陣シーンの格好良さといったら・・・素晴らしい。
盗賊の頭マダレの古田新太も凄みと貫禄のいい味を醸し出す。

「好きと憎いは同じことなんだ」と、劇中のライの言葉が残る。
相手の事を思って思い詰めると心の中はその人ばかり。
思いを語ろうとする仲間を「言葉にすると薄っぺらくなっちまう」と制したマダレ。
これまでどれほどライの言葉に翻弄されてきたことか。
ライは自らの嘘の報いの結末へと向かっていってもなお後悔などなく
彼はしぶとくその嘘だらけの生き方を極めようとするのである。
生きるが嘘ならすなわちそれは死?
生き方は死に方、死に方は生き方・・・。

物語を追い、歌を、踊りを、言葉を、殺陣を存分に楽しみながら
朧の森の異世界でさまざまに思いを巡らせた3時間(休憩を除く)だった。

朧の森の怪しい雰囲気が漂う舞台セットには髑髏がいっぱい。
演舞場らしく、雨のシーンも効果的に使われていた。

『劇団☆新感線』の活躍に、かつての『夢の遊民社』をふと思い出す。
もちろん両者の作風は全く異なるものなのだが
目の前に展開される表現世界にわくわくさせられるこのイキオイが。

1階12列1*番
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