■■■■■■■■■老齢対策,真っ盛り■■■■■■■■■
中西英樹
タイ王国チェンライ市在住、タイロングスティヤー
■■市場としての高齢者」ーーー
🔵起業する場合、狙う市場は何処かをはっきりさせる。市場とは
一般に「売り手(供給者)と買い手(需要者)が商品、サービス、
証券などを売買する場所」のことを意味する。もし 認知症が治る
薬が発明された場合,何処を市場とするか。それは老人が沢山いて、
認知症患者が多くいる国である。
少子高齢化が社会問題化している先進国や中国は市場として有望
だろう。お金を払ってくれるユーザーが沢山いるところが、市場
規模が大きいという。今の日本は下流老人ばかりではなく、裕福
な高齢者が多いから、
・サプリ、
・健康器具、
・健康食品のメーカー、
・出版、
更にはオレオレ詐欺などが、高齢者を良き市場として日夜、営業
活動に勤しんでいる。
●2021年10-12月と調査時期はちと古いが、週刊誌の発行部数を
見ると,週刊文春が50万部とトップであるが、週刊現代が、
・週刊新潮(31.2万部)、
・週刊ポスト(30.4万部)
を抑えて堂々、36万部と2位となっている。
週刊現代は
・「歩けない、食べられない。 わからないをこうして防ぐ」
・「この食品で寿命が縮む」
・「間違いだらけの死後の手続き」
・「70過ぎたらほ~ら、あなたも仁王立ち」
と言った特集に見られるように、高齢者を市場としている事が
特徴だ。あなたも仁王立ち特集では「道具を使ってイカせちゃ
おう」、「デフレ愛人を作ろう」とキャプションも過激である。
俺は,私は、まだ若い、この元気を維持しなければと思っている
高齢者をターゲットとした戦略は当たっているのではないか。
帰国していた時期、新聞をたまに読んだが、広告はサプリ、健
康器具が多かった。新聞の読者も高齢者に偏ってきているのだ
ろう。
🔵出典:シニアマーケティング研究室
■■「高齢者を狙ったユーチューブ」
🔵高齢者を対象にしたユーチューブも増えてきた。順不同でタイ
トルを並べてみる。
・「縁を切るべき人と大切にすべき人の違い3選」
・「ちょうどいい孤独 60代からはソロで生きる」
・「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」
・「これで一生ボケない!老化や認知症を防ぐ[究極の習慣3選」
・「[絶対食べるな】60才から老いが一気に加速する食べ物7選」
・「肌がツヤツヤになり、若返る食べ物5選」
など。
高齢者の性についても 、女医さんや 恋愛コンサルタントという
方があけすけのない内容をアップしている。
例えば、
・「熟女が悦ぶ最高の前戯とは?」
・「中高年になってモテ始める男の特徴」
・「女は60歳からがやりたい放題」
・「行為は何歳までできるの?データを元に解説」
・「女性が感じてしまう前戯が上手い男の特徴」
などなど・・・。
孤独に慣れ,頑張らない生き方が大切と言いながら、その裏では
80歳までセックスなどと煽り立てる。熟女ならこうしてバカ老
人をひっかけろとか、ツバメで女の若さを保とう,といった女性
対象のユーチューブは殆ど見かけない。それにしても なんだか
なあ、という気分になる。
■高齢者用書籍
🔵「老後のために40,50から始めておくべきこと」
「60になったらやるべき『老い支度』」
「定年後も輝く人とダメになる人の致命的差」
「70代が『老い』の分かれ道]
「よぼよぼの80代にならないための過ごし方」
「好きなことだけやって寿命を延ばす!80代を生きるコツ」
などなど,時系列的にユーチューブのタイトルを見ていたら、自
分の愛読した「蛍雪時代」の特集記事を思い出した。
・「志望校突破のための1年計画」
・「夏休み、不得意科目はこうして攻略せよ」
・「冬休み、今からでも間に合う科目別、20点アップ法」
・「入試直前1カ月、これだけやれば合格圏内」・・・・。
入試直前1カ月をやったが第一志望には落っこちた。1年前から
やったとしても落ちたと思う。老後対策も40,50歳代から始め
ても,長生きできるとは限らないし、70過ぎてヨボヨボ, 認知症
になったとしてもそれまでの準備が悪かったからとは言えない。
40,50代から「老い支度」万端で暮らしていても60過ぎで死ん
でしまったら、その人の話は聞けない。長生きしたもん勝ちで、
80,90まで生きたら「煙草と酒のお陰です」と言ってもみな、
そうか、と聞いてくれる。
友人,知人が少なくなるように、高齢になれば頭も体の機能も次
第に衰えていく、それを実感しながらも残っている能力を生かし、
毎日を明るく過ごす。年下の医師や評論家の書いた「高齢者はこ
う生きろ」といった指南書を何冊も買うよりも、俺の人生経験の
ほうがよっぽど役に立つと自画自賛し、開き直って生きるほうが
気持ちのいい老後が送れるような気がするけれど、やはり年を取
ってもマニュアルに頼りたくなるのだろうか。
■■「老害が生じるには」(老害になりようがない)
🔵老害とは「企業や政党などで、中心人物が高齢化しても実権を
握りつづけ、若返りが行われていない状態」を言う。転じて周囲
に迷惑を及ぼしたり、周囲を不愉快な気持ちにさせる老人そのも
のを指す場合もある。何かと周囲に害を与えることから、老害と
呼ばれる。うちの会社は老害で、とか県議会の老害は、などと批
判する人は若い人である。
チェンライに暮らして10年以上になるが、老害と批難されたこと
はない。老害は組織の中で発生するが、自分はまず組織というも
のに属していない。日本人会は組織と言えるかもしれないが、会
員の平均年齢は70歳を越えているのだから、老害と言うなら全員
