じゅんなおひと

スポーツジャーナリストもどき

ちょっとした緩みが生んだ名勝負 史上初の2度目の春夏連覇の行方は?

2018-07-27 21:48:14 | 高校野球

6回までは根尾投手の鋭さ強さ抜群の膝元のストレート、履正社高校初登板の右腕濱内主将のベース付近から曲がるストレートと見極めしづらいスライダーの前に両軍0行進が続く。

 

7回表大阪桐蔭は無死三塁から5番根尾が外角を巧く合わせてレフト前先制タイムリー。甘いとこだけは避けたいとのバッテリー心理を見透かしたようなバッティングが光りました。この回3点をあげ、あぁ結局はこうなるのか。今季は力の差があるからコールドもあるかもな?ってな展開にも見えたが、実はこの3点こそが、ドラマの始まりとなった。

 

7回裏、心なしか根尾投手の投球がそれまでより大雑把に見える。裏を返せばそれまでそれだけ、高い緊張感をもって投げていたということが推察され、根尾をもってしても、3点先制の魔力、にはまったことが推察され、この回1点返され次の1点をとった方がという展開に。

 

8回表、大阪桐蔭は無死満塁のチャンスを逃す。まだ、緩みを閉め直す、ことはできていなく見える。7回表終了時点で私が感じたことと同じことを思ってなきゃいいがと危惧すらしてしまう。 

 

8回裏履正社先頭筒井選手が根尾投手の内角ストレートをレフト前にしぶとく運ぶ。それまで差し込まれてアウトかファウルだったものがテキサスヒットに。このヒットあたりから、このまま終わってたまるかと言わんばかりに履正社の夏ならではの泥臭く内からにじみ出る迫力が際立つように。それまで鍛えぬいた守備を見せ続けていた2番遊撃手西山選手がライト線を破る三塁打で一点差に。次打者の一塁ゴロは強めの打球だったとはいえ石川選手と普段なら止めてただろうなを止めれず同点に。その後二死走者なしになりたか~く上がったショートフライだったとはいえこれも普段の大阪桐蔭の選手なら難なくとりそうなのを途中から入った奥田選手落球。これ、記録は奥田選手のエラーですがレフト宮崎選手の責任が大きいエラーだったと思います。ポテンヒットコースにたか~く上がった嫌なフライ、こういうのは外野が追ってあげて内野がとるにしても外野が内野に道しるべしてやらないといけないと思います。普段の宮崎選手なら当たり前でやっていたことと思いますが、この時の宮崎選手は突っ立ってしまい遅れて慌てて前進してくることに。こうした石川、宮崎の守備からみても、大阪桐蔭はまだ緩んだ紐を閉め直すことは、この時点でまだ出来てなく見え、緩んだくつひもはすぐに閉め直せても、緩んだ心の紐をを閉め直すのはそうはいかないということを、この日の大阪桐蔭が身をもって示していたかと思われます。その後途中出場の松原選手にこれまた気迫を感じるスイングで左中間を割られついに履正社逆転。一転、大阪桐蔭が追い詰められることに。 

9回表大阪桐蔭の攻撃、先頭の代打俵藤選手がセンター前にしぶとく運ぶ。次打者石川選手のバントは小フライ、それでもバウンドするかと思われた場面でこれまた途中出場のサード三木選手猛然とダッシュしダイビングキャッチで併殺。チャンスが一転二死走者なしに、ここでも気迫を見せつけた履正社に対し大阪桐蔭は、緩んだ紐をついに閉め直せないまま、いよいよ崖っぷちに追い詰められることに。このまま履正社が勝てばそれこそこの試合、銀河系最強高校球児軍団に泥臭く立ち向かいついに勝利した試合として、後々まで語り継がれる歴史に残る名勝負となるとこだったがそこは人間のやること、そうはうまくいかないことに。

 

9回表二死走者なし、ここで迎えるは2番宮崎、結果論になってしまいますが、ここで終わらせることが出来なかったことが、最後の最後履正社が勝てなかった要因かと思われます。二死一塁とまだ守備側優位の状況とはいえここから迎えるは中川藤原そして根尾。それまで極限の緊張感のなかで投げ、心身ともに疲弊し、投げたあと倒れこむほどに消耗した中、9回の瀬戸際の攻防でこの3人はきつかったと思います。4者連続四球で同点は棚ぼたではありません。打席での3人の圧がスタンドからも凄く感じられました。この3人の中で仕留めることができたとすれば4番藤原選手のとこかと思われます。この時藤原選手は柄にもなく必死に食らいつく。言い方変えれば食らいつくので精一杯。1球でも膝元つければ終わったかもですが残念ながら全部外。この下りは2年生捕手野口選手の1年の経験の少なさが要因としてあるかと思われ、同じく2年生ながら主戦投手として期待されながら肝心要の試合で一死もとれず打者二人で降板させられた清水投手とともに、きっと来期肥やしにしてくるかと思われます。その後山田選手の勝ち越し2点タイムリー。三遊間へのコースヒットでしたが、ついにストライクを入れにいかざるをえなくなったバッテリー心理をよく読んで、よく振り切ることができたと思います。この時の2塁ランナー藤原選手の走塁も大きかった。通常無理目も彼の脚力があったから、2点差にし、履正社の反撃意欲をなくすことが出来たかと思われます。最後はエース柿木投手が完璧なリリーフ。すごい球なげており、まさに、だめ押しの投球、でした。

 

まさに薄氷の勝利で決勝進出の大阪桐蔭。ですが史上初の2度目の春夏連覇への道は、根尾投手が攻略されたことにより、これまでよりさらにパターンが限定されたことを示した試合となったかと思われます。柿木投手が肝心要は全て先発し根尾投手は投手根尾としてはあくまで柿木投手の温存要因として使い、柿木投手を軸に全試合3点以内に抑える。打線に決め手はないだけに、このパターンしかないかと思われます。それでもあくまで根尾投手軸でいくとなると次の決勝の大阪学院戦も怪しくなり、全国すら逃すことになりかねないかと思われます。根尾投手だと大阪学院とは守備走塁で大阪桐蔭やや優位とはいえ、投打はがっぷり四つになってしまうと思われるからです。根尾選手は野手としてのみならず、投手としてももちろん素晴らしい投手です。が、センバツと同じように彼が投手として決め手になりうるだろうかと言われれば?だなというのが残念ながらこの日の試合で出てしまったと思われます。何故なら根尾選手は怪物ではなく天才。体格からしても他を圧倒するものではありません。そういう選手だといくら素晴らしくても夏は決め手になりえず、この日のように泥臭くくらいつかれてついには飲み込まれてしまう。などが、これからもあるかと思われます。夏に決め手になる投手というのは天才ではなく怪物。体格からして見るからにそういうものを感じさせる投手でないといけないかと思われ、実際、大阪桐蔭藤浪など、過去に決め手になった投手もみんなそんな感じだったと思われます。柿木投手にはそういうものが見るからに感じられ、東海大相模との練習試合や四條畷との試合を観ても、いよいよ怪物候補生が覚醒されつつあると感じました。大阪学院は特に目だってどうというのはありませんがここまで箕面東戦以外は全てスコアメイクして勝利。唯一それが出来なかった箕面東戦もエース山崎君は先発しておらず、投打は高いレベルでバランスがとれているという印象を観ていて持ちました。それでも柿木でいけば、相手の勝ちパターンは限定できるかと思われます。

 

この日の薄氷の勝利は、史上初の2度目の春夏連覇へ向けての大きなターニングポイントとなったかも知れません。今後の大阪桐蔭の投手起用に注目、かもですね😃

 



コメントを投稿