いせ九条の会

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品川正治さんの言葉「戦争を止める側に立つ」/山崎孝

2007-05-05 | ご投稿
【憲法:各党が談話 施行60年で】(5月3日付毎日新聞ニュース)

3日の憲法施行60周年に際し、各党は談話を発表した。与党では、自民党が新憲法制定を前面に出したが、公明党は「現行憲法は優れた憲法」との一文を設け、これをけん制。野党は、民主、共産、社民各党がこぞって在任中の憲法改正を掲げる安倍晋三首相の姿勢を批判している。

自民党は中川秀直幹事長名で「施行60年で平和主義、国民主権、基本的人権の尊重という普遍的な価値が定着する一方、時代に合わない条文や新しい価値も生じた」として、今国会中の国民投票法案成立の必要性を強調した。

公明党は政党名の談話で「憲法改正は環境権などを加える『加憲』が現実的で妥当。9条は堅持し、自衛隊の存在や国際貢献のあり方を『加憲』の対象とするかどうか検討する」と従来方針を改めて表明した。

民主党は鳩山由紀夫幹事長名で「憲法は公権力行使を制限する根本規範。国家の伝統をうたったり、国民に道徳や義務を課すものではない。首相は集団的自衛権の行使を認める解釈改憲の方針を示したが、政権の都合で憲法解釈を変えるのは時代錯誤」と批判した。

共産党は市田忠義書記局長名で「(安倍)首相は集団的自衛権の行使に踏み出そうとしている」と強く非難。

社民党は政党名で「安倍内閣は集団的自衛権行使の検討など戦後体制を否定する意図が顕著だ」と指摘した。

国民新党は亀井久興幹事長名で「改憲発議が国会で円満に行われるよう議論すべきだ」と注文を付けた。

★【2段階改憲 自民が検討 9条は後回し】(5月3日付中日新聞・東京新聞ニュース)

日本国憲法は3日、施行から60年を迎えた。これまで、一度も改正されることはなかったが、安倍晋三首相は任期中の憲法改正を目指すことを明言。施行60年にあたっても、改憲に強い意欲を示す異例の首相談話を発表した。憲法を改正する手続きを定める国民投票法案も今国会で成立する見通しとなっている。憲法改正の発議は3年後に可能になり、具体的な政治日程に組み込まれることになる。憲法改正最大の争点は戦争放棄をうたった9条。しかし、自民党は環境権やプライバシー権などを制定する改憲発議を優先し、9条の改正は、次の機会にする2段階改憲の検討に入った。

自民党は2日、国民投票法案が今月中旬に成立する見通しになったのを受け、まず民主、公明両党や国民の賛成を得やすい環境権やプライバシー権の新設などの賛否を問う国民投票を行い、焦点の9条は後回しにする2段階改憲の検討を始めた。

国民投票法案は、発議について「内容が関連する事項ごとに区分して行う」と規定。項目ごとに改憲の賛否を問う方式を導入した。一方、共同通信が4月中旬に実施した世論調査では「9条改正は必要なし」との回答が44・5%に上ったのに対し、「改正の必要あり」は26・0%にとどまった。

この発議の方式と世論の動向を踏まえて、自民党では「まず国民が入りやすい事項から発議して国民投票に慣れてもらうことを検討する必要がある」「各党が反対できない事項から改憲して、9条は最後だ」といった意見が出ている。

自民党は、7月の参院選後の臨時国会で衆参両院に新設される憲法審査会を舞台に、改正原案の骨子を作成する方針だ。

憲法審査会は法律が施行されるまで3年間、調査に専念すると規定されているが、自民党は骨子なら策定可能と判断。衆院憲法調査会が2005年4月にまとめた最終報告書をベースに議論を進めたい意向だ。審査会は衆参両院に設置されるため、合同審査会で調整しながら議論を進める。

