いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

政府は、さして相手が望まないことを行おうとしている/山崎孝

2007-05-06 | ご投稿
【空自活動、年内にも不要に イラク首相が単独会見】(5月5日付中日新聞ニュース)

【シャルムエルシェイク(エジプト東部)5日共同】イラクのマリキ首相は4日、エジプト東部シャルムエルシェイクで共同通信と単独会見し、イラクでの航空自衛隊の輸送支援活動について、需要は長く続かないとした上で「今年中にも日本の部隊は必要なくなる」と言明、日本には経験と技術を生かした文民による復興支援を求める考えを表明した。

空自撤収が可能となる時期について、マリキ首相が具体的な見通しを示したのは初めて。日本政府は、空自派遣を定めたイラク復興支援特別措置法が7月末に期限切れになるのを控え、同法を2年延長する改正案を国会に提出、成立を目指しているが、イラクが求める支援の在り方との間で認識のずれがあることが鮮明になった。

マリキ首相は、イラクに対する日本の経済支援や、陸上自衛隊による南部サマワでの復興支援活動に謝意を表明。特措法改正案が可決されることを望むとしながらも「友人には傷ついてほしくない」と強調した。(以上)

【自衛隊支援の可否を検討 アフガンで久間防衛相 NATO事務総長に】(5月5日付中日新聞ニュース)

【ブリュッセル4日共同】ベルギーを訪問中の久間章生防衛相は4日午後(日本時間同日深夜)、ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部でデホープスヘッフェル事務総長と会談し、自衛隊によるアフガニスタンの復興支援が可能かどうか検討する考えを示した。

デホープスヘッフェル氏は会談後、記者団に年内に訪日する考えを明らかにした。

会談で久間氏はアフガン支援について「日本として財政援助はできるが、それ以外に自衛隊として応援がどれくらいできるか、民間人の資材輸送などができるのかどうか検討してみたい」と指摘。デホープスヘッフェル氏は「日本は資金面で貢献している。その他に何ができるかは日本の問題だが、協力できるところは協力してほしい」と述べた。

日本とNATOの関係については、先の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で広範な協力をしていくことを確認している。

★コメント 報道はイラクのマリキ首相は、日本には経験と技術を生かした文民による復興支援を求める考えを表明して、さらに「友人には傷ついてほしくない」と強調しています。イラクが求める支援の在り方との間で認識のずれがあることが鮮明になった。久間防衛相のアフガニスタンでの自衛隊の輸送活動の検討について、デホープスヘッフェル氏は「日本は資金面で貢献している。その他に何ができるかは日本の問題だ」と述べたと伝えています。

これらを見れば日本政府は自衛隊員の安全を考慮せずに危険な活動を積極的に事を行おうとしていますが、当事者は米国を除いて、さして望んでいません。ブログで紹介済みですが、安倍首相は今年初めNATOで演説して「自衛隊海外派遣は躊躇しない」と述べました。この演説に対して欧州のある首脳は「新しい首相は、目に見張るような変化を行おうとしていらっしゃいます。しかし、努めて注意深くあるべきだと私は思う。アフガンをはじめ今日の情勢は流動的で、思わぬ要素が絡み合っていますから、ここは動かず、方々の出方を研究し、じっくり推移を見極めることです。そうしないと長年、せっかく日本の積み重ねてきたものが、根元から崩壊し失われますよ。慎重な対応が賢明です」と日本に慎重な態度で事を行うにという意見を述べています。積み上げてきたものとは海外で武力行使を行って人命を犠牲にしなかったということだと思います。

そして、これらのことで明らかなことは、PKOとは違う、停戦の成立していなく紛争当事者が国際部隊の受け入れを容認していないケースでも、自衛隊が活動することを実績として残そうとしていることです。

既成事実にとても弱い国民性を利用して、自衛隊の憲法違反の危険な海外活動を慣れさして、軍事的な危険性に対する感覚を鈍らそうとしています。

改憲の二段階方式の検討で、自民党では「まず国民が入りやすい事項から発議して国民投票に慣れてもらうことを検討する必要がある」と考えるのと同じ手法です。この手法に国民が嵌らないようにしなければなりません。

安倍首相はPRT参加の検討は、NGOの護衛という武力行使が避けられない活動は、憲法違反という政府部内の意見もあり参加を断念しましたが、これに取って替って防衛大臣の自衛隊のアフガニスタンでの空輸活動が検討されはじめる可能性が出てきました。

イラクでの航空自衛隊の活動は法律的には非戦闘地域と言う枠がはめられていますが、実質的には非戦闘地域とはいえません。アフガニスタンは全域が戦闘地域でタリバーン勢力は力を増してきて増派が必要になってきておりテロとの戦いは成功を納めてはいません。

政府首脳の目論みは、自衛隊活動の次の段階へのステップアップを図るための助走であります。改憲の二段階改憲論の狙いも同じです。集団的自衛権行使可能な憲法を拒否する国民を攻めるための外堀を埋める作業と見なすことが出来ます。油断は大敵です。