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宮武外骨 過激にして愛嬌 明治憲法体制下の対抗言論

2017年05月01日 | ジャーナリズム 大森実 ・孫崎

           ▲宮武外骨の評伝2冊 左 赤瀬川原平 『外骨という人がいた』 右 吉野孝雄 『宮武外骨』

 

宮武外骨 過激にして愛嬌 明治憲法体制下の対抗言論

 

宮武外骨 過激にして愛嬌 明治憲法体制下の対抗言論

 

▲ 左は赤瀬川原平 『学術小説 外骨という人がいた』 1991 ちくま文庫 原著は1985年 白水社

▲ 右は、吉野孝雄 『宮武外骨』 1992年 河出文庫(改訂版) 原著は1980年 河出書房、文庫は1985年

 

 ▲ 詩誌『ユリイカ』 1993年 9月 特集 宮武外骨  青土社 951円+税

表向きは、表現の自由の世の中、民主主義下の日本だが、メジャーなテレビ・新聞言論人の自由度といったら、宗主国アメリカ様の意向を最大限に留意するので、アメリカがウクライナ独裁と言えば、独裁といい、シリアのアサドを独裁と言えば、独裁という。選挙で選ばれた大統領を有する国家に暴力で体制変革しようとすれば、国家権力は、軍隊を差し向け、武装集団を排除する。これは、独立国家なら、ごく普通の対応措置であろう。シリア国家はシリア国民が決めるものだ。

アメリカは、何の権利あって誰が独裁で、誰が反民主的である国家と裁定するのか?

またもや、陰の勢力が動き始めたようだ。

トランプはアメリカ・ファーストと言ったのだが、早くも大統領就任100日に至る前に、何が国益(国民益)なのかは、大統領ではなく、「見えない政府」が決めるものらしいということが、はやくも露呈させてしまったようだ。

 

アサドのシリア国家に、暴力で打倒するのが、なぜ、「自由シリア軍」で、穏健な反体制なのか、説明がつかないのだが、日本のNHKや、朝日新聞の解説にも、「穏健な反体制派」 「穏健な反体制武装勢力」のようなことばが、使われていた。今年4月初旬のシリアに対する巡航ミサイル59発を打ち込む法的根拠はどこ?にあるのか。シリア政府軍が反体制武装勢力を追いつめる段階で、再びまた毒ガスプロパガンダが使用された。シリア政府軍の毒ガス使用疑惑。本当かね。

シリア政府は国連に毒ガス使用の真相解明について査察団の派遣を要求しているが、今もって検証作業は実現していない。国連は解明する意志がないらしい。(真相が嘘で、プロパガンダであったことがばれるのを恐れているのだろうが)

また、トランプ大統領のアメリカのシリアへのミサイル打ち込み命令は、トランプの娘イヴァンカのもとに届いたSNSからの映像(子供が毒ガスで苦しむ映像)が大きく影響したとされる。大統領の娘イヴァンカに、未だ実行者不明であるはずの毒ガスで苦しむ子供の映像をシリア政府軍によるものと断定し、直ちに送信したのは誰なのか? 

トランプは、アメリカのCNNなどテレビ・新聞などは嘘ばかりとマス・メディアは信じないので一貫していたのだが、娘のイヴァンカに届いたSNSだけは簡単に信用するのだから摩訶不思議。

もしかすると、「シリアのアンネ・フランク」 7歳(バナ)の声を世界に発信して、プロパガンダに徹している英国に本部を持つシリアの民間市民救出団体「ホワイトヘルメット」界隈から発せられているのでは?

英国の「ハリー・ポッターの作者」も、「シリアのアンネ」ことバナちゃんにスマホで読める小説を贈ったというから、有名人の動員にかけては、「ホワイト・ヘルメット」はネットワーク形成能力・資金力もあるようだ。

なぜかシリア政府軍が、反政府武装勢力の根拠地を叩くと、すぐに、「ホワイト・ヘルメット」は民間人の被害者救出を世界に向けて発信するから、反政府武装勢力と「ホワイト・ヘルメット」は同一の勢力の異なった別働隊とみなした方が良いかも知れない。

2017年3月から、4月にかけて、NHKは、シリア反政府勢力が関わり作成した映像を使い、番組を放送したのだが、再検証する気分も失わせる、、一方的なプロパガンダの翻訳番組だった。こんな番組を放映して恥じらいはありませんかNHK様。

ついでに、思い出した番組があった。去年3月頃放送されたNHKの「陰謀紹介」番組。

ちょうどアメリカ9.11事件後15年の年だった2015年までの情報を総覧して、ユダヤや、フリーメーソン陰謀説などの風説に混じって、ケネディ暗殺事件、9.11事件のことも、陰謀ではなく、ただの無根拠な風説として総括・解説していた。

パックンも番組に出演していたのだが、あの番組を見ていて、パックンも、9.11事件が政府による内部犯行説には個人的な愛国精神が許さないのかと思って見たのだが、よく考えると、パックンのほかにも、日本の民間テレビ放送によく出てくる金髪のお兄さん(デイブ・スペクター?)とともに、ある政府筋の機関が民間人に依頼し、属国のメディア監視を担当している人士ではないかとつい勘ぐってしまったのだ。

 

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何も意味する中味のない、現実に対応する裏付けを持たないデマとしての勢力のこと 「穏健な反体制派」、「穏健な反体制武装勢力」の嘘を暴くこと。

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戦後のアメリカが行った諸外国に対するクーデターを民主的活動とする策謀は、第二次世界大戦後でも枚挙にいとまがない。

