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「21世紀はアジアとの時代」 (Jtiro🔴Jpn) SDGs.Webサイト(Editor: K.Yamada)

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■釈迦に説法(北条語録)

2021-03-09 | ●北條語録

■■■■■■■■■■■釈迦に説法■■■■■■■■■■■             
                                         北條俊彦
   
■■経営とタイ人」      
経済の本義“經世濟民”とは 「世を治め、民を救う」ことです。
その本義に基づき「自律独立的な個別経済単位としての行為」が
経済学的に意味する経営です。
紀元前8世紀、周の時代の詩の一節に「之を経し 之を営む、庶
民之を治め日ならずして成る」が  経営の語源と言われています。


経とは「繊維の縦糸のことであり 真っ直ぐに筋道を引く行為
営とは 「建物の周囲を丸い外枠をめぐらす、区画を決める行為
を意味し、経営とは筋道を引き、枠組みを決めて行う社会的行為
(古代中国では神を祀る)を意味するものでした。
経済の本義に立ち返り  現代の経営目的は「人の徳に重きをおき、

自利より利他、利他よりも公利に尽くし  本業を通じた社会的価
値を創造」してゆくことだと思います。

1990年代、タイ国は国の総力を挙げ、自動車産業を中心とした
海外からの投資誘致を図り、その具体的な実行段階にありました。  
その中心となったのが日系企業です。
当時、私も自動車部品事業でのタイ進出PJの責任者として 会社
設立とその経営を任されたのがタイと私のご縁です。このタイ駐
在が、私の15年に及ぶ海外駐在の中で最も学び多き5年間でした。
齢64「壮にして学べば 則ち老いて衰えず。」の心境です。
 
その後タイは、東洋のデトロイトと言われ 飛躍的な発展を  遂
てきましたが、日本からの駐在員も 第3或いは第4と世代交代
を重ねてきております。 残念なことに最近TwitterなどSNSで 彼
らがタイ人への不満や愚痴をこぼしているのをよく目にします。

例えば「タイ人はダイと返事はいいが仕事をしない」「タイ人は
失敗してもマイペンライと他人事。腹たつ、キレそうだよ!」

これは一言でいうと”駐在員の未熟さと経験不足”そして、コミュ
ニーション不足によるものだと思いますが、最も大きな原因は日
本の教育の在り方ではないかと私は思っています。

トン・トライロング(タイ国旗)」や「プレーン・チャート
タイ(タイ国歌)」を目や耳にするたびに感じますが”国を愛す
る心”を日本では正しく教えられていないのではないでしょうか。
是非「礼節と自国への誇りと愛情」を持ってタイの方々と接し
下さい。

経営においては、従業員との信頼関係構築と人財の育成が最重
要事項です。
日本人経営者は、タイで仕事をさせて頂いていることに先ず感謝、
そしてタイの社会や文化だけでなく、一緒に働くタイ人の気質や

生活習慣を誠実に理解する不断の努力が必要です。その為にも、
冷静、且つ客観的に双方の違いを受け止め、その背景を理解しよ

うとする姿勢が重要なのです。でないと違いにのみ注意が向いて
しまい、相手の一部だけを見てしまう。結果、双方の違いを実際
よりも大きいものと錯覚し、双方に誤解と不信感を招いてしまう
ことになってしまいます。 
  
仕事のスタイルですが、日本人は個人の職責と結果を重視し、
タイ人は職場における人間関係を重視し、それを守ることを最優
先とします。
タイにも「グレンチャイ(遠慮や気遣い)」という言葉はありま
すが、日本人の遠慮や気遣いとは随分違います。また、怒りや不
満の感情を表すことは稀であり、人に嫌われたくな い(良い人で
ありたい)という欲求が強いようです。

■■「タイ人と共に働く
私の経験から見たタイ人(以降「彼ら」と表現)の気質について
お話します。


1)報・連・相」
仕事において、彼らから「報・連・相」はありません。
彼らは、ほうれん草よりもチンゲン菜を好むのです。即ち(沈)
黙して(言)わずに(済)ませるのです。

彼らが「報・連・相」できない理由として、問題の認識力が脆弱
で、想定力が不足、自己保全(問題発覚する迄放置)、責任逃避
等々惨憺たるものですが、それらは大体において、故意や悪意に
よるものではないことだけはお伝えしておきます。

 
 ”それを全て許容できたなら御釈迦様でも敵うまい”でしょうが。
ただ、彼らが特殊なのでしょうか?そうでは無いでしょう。

基本的には日本人にも同じところがある筈です。要は、コミュニ
ケーションの取り方に難しさがあるということなのです。
報・連・相は部下から上司ではなく上司から部下にするものと頭
を切り替えて下さい。そして、上司が日頃から丁寧に笑顔でフオ
ローを心がけ、決して怒らない叱らない姿勢で相互の信頼関係を
構築してゆく姿勢と努力が必要です。


