時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

ロックのいた夏

2010-01-24 | essay
オカメインコのヒナが我が家にやってきた。
生後一カ月のかわいいかわいい赤ちゃん鳥。
長男がお年玉で買ってきた。
ここまでくるのには、実は長い道のりがあった。。。

約三年前、長男が五年生の終わりごろに
ずっとずっと欲しがっていたオカメインコのヒナを
お年玉をはたいて買った。
自分で世話ができる年齢になるまではダメという約束だったので、
ようやく叶った、彼の夢の鳥だったのだ。

大事に大事に可愛がって育てていたのに、
鳥を飼うのはわたしも初心者、こともあろうに
うっかり油断して玄関から飛ばしてしまった。。。
何日も近所中を探して歩いて、あちこちに張り紙をしても
結局戻ることはなかった。

「ロック」の飛んだ夏。
彼の、静かな落ち込みようはとても痛々しく、
わたしは自分を責めることしかできず、
ロックに似た灰色のヒヨドリが視界を横切るたびに
はっとして追いかけた。
鳥だもの。そりゃあ飛びたかったんだよね。

なんどもなんども夢に見る。
「夢に出てくるのは、元気だよって知らせてくれてるしるしだよ」
と気休めを言うことしかできなかった。

半年後くらいに近所のマンションに品種の違う
白いオカメインコの迷い鳥が現れたことがあって、
近所の何人もの友人知人が、うちのロックじゃないかと
知らせをくれた。

きっとこうしてロックも誰かに保護されて
きっとしあわせに暮らしているよ、って
そう思い込むことしかできなかったよね。

あれから、近所のお宅で産まれたセキセイインコを
譲り受けて飼っているのだけれど、
長男は、どこか距離を置いている感じがいつもあった。

そしてこの年明け、長男が突然
「オレ、またオカメ飼おうかな」と言いだした。

やっと、本当にやっと、痛みが和らいだんだね。
ごめんね。。。

生き物を飼うのは、どんなものでも覚悟がいる。
死を受け入れるのもたいへんだけれど、
見届けずに突然いなくなるのはもっと
こころの整理がつけにくいものなんだね。

縁あって我が家にやってきたこの可愛いヒナ。
差し餌をがむしゃらに食べて日々力強くなり、
羽を広げて一生懸命羽ばたく練習をしている。

オカメインコは十年以上長生きするものも多いらしい。
そうか。十年後はもう君は社会人なんだね。
君がおとなになるころも一緒にいられるよう
わたしも今度はこころして気をつける!

長生きしてね

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