ペテルブルクに生まれ,アメリカに亡命し,かの地で「真昼の決闘」「ジャイアンツ」など映画の作曲を手がけたディミトリ・ティオムキンが祖国ロシアの生んだ大作曲家チャイコフスキーに万感の想いを込めてプロデュースした音楽映画です。
チャイコフキーの生涯を彼自身の作品と重ねあわせて映像化した傑作です。冒頭で,音と音楽に研ぎ澄まされた感性を持った子ども時代のチャイコフスキーを知らしめるシーンがあります。そして,母との別れのシーンがこれに続きます。これらの二つのシーンは,映画の最後のところでも繰り返されます。チャーコフスキーの音楽の原点であり,結論とでも言うかのように。
さらにチャイコフスキーの名曲をふんだんに聞ける点がすばらしいです。「ピアノ協奏曲第一番」「白鳥の湖」「エヴゲニー・オネーギン」「スペードの女王」「オルレアンの少女」等々。加えて,レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団ほかの演奏,ボリショイバレエ団,オペラ団の出演によって,この映画は優美華麗な作品となりました。また,世界最高のプリマといわれるマイヤ・プリセツカヤがチャイコフスキーの恋人役を演じ,彼女の当り役だった「白鳥の湖」を踊っているのも見所のひとつです。
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