太田博之「埼玉中の山古墳出土の有孔平底壺系円筒形土器」『考古学雑誌』90-2 2006年 を面白く読んだ。稲荷山古墳から出土した鉄剣は古代史上の大きな発見で、倭の五王についての新しい知見をもたらした。中の山古墳は稲荷山古墳に比べると大きさも小さく、考古学の世界では、「韓国の前方後円墳」ほどは話題になっていないようだ。 しかし、記紀における「武蔵」は韓半島と往来する人物なども記述され、地域史を考える上で「記紀」は一考の価値があるようだ。 . . . 本文を読む
『戦争プロパガンダ 10の法則』は9.11事件の直後2002年3月に刊行された。原著は2001年、日本語版の序文の日付は2002年1月である。9.11事件後あれよあれよと言う間に実行者たちの名簿・顔写真の発表そして首謀者ビンラディンの悪漢ぶりのビデオ映像、悪党をかくまうアフガニスタンも悪党だ。(どんな明白な証拠があったのか)かくしてアフガニスタン・イラクへの際限のない「正義のための戦争」の始まり。次はどこの国なのか。戦争中毒につける薬は「プロパガンダの法則」を身につけ、政治・メディアの扇動をチェックできる、歴史批評能力であろう。まずはモレリの法則を確認しよう。 . . . 本文を読む
地方から出てきてまだ1年ほどの田舎の少年には、この映画のあっけらかんとした結末にはもう唖然、「こんな映画があるんだ」「これは何!」 田舎での少年時代、フェデリコ・フェリーニの「道」を見て、わずかばかり映画に開眼して、上京後ぽつぽつ映画にはまりだした頃、名画座系か三番館でみたのだったが。映画館の名前は思い出せない。 この映画の何が私をひきつけたのだろう。どうして今も想い出すのか。 . . . 本文を読む
調査の進展につれ各地で帆立貝形の古墳の内容が明らかになってきている。『季刊考古学』上で連載していた頃拾い読みしていた沼澤豊「帆立貝式古墳築造企画論」もまとめられ、『前方後円墳と帆立貝古墳』雄山閣 2006年秋に出版された。先に遊佐和敏『帆立貝式古墳』 同成社 1988年 もある。 相変わらず王墓の比定の困難さの中で、この帆立貝形古墳の盛衰を列島各地から探ることができれば、ヤマト(共立)政権の変容があぶりだされるのではないか。 . . . 本文を読む
埼玉稲荷山古墳から出土した金錯銘鉄剣は古代史研究に画期をもたらした。発見からすでにすでに30年を経過し多くのシンポジウムや研究が発表された。県立さきたま資料館で出版された研究報告によれば、1995年の時点で、シンポジウム・座談会は20、関係論文は600だという。『ワカタケル大王とその時代』2002年山川出版社。その後さらに報告は増えているに違いない。最新の報告は手にしていないが、ふと気がつくと手元には稲荷山古墳や出土鉄剣銘に関する論文や、雑誌特集号などがある。再読しながら、メモをとるためにまずは手元の文献を整理してみる . . . 本文を読む
円筒埴輪の編年はめざましいものがある。川西宏幸「円筒埴輪総論」1978 による編年以降、近年では古市・百舌鳥古墳群の研究が進んだ。古墳時代中期の埴輪の細分によって、謎とされる倭の五王についての文献からの探求とあわせ、より具体的な古墳比定の再考に重要なてがかりが得られるのではないか。畿内の埴輪編年に期待したい。 . . . 本文を読む