考える英語 (英作で英会話上達!)

身の回りの事から、社会情勢まで、幅広い事柄を、自分の知っている簡単な英語で表現していきます。英会話教室をやっております。

英作問題 『居酒屋』答えと考え方1

2014-12-16 06:30:00 | 英作 解答
    《居酒屋》
1. とりあえずビールだ。

→なぜ「とりあえず」なのか。さしあたってビール。いや、ビールも何も、他のものを選べばいいじゃないか、とも思うが、なぜビールなのか。考えさせられる。ビアホールならビールだろうが、なぜにビールだけ?そんなにビールが好きなのか?それもあるだろう。しかし、個人の好み、嗜好性を超えた何らかの文化的意図、暗黙の了解的なものをここに感じる。

同じ釜の飯を食う、という言い回しがある。会社等、同じ苦労を共にした、深い絆で結ばれた者同士、ということ。ちなみに、company (会社)という単語の由来は、com が「一緒に」を表し(→community、communism、common 等の “com ”)panyが、 フランス語のpan (食べるパン)から来ていて、「同じパンを食べる」から転じて companyができたらしい。洋の東西を問わず情理は異ならず、といったところ。だとしたら、ビールの考察に戻ると、なぜとりあえずビールなのか。さしあたっては、他の選択肢はさておき、個人の嗜好を度外視して、この個人主義の、個性花咲く日本において、あらゆる選択肢を切り捨て、毎度同じく「ビール」なのか。連帯感のためである。居酒屋に皆で行き、注文する段になって、みんながビールを頼むなか、飲めない人はウーロン茶を頼む際のいささか冷ややかな空気。何の罪もないのに感じる飲めない人の罪悪感。飲む、飲まないのは個人の勝手なはず。面白い。ビールを飲まなきゃ人じゃない的社会的風潮(まあ私も「とりあえずビール」飲みますけどね)。人に強制されて飲む「一気飲み」文化もこの辺りの消息を表しているのではないか。

さてそろそろ英語に表現しなければ。この「とりあえず」は、辞書では、for the time being、 や for now. などが出ている。思索をここまで進めてくれば、「とりあえずビール」は、みんなで連帯感を強め、絆を深め、より一層今後も協力していきましょう、という隠れた意図があることが判明するので、これを表す英語はLet’s であろう。辞書や自動翻訳では、とりあえず=for the time being等程度しか訳出できない。ここが、機械と人間の相違である。機械には感じることのできない微妙な感情を知性とハートをもつ我々人間は、心の機微を感じ考えることで、表現し得る。 let’s という英語。let us~. 一緒に、何はともあれ。ごちゃごちゃ言わずにやりまっせ。let’s の心理、語感は、とりあえずビールと言う時の感じにフィットする。絆を深め、連帯感を醸成する let’s.


英語は面白い。英作などしなければ、考えることのない事柄も、産みの苦しみ(表現)を経て、その本当の意味を了解し得る。機械(自動翻訳)になど任せてられない。我々には知性がある。意味を洞察し得るのは、思索する精神のみである。我々英語学習者は、もっと自分に、自分の感性に、自分の経験に、自分の精神に自信をもつべきである。本当の英語学習(英作を含めて)とは、劣等感や依存心を克服し、自分に対して、本来もち得る自信を取り戻すことなのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする