氷河は白いイメージだけれど、
近づくと青い。
あの青はなんの色なんだろう。
海の青は、空の色で変わる。
そんなことに気付いたのはいつのことだっただろう。
でも、氷河の青は純粋に氷の持つ色。
クライン・マッターホルンの展望台に昇った時、
氷河の青の美しさに心底圧倒されてしまった。
ひとの少ないシーズンだったためか、ひとっ子ひとりおらず、
あの素晴らしい真っ白な山々を望む大パノラマを
ひとり占め。(もとい、ふたり占め!)
この世ではない別の場所に立つような不思議な気持ちだった。
永い永い時間、変わらずにそこにある氷の中の青。
あの時初めて、白の中にある青を知った。
ニンゲンひとりのいのちは短いけれど、
大自然は脈々とそのまま続いてゆく。
なのに、そのニンゲンのせいで、かたちを変えゆく自然。
そのままに、たいせつにしたいと望むひとりひとりの気持ちが
大きく合わされば、きっと何かが変わるはず。だよね。