いせ九条の会

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教科書書き換えに抗議する沖縄の動き/山崎孝

2007-05-31 | ご投稿
【検定前・後の教科書比較/「集団自決」修正】(5月29日付沖縄タイムスより)

文部科学省の教科書検定で、高校歴史教科書から沖縄戦「集団自決」記述に関する日本軍の関与が削除・修正された問題で、「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」(共同代表・高嶋伸欣琉大教授ら)が、「見本本」や「白表紙本」などを集めて独自の教科書展示会を開く準備を進めている。検定本関係の展示会が開かれるのは県内で初めてという。

六月九日に那覇市で開かれる「沖縄戦の歴史歪曲を許さない!沖縄県民大会」前の開催を目指している。場所は未定。

展示会は、仲井真弘多知事が削除・修正に「疑義」を示し、県内の市町村議会で検定意見撤回を求める意見書の採択が相次ぐ中、県民世論を高め、修正前の内容に書き換えさせる運動につなげるのが狙い。

「すすめる会」事務局長の山口剛史琉大准教授は「検定の問題点が広く分かるようにしたい」と展示会の意義を話す。

「白表紙本」は教科書案と呼ばれ、教科書会社が文科省の検定を受けるために作成する。「見本本」は検定に合格したもので、各学校は「見本本」の中から使用する教科書を採択する。今回、同省の修正意見によって日本軍の関与の表現が削除・修正された内容が記載されている。通常「見本本」はそのまま「供給本」となって印刷される。

「すすめる会」は検定意見を受けた五社、七冊のすべての「見本本」と一部の「白表紙本」、同省の修正表などを展示する予定。

「すすめる会」は今年四月、毎年全国数カ所で開催されている検定資料の公開を沖縄でも実施するよう同省に求めたが実現しなかったため、独自に「見本本」などを集め展示することにした。

山口事務局長は「記述部分をパネルにして展示したい。希望があれば意見書を採択した議会のある自治体庁舎などでの出前展示も考えたい」と話している。(以上)

【撤回意見書 相次ぐ/集団自決で県内議会】(5月29日付沖縄タイムスより)

文部科学省の検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に日本軍が関与したとする記述が削除された問題について、検定意見の撤回を求める意見書を可決する動きが県内の市町村議会で広がっている。

十四日の豊見城市を皮切りに二十八日までに那覇市、浦添市、糸満市、沖縄市、うるま市、北谷町、与那原町、南風原町、恩納村、渡名喜村の十一市町村議会が意見書を可決した。

また、座間味村が二十九日、久米島町が六月四日、中城村が五日、臨時議会を開き、意見書案を採決する。

今帰仁村も五月二十九日に議会運営委を開き、それを踏まえ同日にも臨時会を開く方針だという。

このほか、名護市や南城市など十六市町村議会が臨時会や六月定例会での意見書の提案が決まっていたり、提案の方向で議論が進んでいる。

【渡名喜議会も意見書】教科書検定で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に日本軍が関与した記述が高校歴史教科書から削除された問題で、渡名喜村議会(上原睦夫議長)は二十八日、臨時会を開き、検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決した。あて先は首相と文科相。

同議会は「沖縄戦における『集団自決』が日本軍による命令、強制、誘導なしに起こり得なかったことは紛れもない事実」と指摘。「この事実がゆがめられることは悲惨な地上戦を体験し、筆舌に尽くし難い犠牲を強いられてきた県民にとって到底容認できない」と批判した。その上で「悲惨な戦争が再び起こることがないよう、検定意見が速やかに撤回されるよう、強く要請する」と結んでいる。(以上)

本土ではあまり報道されていない、沖縄戦での住民集団自決の教科書書き換えに抗議する沖縄の人たちの動きですが、沖縄タイムスは連続して報道しています。

名誉毀損などで大江健三郎氏と岩波書店を訴えた原告側は、沖縄住民の集団自決を軍の足手まといにならないための「清い死」だと主張しています。これは戦争を美化する靖国史観とつながる歴史認識です。戦争を美化することは、日本が戦争を出来るようにするための布石の一つです。