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塩原俊彦 『ウクライナ・ゲート』2014 『ウクライナ2.0』2015 社会評論社 を読む その1-1

2016年07月06日 | ウクライナ・ゲート

      ▲ 塩原俊彦 『ウクライナ・ゲート』 2014年 10月10日  社会評論社 定価2400円+税

 

塩原俊彦 『ウクライナ・ゲート』2014 『ウクライナ2.0』2015 社会評論社 を読む 1-1

 

 最近殆どウクライナに関する情報が入らない。クーデター が成功して以来、多くの国内外問題を山積しているにもかかわらずだ。これには当然わけがある。 著者塩原俊彦は、ロシア問題・外交・エネルギー問題にも詳しい専門家なのだが、知る人は知っているウクライナ問題の第一人者でもある。

あまりに率直にずばずばと 物言うのがこの人の特徴らしい。今はなぜか、高知大学に不遇を託っているような状況のようだが。

勉強不足のジャーナリストが、下手な質問をすれば、容赦なく批判して退散させると風の便りがネット上で塩原氏の風貌を伝えている。

今時こんな硬派 の大学人がいるのかと、インターネット上で、投稿されていた塩原俊彦のいくつかの論説を読んだ。(「地球座」に投稿したものだと思うが)なるほどと納得の、ラジカルで、まっとうな論文だった。

こんな人をメディアが放り出しているのはいかにも、メディアが完全に腐っていることの証明ともなっている。この人の怒り癖は本物のようだ。これは、古本が出回るまで待っていられない。

この本は少部数の印刷だったらしく、版元の社会評論社に問い合わせると、『ウクライナ・ゲート』は残部僅少とのこと。また、新しい本『ウクライナ2.0』も出版していると、メールが届く。

とはいえ、貧乏症の私は、早く読みたいと思えど、古本ででも出てから読むかと思ったのだが、塩原俊彦の過激度からすると、桜井春彦の本『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』のように、あれよあれよという間に、2万円の高値の古書価になってしまう恐れも充分にある。

そんなことで、一大決心をして、新刊書店に注文、本日7月6日午前中に我が家に届く。7月中旬以降に届くのかと思っていたのだが、以外に早く到着した。

そうなると、この本の毒をネットに出回らせる必要がある。と、思う間もなく早速、塩原俊彦の仕掛けた猛烈な毒が私の体に回り始めたのだ。

  ▼これは、『ウクライナ2.0』 2015年 の裏にあった、いわゆる帯代わりの、本の案内。

ウクライナ危機は、米国政府の扇動によって引き起こされたクーデターである。

 

  ▲ ウクライナ危機は、米国政府の扇動によって引き起こされたクーデターである。

① 「ウクライナ危機は、米国政府の扇動によって引き起こされたクーデターである」 この言葉に賛成する人は、その理由の根拠をこの本で知ることになるだろう。

また、反対に

② 「ロシアの拡張主義のためにウクライナ危機が引き起こされたのだという人」 は

その根拠はなく、「偽の情報プロパガンダ作戦・ロシア悪魔説により」、洗脳されていたのだ、ということに気がつき、その洗脳が解かれることだろう。

あるいは、

③ 「ウクライナ問題は、よくわからないので、考えるための、情報を得たい」 

という人、このような人は日本の中で一番多いのではと思うのだが、私も最近までは、このような世界の住人だったのだが、「世界のことは、それなりに、ニュースも見てるし、新聞も読んでいるという自負は」、この本を読むと見事に打ち砕かれる。

簡単・明瞭にするために、ウクライナ問題に対する気分や態度を3種に分類したのだが、人間はそんな単純じゃないわけで、①も②も③も自分の中で相争い、悩んでいる私がいる。と考えてもいい。

とにかく、私が知っているウクライナ情報は少ないかも知れない。価値判断する前に必要な情報は何なのか、知りたいと思う人は、塩原俊彦のこの本から、多くの情報を得ることができるはずである。

 

 ▲塩原俊彦 『ウクライナ・ゲート』 2014年 社会評論社

 

 ▼ 塩原俊彦 『ウクライナ・ゲート』 2014年 社会評論社 目次

  ▲ 塩原俊彦 『ウクライナ・ゲート』 目次

 

上の本の後を受け2015年春までの情報を入れた下の本もある。

 

▲ 塩原俊彦 『ウクライナ2.0』 2015年 社会評論社 定価2600円+税

この本の巻末には、今世界で最重要な課題、政府もメディアもほとんど追求の構えすら見せていない、「タックス・ヘイブンをめぐる嘘」という「付論」までがついている。

 ▲ 塩原俊彦 『ウクライナ2.0』  目次1

 ▼ 塩原俊彦 『ウクライナ2.0』  目次2

 

 

  ▲  塩原俊彦 『ウクライナ2.0』  目次2 

 

はじめに と題する前書きに相当するところで、塩原俊彦は、ウクライナ危機の理解が中途半端なこと、またこの本のタイトル『ウクライナ・ゲート』をつけた理由を記している。

 

「2014年2月から3月にかけてのこと。首都キエフで武力闘争が激化、当時の大統領であったヴィクトル・ヤヌコヴィッチが行方をくらまし、やがて暫定政権が樹立される一方、ロシアがクリミア半島部分を併合するという事態に至る。」

「この結果、クリミア併合に焦点を当てられ、ロシアが第二次世界大戦後の国家秩序を侵害したとしてロシア批判が巻き起こった。」

「反面、ウクライナに武装蜂起が起きた理由や背景について語られることはほとんどなかった。」

「ウクライナの出来事に対する、中途半端なアプローチがウクライナ本質を見誤らせ、武力闘争を扇動していた米国の帝国主義的本性や、その暴走を看過した欧州連合(EU)諸国の帝国主義に全く目を背ける結果につながっている。」

「近年の帝国主義は、以前の征服や略奪を中心とするやり方と異なり、「世界の民主化」といった掛け声を使ってその支配を拡げようとしているために、わかりにくくなっている。」

「口当たりのいいスローガンを利用して、「ワシントンポスト」。「ニューヨーク・タイムズ」といった新聞や、「エコノミスト」誌は帝国主義の実態を隠蔽しつつ、帝国主義の代弁者としてふるまっている。日本で言えば、「朝日新聞」や「NHK」といったメディアも、帝国主義の隠蔽に意図的にか、あるいは無意識に加担している。その事実をウクライナ危機がはからずも明るみに出してくれたのである。」

かつて

「ウォーターゲート事件」追求した、新聞社、「ワシントン・ポスト」は今回、バラク・オバマ大統領の手先となって、まがりなりにも民主的選挙で選ばれて大統領の就任していたヤヌコヴィッチ政権が打倒された事実に蓋をして知らん顔を決め込んでいる。」

「本書ではウクライナ危機の本質がオバマによってなされたスキャンダルであることをわかってもらうために、あえて、『ウクライナ・ゲート』 というタイトルにしたわけである。」

そのものずばり、ウクライナ・クーデターは、オバマ政権周りに今でも巣くうネオコンが仕掛けたアメリカ指揮によるクーデターであったと証拠立てていくのである。

かつての共和党戦争屋大統領ブッシュ親子ではなく、チェィンジを煽って、実のところ、戦争政策は継続していたオバマ大統領にふさわしい名付けではないだろうか。塩原俊彦の怒りが、本のタイトルに表れている。


この項 つづく



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