が老害だ。老害(老人)は身を引いて、実権を若い世代に譲れ、
こう発言する人は若い人である。日本人会には60歳以下の若い会
員もいるが数が少ないし、実権を譲られても困るので小さくなっ
ている。
周りの若い人と言えばタイ人になってしまうが、こっちは外国に
住まわせてもらっている手前、周囲に迷惑をかけるとか不愉快な
思いをさせることのないよう自重して暮らしている。だからあの
日本老人は老害だよ、と言われてはいない(と思う)。また、親
日国であるし、先人の築き上げた日本ブランドもあって、敬意を
もって扱われている面さえある。というわけでチェンライの老人
は老害と無関係に暮らしている。と言っていいだろう。
🔵シニアマーケティング研究室
■石を投げれば老人にあたる
🔵ところで、日本の総人口に占める高齢者人口の割合の推移を
みると、
・1950 年(4.9%)以降一貫して上昇が続いており、
・1985 年に10%、
・2005年に20%を超え、
・2021 年は29.1%となり、
数にして3,640万人となっている。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると,この割合は今後も
上昇を続け、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれ
た世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込まれて
いる。そうなると3人に1人は高齢者だ。
🔵出典:厚生労働省
年金は少ないし、高齢者となっても働く必要がある、という人も
いるだろう。またお国では一億総活躍社会と言って、引き籠って
いる老人を非国民とまではいわないが、社会に貢献していない、
少しは働けと無言の圧力をかけている。
家に居れば奥さんに「邪魔だからどこか働きに出て」と命じられ
るご主人もいる。高齢になっても様々な理由で組織に属して活動
している人は少なくない。それなりに社会のお役にたっているの
に、若い人に老害と批難されるのでは立つ瀬がない。
組織においては、よく働く人2割、そこそこ働く人6割、働かない
で足を引っ張る人2割という割合だそうだ。この割合は年齢には
関係がない。
余談であるが働き蟻の集団も全員が同じように働くのではなく
上記の2・6・2の割合になるそうだ。そして 働かない蟻だけの
集団を作ると、やはり2・6・2の割合に落ち着くとか。
出典:シニアマーケティング研究室
■■「世代間の軋轢」
🔵老害の反対語は「この頃の若い者は」だそうだ。老人は 5千年
前から同じセリフを吐いていたらしい。世代間の軋轢は 昔から
あったが、ほんの百年前は老人の数が少なかったから、老人の
蔑称である老害はあまり使われていなかった。
🔵出典:厚生労働省
人生七十古来稀なり、ほとんど老人がいない世であれば老人には
希少価値が付く。供給が少なければ価値が上がるは経済学の常識
だ。ネットや書籍のない時代には古老の話に若者は耳を傾けた。
つまり老人の話に需要があった。老人敬うべし、は経済原則から
言ってもごく当たり前だった。
今のように3人に1人弱が老人となれば、供給過剰で価値が下がる。
スマホもパソコンも使えない、と若い人は老人をバカにする。現
役の頃、新入社員に「パソコンのない時代、どうやって仕事して
いたんですか」と聞かれて答えに詰まったことがある。
オレの若い頃はナー、算盤で決算書を作ったもんだよ、女子社員
も深夜残業してナーなどと言えば感心してくれるどころか、そん
な自慢話で存在感を示したいのか、と疎まれるのが関の山だ。
自慢話をする老人に限って変にプライドが高いから、なんだ―お
前はオレをバカにするのか―、とキレてしまう。昔は「切れる人」
というと仕事のできる人のことを指したが、今は若者が老害の代
名詞として使うようになった。
チェンライでは若い人と組んでやるのは,テニスくらいだから若い
人との軋轢が生じようがない。周りの邦人は同年配の人ばかり。
利害関係がないし、お互い、職歴、学歴、ムショ歴等、個人的な
話は話題に上らない。その人がいい人かどうかだけが付き合う基
準となる。それに人間的に質のいい人ははまず自慢話などしない。
「君子の交わり」をチェンライで実感するとは思ってもみなか
った。
■■■■■データで読み解く高齢化市場■■■■■
(構成:Jtiro)
■「日本の人口と高齢者社会」
(🔵出典:厚生労働省)
■「日本の年代別人口の推移」
出典:シニアマーケティング研究室
🔵出典:厚生労働省
■「日本の高齢者市場の実情」
(出典:シニアマーケティング研究室 )
(出典:シニアマーケティング研究室 )
🔵80歳越えの超高齢者は,なぜ保有資産を使わないのか?
(出典:シニアマーケティング研究室 )
(🔵出典:シニアマーケティング研究室 )
🔵出典:厚生労働省
■「日本の高齢者医療と介護の実情」
🔵出典:厚生労働省
(🔵出典:厚生労働省)
■「日本の高齢者のための禅語」
🔵日々是好日(一日一日を大切に生きる)
🔵我逢人 (人と会う事からすべてが始まる)
🔵看脚下 (足元に注意、常に自戒し己を見失わない)
🔵脚下照顧 (身近な事に十分きをつけよう)
🔵和顔施 (いつも笑顔で人に接しよう)
🔵本来無一物(世の中に、何一つ執着するものはない)
🔵下載清風 (心にため込んだ荷物を降ろせば、心に清らかな風が吹く)
🔵一行三昧 (とにかく一つの事にまい進する)
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