アラブの春・民主化という煽動・プロパガンダは、例えば、「サウジアラビア」や、「カタール」国など、アメリカが基地を置いて、民主主義とは何のゆかりもない専制王権維持をはかり、これらの国がアラブの春ー民主化で何が変化したのか問うてみただけで、その嘘がわかる。

日本のメディアは、ウクライナ右翼ファシズム・クーデターを、アメリカにならい民主的な変革と呼び、腐敗だらけのその後のウクライナ政治・社会情報はぴたりと報道が止んだ、2014年には、ウクライナのニュースを連日にわたり報道していたのだが。今は封印している。アメリカ・ウォール・ストリートの意向を受けたアメリカ人がウクライナ閣僚になっているなど、どこのメディアが詳しく伝えただろうか。ウクライナの閣僚に司法・防衛の大臣が、右翼セクターが握るのが民主化と呼ばれる。米国籍のある人物が財政・保険など3人もウクライナの閣僚に就任しているのなら、通常は傀儡政権と呼ばれておかしくないのだが。

法のもとで、名目民主主義がいかに謳われようと、法のもとにある人々が、具体的な場で、民主主義を実践し、また権力を監視しなければ、権力は陰謀工作を隠蔽し、市民の権力監視を監視し、抗議のデモ(すわりこみなども含む)の試みすら、「暴力をともなう行動」の共謀の準備として、潜在的犯罪の予備グループとしてマーキングされる。

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安倍晋三の、明治憲法にも擬した復古運動が、声高に言明される今

いよいよ、宮武外骨の出番が再び巡ってきたのだと思う。

「過激にして愛嬌」 党の宮武外骨は、

明治憲法という巨大な権力の暴力の中だからこそ、産まれ、鍛え上げられた。

世にも稀なる、、笑い転げる過激な言論手法を編み出したことは間違いない。

宮武外骨は、筆禍で入獄4回4年、罰金・発禁29回というから、半端な人じゃない。

明治憲法という巨大な権力は、一独創的な思想人の中で、誰にでも分かり、また、これが一番宮武外骨のすごいところなのだと思うのだが、「楽しくもあり、決してあきらめない反逆と批判の諸手法」を創造・伝授させてしまったのだ。

 

 

▲ 『ユリイカ』 宮武外骨 特集 目次該当部分

1993年の宮武外骨 特集に寄稿していた 天野祐吉、平岡正明、赤瀬川原平さんなどはもういない。雑誌の特集からも、もう24年ちかくも経っている。このころの雑誌は、まだ、ゆとりが残っていた。

現在の雑誌に元気がないのは、筆禍もものともせず!?とするような、平岡正明や、赤瀬川原平のようなはみ出た人が雑誌の寄稿者に少なくなったかもしれないなぁ。とふと想う。

『朝日ジャーナル』 を赤瀬川原平が紙面を占拠して『桜画報』となり、どちらが付録なのかわからぬ状況の一瞬もあったのだがね。

 

宮武外骨と気脈通じるものには、以下の本も参考になるかも知れない。

▲赤瀬川原平・藤森照信・南伸坊 編 『路上観察學入門』 1986年 筑摩書房 定価 1600円

 

 ▲ 左 赤瀬川原平 編 『トマソン大図鑑 空の巻』 右は赤瀬川原平 編 『トマソン大図鑑 無の巻』

連休中あちこちで物見遊山するのも、また食べ歩きするのも楽しいのだが、普段なにげなく歩いている道端に、気をひくものにピンと来たら、ぜひ、この本の頁をどこからでもいいからページをめくってみるといい。

ピンときたものには、その履歴・来歴があるんだね。

歴史の遺された断片を触取する能力が刺激されるようだ。

この本を読むと、街中を物欲と食欲だけで歩いているのでは、その散歩の魅力が半減していることに、ピンときます。家の軒先から好奇心と冒険が始まるなんて、だれが、教えてくれるだろう!?

さて、今回は、宮武外骨の紹介だった。あちこち、憲法70年を前に話しがトンだが、

宮武外骨本人に登場願おう。

 

▲まったく胸のすくような、一撃だ。1903年の1月の『滑稽新聞』の誌面なのだ。

 

新聞とは何か。

おおよその新聞は上のことばで、宮武外骨の一撃で、明治政府の御用新聞・雑誌は飛んだ。

はかなく霧消することはうけあいである。

現代を自由な社会と錯覚し、政府の息のかかった自称民主主義下のメディア、寡頭経営者仲間の盟約のもとで、国民に何を言うかあらかじめ決められている新聞界の中で、自由に泳いでいると思い、相変わらず、株の上げ下げで一喜一憂している「われわれ」とは何か。

筆禍・不敬罪やら、その他で、入獄4回4年、罰金・発禁29回。

いきなり、問題の核心に迫る宮武外骨の真骨頂ここにあり。メディアよ、腐敗の本丸に迫れ!

さもなくば、メディアは存在しない。

明治帝国憲法の環境、それも20世紀初頭、世界中の列強が帝国国家化し貪欲を貪る中、中江兆民・幸徳秋水・そして宮武外骨らは、帝国の心臓に痛烈な一撃をくらわしていたのである。

もうすぐ明治150年。

日本近代迷走・自爆の150年でもある。

安倍晋三の言う戦後レジュームの転換などと言う軽いものではない。

日本の近代化そのもの・150年の日本の虚妄を問い質す折り返し点であるはず。

 

 つづく



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