記憶とは、つくづくふしぎなものだ。
約30年ぶりに読み返し始めたイギリスミステリ小説「女には向かない職業」。
主人公のコーデリアという名を目にした途端、
「子鹿色」というコトバがふわふわと浮かんできた。
ストーリーはほとんど憶えていないのだけれど・・・
このひと、確か「子鹿色」のセーター着てたんじゃなかったっけ???
読み進めていくと
やっぱり~出てきた。
「こじか色のスカートとグリーンのブラウス」というくだり。
あら、セーターじゃなかった。スカートでした~。
「こじか色」ってコトバが魅力的だったから記憶に刷り込まれていたのかなあ。
著者、P.D.ジェイムズの小説は、細やかな状況描写がとても多いことで有名。
わたしは遅読派なので、そういうの結構すきだけれど
さっさと読みたいひとには、細かすぎる描写にまどろっこしさを感じるかもねえ。
そういうわけで、P.D.ジェイムズのミステリ小説は
机の配置から床の絨毯の色までディテールを描写してくれるおかげで、
まるで自分がそこに居るみたいに本の中に入り込める。
陽射しの温かさや匂いまで伝わるほど。
「こじか色」、原文ではどういうコトバなんだろうな。
それにしても、その「こじか色」を実際目にしていないのに
まるで視たかのように覚えているのは、やはりこの著者の細やかな描写のおかげね。
本の中のこじか色。
記憶のフシギ。。。いとをかし~。
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