時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

店内交叉点

2013-11-23 | essay



お客さま商売の醍醐味。
最近ちょっとだけ わかってきた。

袖摺り合うも他生の縁。

毎日、いろんな初対面。
束の間の、人生が交差する瞬間・・・
改めて考えると、日々たいへん貴重な体験をしているってことなんだな。

時計の修理を預けにいらしたお客さまと
束の間、話をする。

時に、その時計に纏わる昔の話をしてくださるご年配の方もいらして
そこからどんどん、扉の奥へと深く拡がるその方の過ごしてきた人生の話になることもあり
時間を忘れてお話に聴き入ってしまう。

話の糸口がなんだったのかは覚えていないのだけれど、
先日、もうすぐ90歳になられる というお客さまが、
終戦直後のシベリア抑留の体験談を話してくださった。
こうして、その目で見てその手で経験された実体験の話を聴くことは
戦争体験者の方々の高齢化が進んだ今となってはたいへん貴重なこと。。。

暫し、わたしも平成の現代に戻るのが難しいほど 引き込まれてしまった。
そのおじいさんの、二十歳前後頃の話。
聴いているうちに、そのお顔にとても精悍な若者の面影がちらちらと見えてしまうほどのリアリティ。

壮絶な体験をも生き延びて、今こうして元気でいられるというのは
そのひとの持つ生命力の強さなのだろうな。

たくさんの辛いことを呑み込んで、にっこりとほほ笑むそのおじいさんの優しい笑顔から
強力なパワーを分けていただいた心持ちになりました。

ほんの束の間、まったく別の人生がクロスする特別な瞬間。
一期一会。
たいせつにしたい、ひとつぶひとつぶの時間です。

  



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