いせ九条の会

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憲法解釈の変更は国民の大半は望まない/山崎孝

2007-05-14 | ご投稿
【見直し必要なしが62% 集団的自衛権の憲法解釈】(5月13日付中日新聞ニュース)

共同通信社が5月12、13両日に実施した全国電話世論調査で、集団的自衛権行使は憲法で禁じられているとの政府解釈に関し「今のままでよい」が62・0%と、4月の前回調査より7・4ポイント上回った。解釈見直しを検討する政府の有識者会議の初会合が18日に開かれるが、変更の必要はないとの声が強まる結果となった。

安倍内閣の支持率は47・6%と3・4ポイントの増。初めて40%を割り込んだ3月を底に4月に反転し、今回、回復基調に乗っていることが確認された形。安倍晋三首相が4月下旬の靖国神社の春季例大祭で供物を奉納したことに関し、事実を明確に認めていないことについては「適切だと思わない」(62・1%)が「適切だと思う」(32・2%)に大きく差をつけた。

集団的自衛権行使禁止の解釈で「今のままでよい」が増える一方、「憲法解釈を変更し、行使できるようにすべきだ」との回答は5・0ポイント減の13・3%。「憲法改正し、行使できるようにすべきだ」はほぼ横ばいの19・1%だった。(共同)

国民投票法が成立しました。サラリーマン川柳も発表されました。これに真似て「安倍首相3年後にほぞをかむ」ようにしなければなりません。そのためには現在の世論の状況、集団的自衛権の行使を否定する世論を保ち続けなければなりません。

共同通信社の調査では《集団的自衛権行使は憲法で禁じられているとの政府解釈に関し「今のままでよい」が62・0%と、4月の前回調査より7・4ポイント上回った》となりました。

4月に行なった読売新聞社の世論調査は「これまで通り、解釈や運用で対応する」と「9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない」をあわせると「改正」反対・不要が56%でした。

5月2日に発表した朝日新聞社の世論調査では、自衛隊の海外活動をどこまで認めるかという質問では、「必要なら、武力行使も認める」は22%でした。

これらの結果を見れば、国民の大半は憲法の解釈変更を望んでいません。5月11日、安倍首相は憲法の解釈を変えて、集団的自衛権の行使が出来るようにすることを「地域の平和と安定を確保し、国際社会で大きな貢献も期待されている」と述べています。

安倍首相が「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」に提起した研究課題は、①米国に向けて発射された弾道ミサイルを自衛隊が迎撃する、②公海上で米軍などの艦船への攻撃に対して自衛隊が応戦する、③国際復興支援活動で共に行動する他国軍への攻撃に自衛隊が応戦する、④武器輸送などの後方支援を行なうなどを挙げています。これらは軍事衝突が起こったときに日本が他国軍を軍事支援することを述べています。

「地域の平和と安定を確保し、国際社会で大きな貢献」することは、何よりも、日本が世界から信頼される国になり、公正な態度で紛争の調停役になることだと思います。そのためには、現在、アジアの国から不信感をもたれる最大の原因である、戦死者を賛美したり、大東亜戦争を肯定する「靖国史観」を払拭しなければならないと思います。

軍事紛争が起こってからの出番である、日本が他国軍を軍事支援することを重点にして考えることは、火事が発生してから消防車で駆けつけることと同じレベルで、これでは手遅れです。事よっては、火事を起こした本人を日本が手助けをする、或いは火事が発生したのに鎮火活動をせず、火に油を注ぐようなことをする国の軍隊を日本が手助けするようなことが起きる可能性があります。

自民党政権は日本の隣国では北朝鮮と中国が軍事紛争を起こす国に想定していますが、北朝鮮の核の問題は6者協議の合意に基づき解決し、東アジアの平和と安定を実現しようと取り組みつつあり、米中関係は基本的には経済的には補完関係にあります。米国の企業が中国で作った製品を米国に輸出しています。米国にとっても中国は有力な市場です。日中関係も経済的な補完関係で、安倍首相は首脳会談でアジア地域の平和と安定を目指す「戦略的互恵関係」の構築を外交課題に設定しています。中台の関係も経済的には補完関係を強めています。台湾は中国本土に進出した企業の子どもたちのために台湾の教育方針に則った学校まで開設しています。このように東アジアの環境は良い方向に進んでいます。このような情勢なのに60年間も国民の多くが納得してきた憲法の解釈変更する理由は見つかりません。

「国際復興支援活動で共に行動する他国軍への攻撃に自衛隊が応戦する」ことは、停戦成立と国際部隊の受入れを国際部隊の派遣を原則にした国連平和維持活動で不可欠とされる事柄ではありません。国際部隊の各々は自衛的な行動しか認められていません。派遣されている国際部隊が紛争の当事者になってはならない戒めがあります。