いせ九条の会

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安倍首相の態度は八方美人みたい/山崎孝

2007-05-08 | ご投稿
安倍晋三首相が先月下旬の靖国神社春季例大祭に「内閣総理大臣」名で供え物を奉納したことが7日、分かった。政府関係者が「玉ぐし料のような供え物だと聞いている」と明らかにしました。事の経緯は神社側から安倍首相側に参列案内を送り、奉納を働きかけたところ、首相側が応じたということです。安倍首相の行為は政教分離に違反します。

今回の行動が「国のため戦った方々のご冥福を祈り、尊崇の念を表する気持ちは持ち続けたい」という、過去に靖国神社参拝した時の心と同じだったとしても、外国はそのような心だけだとは受け取りません。私もそうは受け取れません。

太平洋戦争は正しいとする立場の人たちを「靖国史観」とか「靖国派」と呼んでいます。自民党の野中広務氏は、伊勢市で行われたパネルディスカッションで、アジアの国と信頼し合うために靖国史観を清算しなければならないと述べています。

靖国神社に総理大臣名で供え物を行なうことは、過去の戦争を肯定し、賛美する靖国神社の政治的立場に同調したと見なされます。なぜなら、2005年6月22日付「ニューヨーク・タイムズ」は靖国神社を単なる宗教法人とは見ずに「軍国主義の過去を再評価する動きの象徴的中心」と論評しているからです。このような考えをするのはニューヨーク・タイムズだけではありません。

安倍首相の態度はどの人にも良い顔をしようとする八方美人のような態度です。それを見てみます。

3月3日未明の衆院本会議場で、自民党の中山泰秀衆院議員が首相に従軍慰安婦について「党でまとめた提言は総理が受け取って頂けますか」とたずねると、首相は「私が受け取る。私に持ってきてくれ」と応じていて、この見直し文書を受け取った後に、官憲が家に押し入り連れて去るというような軍隊による「狭義の強制性」を否定した見解を表明しています。

ところが、米国から批判されると、安倍首相は4月28日からの訪米を前に米メディアのインタビューに応え、従軍慰安婦問題について首相は「当時の慰安婦の方々に人間として心から同情するし、そういう状態に置かれたことに対し、日本の首相として大変申し訳ないと思っている」と語ります。

4月11日、中国の温家宝首相と会談後に出した共同プレス発表で、「戦略的互恵関係」構築への努力を強調し、歴史認識問題では「双方は歴史を直視し、未来に向かい、両国関係の美しい未来を共に切り開くことを決意した」と表明しています。

ところが、温家宝首相が来日した同じ月に靖国神社側から働きかけられると、春季例大祭に総理大臣名の供え物をして靖国神社には良い顔をします。

首尾一貫しない八方美人のような人は、世界から本当の信頼は得られないと思います。