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「列車に乗った男」2002年フランス映画
世間を渡り歩いてきたハードボイルドな壮年の男と、
一生を古い洋館で過ごす保守的な老紳士が偶然出逢う。
対極に位置するふたりの男が共に過ごすうちに、
自分と真逆の生き方をしてきたお互いの人生の片鱗に触れ、
それぞれの人生のかけらを共有することで、静かな友情が芽生え始める。
しかしそれは、ラストへのほんの数日間の出来事なのだ。。。
ラストシーンはきっとひとそれぞれ受け取り方が違うだろう。
どう受け止めるかは観客次第。と、突き放されるタイプのラスト。
う~ん。。。ムズカシイ。
この映画、映像がとても美しい。
限りなく静寂な海の底のような色。
古い御屋敷の中の枯れた黄金色。漂う過去の時間の香り。
そして、このふたりの壮年男性が静かなやり取りの中で
時折見せる少年のような瞬間がとても素敵なんだ。
このまま、別の道を選ぶことだって出来るのに…。
なんて思って、切なくなる。
映画の中の時間が止まってしまえばいいって思うほど
このふたりの佇まいは魅力的で、リアリティがある。
男の生き様が描かれているのに、女のわたしでさえ
かなり感情移入してしまう映画だった。
それにしても、なぜか近頃人生の秋を生きるひとを描く
映画をよく観てる気がするなあ。
いつの間にか自分もそういう映画を理解できるくらいに
オトナになったってことか???
老年を描いた映画は、観る者の年齢にかかわらず
「時間には限りがある」って当り前なことを改めて気づかせてくれる。
そして、たいせつなのは長さではなく濃さであることもネ!
ちょっと重たいけれど、なんだかとってもこころに響く
いい映画だったなあ。数年後にもう一度観たくなるに違いない