読書録 今年の古書・新刊混淆ベスト 現役の頃は、新刊・叢書が、購入本のメインだったのだが、退職後は、未読の資料や、資料的、論文集の類書探しに明け暮れた。当然ながら、新刊書コーナーは、御法度だったのがつらかったのだが、そのおかげで、古書の資料に思わぬ収穫もあった。その収穫とは? . . . 本文を読む
竹内芳郎さん追悼 朝日新聞の2016年11月21日 に竹内さんの訃報記事が載っていた。11月19日に亡くなっていたのだが、長い業績紹介もなく、淋しい記事だった。どうしてなのだろう。 . . . 本文を読む
ミカドと女官 幕末と明治維新の動きを読み解くには、倒幕の連盟の動向や、明治維新の前後の国際環境、幕末の江戸幕府の人的資源・ネットワークの考察も大切なのだが、一方、幕府権力は王権のもつ正統性という伝統資産を甘く見ていたのか、倒幕運動の根源を絶つ資源として公武合体論を促す動きが立ち上がる。転変する急激な倒幕主体の変化を読み解き、その問題を見ていくのには、王権・権威筋の公家・皇族の人的資源や、ネットワークの組織を考えることも大切だ。幕末に至る少し前までは、皇室周辺のことは、「せいぜい伝統儀式でもやらせておけ」程度の幕府権力の認識から、急転して、幕府権力側の「権威の欠如」認識が重要な、力点となっていく。これはまた、皇室および公家勢力にとっても同じ。「権力と権威をめぐる相克」がある。 明治維新後、この難題を解決するとして、「明治華族制」が創造される。参議・元勲・元老たちが暗躍していく。これを宮廷側からみるとどうなるか。ミカドと宮廷組織・女官の問題が出てくる。これらの問題に一貫して探りを入れてきたのが、小田部雄次のようだ。多くの著作を送り出しているのだが、まずは『ミカドと女官』から、はじめてみよう。 . . . 本文を読む
本日の到着便 『世界』2017年1月号 特集「トランプのアメリカ」と向き合う ほかアメリカ大統領府に巣くうことになる面々はどのような、パワーエリートたちなのか。大統領一人でできることなどはたかが知れている。王様は裸だ。関連するアメリカのパワーエリートの仕組みを考察した旧著の中田安彦の『アメリカを支配するパワーエリート解体新書 大統領さえも操る、知られざるネットワークのすべて』 を再読しながら、ホワイトハウス宮殿を眺めてみよう。オバマ政権の2期を通して、ついに、アメリカ国民は、どちらの候補も選びたくないという判断をしたのか?トランプ次期政権をめぐる日本人識者の判断・選挙結果をどう見ているのか。あるいは、CFRと呼ばれ、アメリカ大統領府に大量に人材を送り込み、次期トランプ政権にも即応してネットワークを築いている、外交問題評議会の存在。パワーエリートたちは、20世紀を通してアジアに何を言ってきたのか?どんな厄災をもたらしてきたのだろうか。対して、日本の近代は、近代明治議会制度の創出以前に、近代宮中制度を国民の生成以前に拵えてきた。制度の上に立つ制度、不可侵の制度に隠れた政治体制・魑魅魍魎世界が、やがて、国民のあずかり知らぬところで戦争機械となっていくのではないか? . . . 本文を読む