シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

スタンリー・ドーネン監督「いつも二人で(Two For The Road)」(アメリカ、1967年)☆☆☆

2019-12-11 23:58:14 | アメリカ・1960年~


この映画は、相手に対する関心を失っている夫婦が、結婚前の二人、結婚直後の二人という二つの過去の関係を交錯させ、それぞれが結ぶ絆の表と裏とを描いています。

話の流れが現在と過去の間を頻繁に往還し、しかし演技や会話がつながっていることがあり、気が抜けません。話の展開は興味深く、身につまされることがしばしばです。フランスの田園を背景に、一組の男女の移ろいやすい愛をテーマに扱った、見ごたえのある作品です。

筋立ては、33歳の建築家マーク・ワレス(アルバート・フィニー)と妻ジョアンナ(オードリー・ヘプバーン)との一組の夫婦がたどった

12年間の愛の軌跡です。現在、中過去、大過去での二人の愛が巧みに編まれて展開して行きますが、話の中心は現在です。

若さだけで財産も何もないが無邪気によりそい愛を確認しながら明日にむかって生きている結婚前の二人。社会でのポジションが確立し仲睦まじい結婚直後の二人。社会的地位は獲得したが、愛の輝きを失なってしまった現在の二人。カメラは三つの時間を自在に行き交い、時間とともに変化する愛の危うさを明るみにします。

オドリー・ヘップバーンが演ずるジョアンナのプレタポルテの衣装が楽しいです。また、実際に観なければわかりませんが、小道具としての「パスポート」の使い方にセンスを感じます。

オドリーは屈折した感情を巧みに表現し、難しい大人の役どころをこなしました。アルバート・フィニーは、イギリスの舞台出身の名優です。二人の共演で、起伏のある男女の葛藤が見事に演じられています。
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