<解説>発議に向け着々と布石 自民党が2段階改憲方式の検討に入ったのは、国民投票法案の施行から3年後に改憲の発議が可能になれば、すぐに対応できる態勢を整える狙いがある。

国民投票法案が成立すれば、改憲の動きが加速するとの懸念に、公明党幹部は「少なくとも3年間は発議できない。すぐに改憲が実現するわけではなく、将来の話だ」と打ち消してきた。

しかし、自民党は「3年間ものんびりとしているつもりはない」(閣僚経験者)として、改憲原案の骨子など準備万端整えて、発議の解禁に備える方針だ。

自民党が、国民投票法案の成立を改憲への大きな前進と位置付けて、これを機に改憲への歩みを一層速めようとしているのは疑いない。

しかし、最近の世論調査では、民意は改憲の賛否で割れている。安倍首相が在任中の改憲に強い意欲を示している以外、自民党がなぜ改憲を急ぐのか、説得力ある説明は聞かれない。

国民投票法案自体にも、さまざまな問題点が指摘されている。与党は一度立ち止まって考えてみるべきではないか。(以上)

★コメント 《世論の動向を踏まえて、自民党では「まず国民が入りやすい事項から発議して国民投票に慣れてもらうことを検討する必要がある」「各党が反対できない事項から改憲して、9条は最後だ」といった意見が出ている》と報道されているように、自民党は国民の強い抵抗を避けるために迂回作戦を取ろうとする動きが出てきました。この作戦の到着地点は、むろん日米同盟における集団的自衛権行使です。

現行憲法下で問題への取り組みが行われ、改憲が不可欠ではない環境問題やプラバシーの保護問題で、ムード的な問題である「環境権やプライバシー権の新設などの賛否を問う国民投票」での国民の賛成は、結局は日米同盟において集団的自衛権行使への誘導路に導かれます。この投票に掛けられた改憲案には恐らく次のステップに有利に働く仕掛けが施されるに違いありません。

品川正治さんは、5月4日の伊勢市の講演で、一人一人が「戦争を行う側に立つのか、それとも戦争を止める側に立つのか」ということを述べられました。イラクに居た日本人が「戦争を行う側」に立っていると見なされ、人質事件が起こりました。人質解放の条件にイラクからの自衛隊撤退要求があったことでもこのことは明らかです。イラクのイスラム宗教者組織に、人質を解放するように働きかけたのは、自衛隊のイラク派遣することに反対して「戦争を止める側」に立ち、人質になった人ひとたちも同様の立場をとっていたことが幸いして開放されました。

公明党は自民党に同調してイラク戦争を支持・支援して罪無き人の命を奪う「戦争を行う側」に立っています。民主党はイラク戦争には反対しましたが、防衛庁を省に昇格させる法律に賛成したときに、自衛隊の海外任務を本来任務に昇格させることに賛成しています。この本来任務に格上げしたものに「イラク特措法」によるイラクにおける自衛隊の活動が入っていました。結局は客観的には「戦争を行う側」に立ったのです。

これらの政党の改憲潮流に乗ることは、最終的には、各自か望まなくても客観的には「戦争を行う側」に立たされてしまいます。このことを拒否する道は、各自が国際紛争を武力で解決しない、戦争放棄の憲法を守り生かそうとする立場に立つことだと思います。

自民党の考える第一段階の改憲は「環境権やプライバシー権の新設など」の一見好感を与えるテーマを目玉にしています。これは戦争を行うときには、自衛とか正義とか自由と民主主義という言葉をいつもかかげることと同様の手法です。

軍事同盟は「血の同盟」と述べる人物が改憲の旗を振り、米国がイラク戦争時「グランドに下りてきてチームに加われ」と要求し、更に集団的自衛権の不行使は、日米同盟の障害と見なしている状況のもとで、集団的自衛権行使可能の憲法が到着点の改憲の潮流に乗ることは客観的には「戦争を行う側」に立つことです。