goo blog サービス終了のお知らせ 

「21世紀はアジアとの時代」 (Jtiro🔴Jpn) SDGs.Webサイト(Editor: K.Yamada)

●Copyright © 2025.All rights reserved.●Since2008.
  

■王国のエピソード

2022-02-07 | ●北條語録

■■■■■■■■■王国のエピソード■■■■■■■■■


北條俊彦
経営コンサルタント・前 住友電工タイ社長

■「タイ王国の象徴
タイ王国最初の国旗は17世紀中頃の「赤く無地」の国旗であっ
たそうだ。その後19世紀中頃に赤地に王家の象徴
「白象」の描か
れたデザインになり、そして1916年に現在の
様なデザインにな
るが当初、真ん中は赤色であったそうだ。


             (赤地に白象の旧タイ国旗1855-1916年)
1910年に起こった国旗逆掲揚事件が原因で、1917年に現在の国旗
に制定された。
タイ王国の国旗は「トン・トライトング(三色旗)」
と呼ばれ
中央の紺色が「国王」を象徴し (ラーマ6世の誕生色)
色が建国の伝説に登場する白象に由来し「宗教」を
象徴している。
また赤色は「国家・国民の団結力」(国民
の命)を表現しているの
だそうだ。
        

■「男女の関係
さてバンコクでのタイ人女性の悩みは彼氏の浮気らしい. バンコ
クでは女性人口は男性よりも多いと言われている。国全体での男女
比率は10対11程度であるが、女性
の進学率や就業率は男性より
も高く、女性の高学歴、
高キャリア化が進み、地方から都市部への
女性の流入
が止まらないため、バンコクなど都市部では女性比率が
かなり高くなっているようだ。
(首都バンコク)

それが理由かどうかは不明だが、バンコクの女性は男性よりもよく
働くし男性に対しいたって親切であった。時代錯誤の
表現になりお
叱りを受けるかもしれないが“タイの女性は気立て
が良く, 基本的に
は男性によく尽くす“のである。

但し”キレル”タイ女性の怖さについては  後々 耳にすることになる
だが・・・私の会社においても女性は  総じて 能力は高く仕事に
対する
責任感も強くよく働いてくれた。そして笑顔の素敵な優しい
社員が多かったと記憶している。

尚、笑い話の域ではあるが、バンコクではゲイも多く一般女性が
象と考える男性が更に少なくなることからも, 男性の価値が高いと意
識されているようだ。

古典落語の「厩火事」に出てくるお崎の亭主, 怠け者で昼間から遊び
呆け 酒ばかり飲むまさに“髪結いの亭主”であるが、
実は,バンコクに
もその“髪結いの亭主殿“が結構いるのだと
我が家のメイバンさんか
ら女房殿経由で聞かされたことがある。


タクシーの運転手に結構いるらしい。運転手の多くは地方からの出
稼ぎ者であると聞いている。第二稿でお話ししたが、
日本と少し様
子が違うのである。地方は確かに都会と比べて
経済的には決して豊
かではない。
しかし 敬虔な仏教徒である
タイの人々は心豊かで、弱者への施しの
精神(タンブン)を持ち
決して人は飢えることがないのである。豊
かで恵まれた環境が
勤労意欲を低くしているのである。

タクシーはサービス・安全とあまり評判は良くなく、軽犯罪は日常
飯事らしい。私もよく経験したが乗車拒否も多く、乗っても道が
分か
らないと言って途中で降ろされる始末。またメーターをおろさ
ず、ぼっ
たくられる事もよくあるようだ。私は 小銭の持ち合わせが
ないと言っていつもお釣り分をチップがわり
にせしめられたもので
ある。

やはり一番安心安全な乗り物はトウクトウクであろう、料金交渉は
必要だが、危険が迫れば衆人環視の中いつでも飛び降りる事ができ
るから、駐在員の奥さんは買い物によく利用されていた。

それと、タクシー車内での忘れ物は絶対帰ってこないのでご注意を、
私も携帯電話等大切なものを幾度か置き忘れたが一切帰ってこなか
った。

話は戻るが、人間の男女比がおおよそ1対1なのは何故か?”と疑
問を
持たれた方は、フイッシャーの原理でも勉強されると良かろう。
またお断りしておくが、私はLGBTに対する差別・偏見はなく “性の
平等”について教育や法制度について社会が取
り組むべき重要な課題
だと認識している旨補足しておきたい。



■「就業の環境
ここでタイの労働基準と男女雇用について振り返って見たい。
企業経営において優秀な人財確保とその育成は大課題であるが スタ
ッフ部門だけでなく、製造現場においても、能力、
責任感、信頼性、
定着性を考慮すると総じて女性を採用
したくなるのである。

私の所管した会社の製造現場においても女性への期待は高く 女性の
8割、男性の2割程度の従業員配置が最も効果的
に運営できた
(私の経験則上、最も労働生産性の向上効
果が認められた従業員の
男女比率である)。

 お分かりのように逆に女性ばかりでも上手く行かない。経営者とし
ては女性の能力と勤労意欲の高さは確信しており、彼女
達が最大限
に活躍できるよう職場における配置を考えてみた
結果であった。

製造現場でも兎に角タイの女性はよく働いてくれるし、よく考え
て改善などの提案をしてくれる。妊娠していても 自らが申し出て出
産日ギリギリまで働き、出産後数日にして働き出す。

会社としては、母子の健康との安全を考慮して休暇を取るよう 勧め
ても“働きたい”の一点張りで聞かないのである。
出産の休暇は産前
産後で90日間取得でき、内45日は
有給ですが、この頑張りの気
持ちは嬉しいのではあるが、取扱
い判断については実に困った。
なくとも日本だと容認すればえらいことになる。

