国立新美術館へ
ここは建物がとてもすき。
外観の清々しさもさることながら、内部のゆったりとした開放感がいいんだなあ。
なぜかここへ来る日はいつも快晴。
波打つ美術館が青い空によく映える。
お休みの小春日和。
思い立って「チューリヒ美術館展」へ
宣伝通りに大御所の代表作揃い。豪華な見本市のような展覧会。
有名な画家の絵が多い展覧会とはいえ、
観るほどに既視感がつのる・・・。
あれも、これも、 あれ?これも。 全部じゃないのだけれど
わたし、観たことあるかも ??
絵のいくつかは以前ポストカードを買って持ってる。
家に帰って昔のポストカードを確かめたら、あらまあ、まさにこの美術館でした~。
昔20代の終わり頃にヨーロッパを鉄道で貧乏旅行した時
滞在した街の美術館は必ずと言っていいほど立ち寄っていたので
わたし、チューリッヒ美術館も観ていたようです。
記憶ってものはいいかげんなものだなあ。
昔の旅のノートを久しぶりに引っ張り出して紐解くと、
ちゃんと自分の字で書いてありました。
1994年 11月6日 チューリッヒ。 ぶらり、美術館へ。
「KUNSTHAUS ZURICH」 の入場券まで貼ってありました~。
そっか。「チューリヒ美術館」って日本語としては記憶がないから
余計に覚えていなかったのか?
ここでは、ジャコメッティの細い細い彫刻と
セガンティーニの山の風景に感銘を受けたことはよく覚えてる。
だいすきなマグリットも数点あったような。
ところで、この旅の記録ノート、当時の切符や入場券、
チョコレートの紙やらチーズのラベル、お店のレシートまで
ありとあらゆるものが行程とともに添付してある。
紙モノ好きのわたしらしい仕業だなあ。
後で旅を思い返して楽しもうって思っていたのね、自分。
大事に仕舞い込んだまま、開いたのはもう10年以上ぶり。
せっかくだから、ちょっとこの手帳であの長い旅をこころで再現してみよう。
1994年かあ。。。
あれから、三人の人間をこの世に送り出したり
たいせつな人を見送ったり・・・。
あれよあれよと言う間にちょうど20年経ったんだ・・・・・・・。
おそろしい~~。光陰矢の如し。
それにしても、当時こころを魅かれた絵はちゃんと覚えているものなんだなあ。
今回話題のモネの大きな絵「睡蓮の池、夕暮れ」は、なぜか全然記憶にない。
今回観ても、やっぱりわたしのこころには入ってこない。
絵も、なにごとも、「スキかそうではないか」で
本能的に記憶の箱に入れるか入れないかを割り振っているのかもね。
モネは、今回 「陽のあたる摘み藁」の光と影の中のたくさんの色遣いにこころを奪われました~。
今回の展覧会に来ている絵の中で
20年前にも気に入ってポストカードを買っていたのは
ホドラー 「日没のレマン湖」
シャガール 「ヴィテブスクの上で」
ジャコメッティ 「広場を横切る男」
今観ても、やっぱりすきなものは目を引く。
おもしろいなあ。
本能的にすきなものってのは、一度すきって思ったらきっと一生すきなのね。
「チューリヒ美術館展」 国立新美術館にて 2014年12月15日まで。
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