時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

青い夜とブルートレイン

2020-05-22 | essay


真夜中に目が覚めて
なんだか寝付けなくなる。

そんなとき、夜汽車に揺られていた夜を思い出す。

あの光景はどの夏の夜だったのだろう。

小さな頃から毎夏、ブルートレインに揺られて母の里に帰省した。

寝台車の中で、赤ん坊だった弟がぐずって泣くのが子ども心に心配だったのは、わたしがまだ4歳だった夏。

最後に乗ったのは高校二年生の夏だったと思う。

わたしは、寝台車で夜中に目覚めてカーテンの隙間から夜の風景や通過する駅の白い光を眺めているのがすきだった。

列車の音を聞きながら青い夜を眺めていたあの特別な時間は、わたしのからだに染み込んでいるようだ。

ざわざわと気持ちがざわめいて眠れない夜、雑多な様々な物事の思考は封じ込めて、
あの青い風景や黒い森や白い月を想うと
こころが静かになっていつの間にか眠りにつくことができる。

街の夜は朝までオレンジ色の街灯に照らされて明るいけれど、
きっとこうしている今でも、あの頃と同じように青い風景や黒い森が拡がっているはず。

今はもうあの山陰の里へ向かうブルートレインは走ってはいないし、里の地に眠る母のお参りへは空を飛んで行くのだけれどね。

違う場所に流れる同じ時間。
同じ場所に流れる違う時間。

どれがどれでももういい と思えたらきっと
もっと高みから傍観できるのだろうな。。。




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