但しタイには法定傷病休暇が30日間ある。お腹が痛いとか、少し
風邪気味だとかで休みが簡単に取れるので
ある。しかも、医師の診
断書は不要で(診断書が必要なの
は3営業日連続で休む時のみ)で
ある。
傷病休暇を取得
する従業員は非常に多く、有給休暇と合わせると実
質日本
と変わらぬ年間40日近くの有給休暇があるようなもの。
が社においても腹痛が傷病休暇取得の主要理由であった。

因みに当社の有給休暇は、入社年次によって少し差があるが10〜
12日/年を支給していた。


タイの法律では労働条件は下記の通りである。
労働時間は1日8時間で1週間48時間
・休憩時間は連続5時間以上の労働では1時間以上,2時間を超える
    時間外労働では20分以上の休憩(休憩時間は無給)

休日は週1日以上の休日
割増賃金は時間外労働1・5倍、深夜労働―、
    休日労働2倍、
休日時間外労働3倍
・時間外労働時間数は、休日労働及び休日時間外労働時間との合計で
   36時間を超えてはならない。
尚タイでは出家休暇や兵役休暇など
   もあり注意が必要である。

試用期間 119日
労働組合(10人以上の発起人が必要) 労働福祉委員会(50人
   以上の従業員を有する企業は設置義務あり。ストライキ権
は無い)
・社会保険は保険料月給上限20,000バーツに対し本人と会社それぞ
    れ5%を負担。給付内容は健康保険、老齢年金、失業
保険の3つ。
    健康保険は指定病院でしか使えないため利用しな
い従業員が殆んど。
私の会社では福利厚生の一環として 会社として従業員を対象に別途任
意の医療保険に加入した。



■「解雇の事情
ところで一番厄介だったのは、従業員の解雇処分であるハラスメン
ト、不正横領、犯罪経歴詐称等倫理規定に反する様々な問題が起こる
のであるが法や就業規則に触れた以上、
会社としては相当の処罰、酷
い場合には解雇処分とせざるを
得ずその為には慎重な対応が必要で、
下記の3点については
厳守徹底した。
事前通知の義務
解雇補償金の支払い義務
解雇の正当性検証

ただ、解雇通知を出す前に話し合いの場で、諭旨退職(自主退職)を
勧めた。何れにしても、タイ人の人事マネージャーが実際
対応するこ
とになるが、日本人経営者とのコミュニケーション不足や、
タイ人固
有の特徴である“人に嫌われたくない、嫌なことは関わりたく
ない“と
の思いから違うメッセージ伝えてくることが多いので、弁護士等
法律
の専門家とも都度相談しつつ進めることが大切であった。

私の場合、日系企業で長年人事労務の経験を重ねてきた年配のタイ人
で人事労務管理のベテランをアドバイザーとして迎え従業員
との直接
対話をすることで、経営者側の意思が正しく理解されるよう
努めた。
またリスクヘッジとして日本的経営にも理解があり、政治力
のあるタ
イ人有力者(事業家)を顧問として迎えた。


解雇事例は随分経験したが、特に、人事や調達部門は業者との
癒着が多く見られた。例えばキャンテイーンでの食事は業者に委託
していたが、業者より一食あたり数バーツ、人材会社には派遣者数
一人当たり数百バーツのバックマージンを要求していたのである。
私の所管する製造会社では人数は数千人規模の従業員を
抱えており、半端ではない金額がそれぞれの懐に入ってしまうの
である。セキュリテイー会社に調査させたが、金額の受け取りは
振込ではなく社外のガソリンスタンドなどやり取りしていたよう
だ。

後に私は中国へ駐在することになるが、同じことが中国でも常態
化しており、しかもタイとは比較にならぬ程大掛かりであった。

日本円で月額20万円程度の給与所得の社員が最高級のBMWを乗
り回し、高級マンションを二軒購入するというもので
あった。その
後の処置についての言及はここでは控えたい。

また、タイ人管理職の部下に対する横暴と各種ハラスメント行為も
多かった。
記憶に新しいのでは高齢の社用車ドライバーが大卒新人
女性社員を籠絡して関係を持ち、拉致していた事件があった。
このケースではドライバーを即刻解雇したが、被害社員のメンタル
アにはかなりの時間を要した。また、私も含め人事マネージャー
ドライバーの逆恨みによる傷害の危険があったため、人事マネー
ャーには暫く警察の警護をつけた。


住めば都、不思議な国タイ
タイでの住みやすさは何か?と問われると“自由と開放感、そし

時の緩やかな流れ”となる。

王室があり、クーデターなど政治的にも不安定であり、宗教的・社会
的タブーも多いタイであるがやはり“自由と開放感、そし
て時の緩や
かな流れ”を肌で感じ、心から満喫できるのである。

外国人にとって“良さや悪さが混在する非日常の日常”がエキサイテイ
ングなの
かもしれない。何かにつけて懐かしく不思議な国タイランド
である。

■■■■■■■■■■関連資料■■■■■■■■■■

🔵「タイ王国の概要(成田から空路6時間, 時差2時間)
・タイの人口6617万7783人
・首都バンコクの人口552万7994人
タイは新型コロナワクチン接種者を対象に隔離なしの入国制度
   テスト&ゴーを2月再開した。

🔵日タイ修好135年の足跡について知りたい方は
  当ブログの右側にある「カテゴリー」の5)タイの話題」から
  ●日タイ修好の足跡(11)」をタップしてご覧ください。

🔵「タイのGDP国民総生産の推移

●「タイ進出の日本企業数5856社を数える)



🔵「海外在留邦人数(都市別)バンコクが世界第2位)

🔵「海外在留邦人数(国別)タイが世界第4位

・出所、国土交通省2021)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ■如月の歳時記 | トップ | ■感動の極み(前編) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。