何度観ても感動します。よくできている作品です。映画技術的にも、構成がよく、場面の切り替えがうまく、必要なところにはスピード感があります。ヒューマニズムが全編を貫いています。
モスクワの夜明け、恋人同士のベロニカ(タチアナ・サモイロワ)とボリス(アレクセイ・バターロフ)。ひと時のデートからもどった二人は、そっとそれぞれの家にもどります。しかし、その日常の幸せは束の間のことでした。戦争(第二次世界大戦)が勃発しました。
ベロニカや家族の不安をよそに、ボリスは出征します。贈物のリスの人形のさげる篭の中にベロニカへの手紙を入れ、ボリスは出発しました。別れの晩餐会に遅れたベロニカはボリスを追って、出征兵の集合地に向かいます。ボリスを見つけることは出来ませんでした。
ドイツ軍の攻撃は激しく、爆撃によってベロニカは父母を失います。戦地のボリスは、ベロニカの写真を常に携帯して自らを励ましていました。しかし、敵の弾丸が彼を襲います。
戦争が終り、復員兵士たちが帰ってきました。ボリスの死を信ずることが出来ないベロニカ。彼女は花束をもって駅に向い、彼を探します。しかし、ボリスはいません。ベロニカの眼に涙が浮かびます。それは単なる絶望の涙ではありませんでした。ベロニカは、花の一本一本を帰還兵に手わたします。
平和になったモスクワの空を鶴の群が飛んでいくのを見上げるベロニカ。彼女のまなざしは、その鶴の群を追うのでした。
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