▲ 塩原俊彦 『ウクライナ2.0 地政学・通貨・ロビイスト』 2015 社会評論社
塩原俊彦 「タックス・ヘイブンをめぐる嘘」 『ウクライナ2.0 付論』 2015 社会評論社 1-1
なぜか、『ウクライナ2.0 地政学・通貨・ロビイスト』 2015 社会評論社には、付論として、
塩原俊彦 「タックス・ヘイブンをめぐる嘘」 が付されている。単独でも面白いもので、塩原俊彦のこと、毒が強すぎて、他のメディアで、掲載してくれないので、最新刊の自著に盛り込んだものか。
パナマ文書がリークされた、しかし、桝添のごとき矮小な問題で話題を逸らして、巨大な租税回避・脱税 の根源を追求する姿勢は、政府・メディアに一切ないようだ。
「緩い規制、低い課税、そして秘密厳守をうたって、資金誘致をはかる場所」
その数50-60にのぼり、200万以上の会社・銀行、基金、保険業者向けにサービスを提供、タックス・ヘイブンに集まった資金量の総額は20兆ドルを超えるとの見方さえある。さらに多くの疑惑が・・・・・・
OECDは1998年に刊行した報告書の中で、タックス・ヘイブンであるかを判断するための、4つのポイントをあげた。
その4つとは
① 独立をなす区域(jurisdiction 以下法域)が税金を課さないか、あるいは名目的な低い税金を課すだけか。
② 低い税や税金ゼロで便益を受ける納税者に関する情報を他の政府と効果的に交換するのを防ぐ法律や行政的実践があるか、
③ 透明性が不足しているか、
④ 実質的な活動が求められていないか
タックス・ヘイブンの必要条件は
①であり、②③の条件が加わって税金を逃れることが可能であれば、タックス・ヘイブンのとしての十分条件を満たすことになるという。
しかし、タックス・ヘイブンと
PTR 優遇税制度 (Preferentiral Tax Regimes)
オフショア金融センター (Offshore Financial Center)
との区別をどうするか?
タックスヘイブンは20世紀の初めから存在するが、
オフショア金融センターは1980年代はじめになって使われる。
オフショアという言葉自体は、実際の場所と法的場所を切り離して、法的規制の緩やかな後者の法的空間を示すもの。金融上の監督規制を逃れられる場所を意味している。
塩原俊彦は、いくつかの参考文献から、タックスヘイブンをさしあたり、次のように定義している。
「秘密厳守を前提に税金を節税・脱税する目的で行われる取引を容易に可能にする法令を備える法域」
▲ タックスヘイブン・リストと国・地域 塩原俊彦 『ウクライナ2.0 付論』 2015 社会評論社 240頁
▲ 有害な租税実践を行っているタックスヘイブン 塩原俊彦 『ウクライナ2.0 付論』 2015 社会評論社 245頁
つづく