2)責任と権限委譲
これは非常に難しい問題です。
彼らは集団主義的農業社会の価値観を持つており、特徴的なのは
下記の通りです。

 ①与えられた役割分担の結果責任を個人では取らない。
 ②結果責任は組織全体で負うものと考えている。
 ③報告の必要性を感じていない。
 ④リーダーシップと自発性は非常に希薄である。 
 ⑤プレッシャーに弱い。
大事なのは日本人経営者が彼らの価値観を理解し、意識変革をす
ること。即ち彼らの仕事を把握するのはボスの仕事として、決し
て目を離さないこと。

また、結果責任は権限を与えたボスの選択責任であると達観し、
肩書きをあまり厳格に捉えてはいけない(期待しない)のです。
彼らへの権限委譲は、日本人経営者の仕事の負荷を減らすのでは
なく、逆に増大させてしまうリスクが非常に高いのです。


3)社会的化粧=不可思議な彼らの微笑み(イム)
タイは微笑みの国とよく言われますが、一説にはその微笑みには
9から13種類の使い方があると言われています。
彼らの微笑みには喜びや親しみ以外に、当惑、恥辱、自責、緊張、
恐れ、怒り、悲しみなどを表現しているものがあり、それらは人
 間関係を維持し、社会的調和の中で、ものごとを上手くまとめて

ゆこうとする彼ら独特の行動様式(社会的化粧)だとも言えます。

タイ語でイム(Yim)は微笑みを意味しますが、例えば以下のよ
うな 微笑みがあるのです。

「イム・ターン・ナムター(とっても幸せ)」
「イム・タック・ターイ(あまり知らない人への丁寧な微笑み)」
「イム・チューンチョム (あなたは素晴らしい)」
「イム・ヨー(からかい)」、「イム・サオ(悲しみ)」
「イム・ヘン(ドライな開き直りといった作り笑い)」
「イム・タック・ターン(あなたの意見には賛同できない)」
 「イム・スー(勝ち目のない戦いに直面した時の笑い)」
「イム・ミー・レッサナイ(心の中にある悪意を隠す微笑み)」
彼らからのサインを見逃さないためにも、常日頃から笑顔で率直
に彼らと会話を交わす姿勢を維持し、観察眼を磨いて下さい。

カラオケ女性の微笑みだけでは何も学べないということです。

 
4)タイは階級社会(縦社会) 彼らの宗教観(小乗仏教
そして日本人経営者として何よりも肝に命ずべきことは、タイは
階級社会であり、小乗佛教がタイの社会構造に大きな影響を与え
ているということです。 それを表現する2つの重要な言葉があり
ます。

第1は「ブンタム・ガム・テーング」現在の自分の社会的地位は、
前世の業によっており「分」を知り、それに従うという意味です。
第2は「ルーチャク・テイースーング・テイータム」は人の上下
を知るという意味です。 彼らの人生観であり、個人の来世での幸
せを祈る小乗仏教の特徴です。

そのため経営において「ブンクン/恩義」の考えが最も重要です。
誰かが純粋な親切心と誠実さによって 必要とされる助けと恩恵を
他の人に施し、他方、後者が受けた恩恵を忘れずに いつでもそ
の親切心に報いる。「ブンクン」にはそうした恩を与える人と受

ける人との心理的な絆という、第1の側面「メーター・ガルナー
(慈悲と思いやり)」と 、第2の側面 「ガタンユー・ルークン

(感謝と恩義)」があります。
日本人経営者も慈悲と思いやりに努め、この心理的な絆の連鎖が
構築できるよう彼らとの関係を深めてゆくことが求められるので
す。

5)彼らと共に働くための知恵
①企業内において異なる国と階層の人々が、礼儀正しく友好的な
    方法で相互に交流の連鎖を起こせる仕組みや組織を作ること。
②社長は家庭におけるお父さんの役割を果たし子供達(彼ら)に
    真を尽くす姿勢を常に示すこと。

③仕事を通じて会社と共に,成長し家族ともども幸せになれると
     いう
ロングライフプランを彼らと一緒に描くこと。


 

■■タイとの共存に託す思い」        

これまでのタイの成功は日本企業の投資が多かったことが成功
主因でしたが、タイの課題は20年前も今もあらゆる階層で人財
が育っていないということです。

日本企業は投資の意思決定をするとヒト・モノ・カネ・技術を徹
底的に投入するし、集中的に日本人を投入して事業を仕上げてき
ました。しかし20年前と変わらぬ課題を前に、そのやり方が本当
に良かったのか日タイ双方で深く考え直す必要があると思います。

既に中進国の罠に陥入り、且つ、少子高齢化が急速に進み、いづ
れ日本と同じく、これまで経験したことのない深刻な問題にタイ
も直面してゆくことになります。

日タイは強い絆で結ばれており、日タイが同床同夢で持続可能な
社会を是非創り上げて頂きたい。そのためにも日タイが連携して
将来を担う
優秀な人財の育成を強力に進めてゆくべきだと切望し
す。


■■「日タイ経済の動向を知るための図説」(参考資料)
   ■1) 2000年以降の経済危機と景気動向



  ■2)タイの経済成長率の推移 出典・ニッセイ基礎研究所
                    
  ■3)アジア市場の人口とGDPの一覧図   ●出典・IMF)

 
 
  4) 日タイを核としたアジア市場の全容
 

 ■5) 世界主要7ヶ国の戦前以降の経済リスク図説 出典Economist 

 
                                   

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