いせ九条の会

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同じ性格の政策を強化しても問題は解決しない/山崎孝

2007-05-02 | ご投稿
【日米外相会談:対北圧力に期限区切った麻生外相の真意】(5月1日付毎日新聞ニュース)

1日(日本時間)の日米外相会談は、北朝鮮が核廃棄に向けた「初期段階の措置」を早期履行しなければ圧力強化すべきだとの考えで一致、歩調を合わせて北朝鮮をけん制した。これを受け、麻生太郎外相は「数日の間に答えが出ないなら」と記者団に語ったが、数日以内に事態が動くことは考えにくい。政府内は「制裁カードは切り尽くした」との意見が大勢で、期限を区切った外相発言は、対北融和路線に傾く米国務省へのメッセージとの見方が出ている。

北朝鮮による昨年7月の弾道ミサイル発射、同10月の核実験を受け、政府は(1)北朝鮮からの全品目の輸入禁止(2)北朝鮮籍船舶の全面入港禁止(3)同国民の原則入国禁止―などの制裁措置を単独で実施。また、北朝鮮のミサイルに関係する企業など(15団体1個人)の口座凍結などを国際的な連携の下で行っている。

これ以上の制裁は、全面輸出禁止や在日朝鮮人の再入国禁止などが浮かんでいるが、内閣官房幹部が「これでは戦争状態になる」と述べるなど現実的選択肢とはなっていない。国連も制裁決議に基づき、核開発関連の金融制裁リストを作成しているが、難航中だ。

こうした中での日米外相会談に対し、日本政府は「『圧力路線』で連携することが重要」との姿勢で臨み、意見の一致は一定の成果だった。

しかし、期限を区切るのは外務省などには想定外だったとみられ、同行筋は「大臣が何かおっしゃったのであれば、おっしゃった通り」と説明するにとどまった。麻生外相は会談でも、ブッシュ米大統領が先の首脳会談で圧力強化を訴えたことに触れ、「大統領の言葉を非常に大事にしている」と述べており、ライス国務長官にクギを刺すことにも重点を置きたかったようだ。【ワシントン中田卓二、小山由宇】(以上)

【米テロ年次報告、拉致問題の記述後退 北朝鮮関係は7行】(5月1日付朝日新聞ニュース)

米国務省は4月30日、2006年版のテロ年次報告を発表した。北朝鮮は「テロ支援国家」にとどまったが関連記述は減少、特に拉致問題への言及振りが後退した。一方、米朝がテロ支援国家の指定解除について作業を始めることも明記された。(中略)

米国は2月の6者協議で、北朝鮮とテロ支援国家の指定を解除する作業を始めることで合意。3月にニューヨークで開いた米朝作業部会で話し合いを始めた。日本側は拉致問題で置き去りにされるとの懸念が広がり、27日の日米首脳会談では、ブッシュ大統領が「指定解除の問題では、拉致問題を考慮に入れる」と語っていた。(中略)

報告書によると、全世界における2006年のテロ発生事件は1万4338件で、2005年の約29%増。うちイラクで6630件(2005年3468件)が発生し、全世界でのテロによる死者は2万498人と、前年に比べ約40%増えた。(以上)

【聖地で爆弾テロ、55人死亡 イラク中部、宗派対立か】(4月29日付中日新聞ニュース)

【カイロ28日共同】イラク中部カルバラで28日、イスラム教シーア派の重要な聖地イマーム・フセイン廟近くの商店街を狙ったとみられる自動車爆弾テロがあり、AP通信は保健当局者の話として、55人が死亡、70人が負傷したと報じた。他の地域でもテロや殺人事件が続き、この日、全土で90人以上の死亡が確認された。

イラク国内で続くシーア派とスンニ派の宗派対立を背景に、カルバラでは今月14日にも車爆弾テロがあり、市民ら40人以上が死亡した。

西部ヒートでは28日、現地警察高官の自宅にトラックが突っ込んで自爆、警官や市民ら15人が死亡した。高官は無事だった。また、中部バクバでは同日、手錠を掛けられ、頭部を撃たれるなどした市民ら27人の遺体が見つかった。(以上)

【空自イラク輸送活動/国連関連はゼロか/2~3月】(4月29日付「しんぶん赤旗」ニュース)

 乗客の百パーセント近くは米兵――。イラクに派兵している航空自衛隊の活動は事実上、首都バグダッドの軍事作戦に参加する米兵の空輸に特化しており、政府が「イラク復興支援」の象徴にしているイラク北部アルビルへの国連職員の空輸はごく一部という実態が浮かび上がってきました。

 「(国連職員の空輸を開始した)昨年九月から今年三月まで合計二十五回、のべ七百六人の人員と約二・三トンの物資を運んだ」。二十四日の衆院本会議で、安倍晋三首相は初めて、国連関連の空輸の詳細を明らかにしました。日本共産党の赤嶺政賢議員の質問に答えました。

 しかし、これらは同時期の空自の活動全体の二―三割にすぎないことを、防衛省はすでに明らかにしています。さらに、二十六日の衆院イラク特別委員会で防衛省は、赤嶺議員に対して、今年一―三月の国連職員の輸送実績は「計七回、のべ百十六人、約一・四トンの物資」と明らかにしました。同時期の物資輸送の総量は約二十一トン。93%が米軍物資です。輸送回数は総数五十回に対して七回。約86%です。

 一―三月期は「国連関連の輸送がない便」(山崎信之郎防衛省運用企画局長)があり、「国連関連の空輸が全般的に減少している」ことを認めました。

 本紙は、昨年九月から今年三月までの空自のイラクでの活動をまとめた「週間空輸実績」を情報公開で入手しました。ほとんど黒塗りされていますが、ごく一部に、国連職員をイラク北部アルビルに輸送した内容が開示されています。しかし、今年二―三月分の活動内容はすべて黒塗りされて非開示となっており、国連関連の空輸がゼロに近いことをうかがわせます。

 空自は二〇〇四年三月からC130輸送機三機と隊員約二百十人を派兵、クウェートを拠点に活動しています。陸上自衛隊がサマワから撤退した昨年七月以降、空輸範囲をバグダッドとアルビルに拡大しました。

 ブッシュ米政権はバグダッドに最大で約三万七千人の兵力を展開する方針を示しており、兵力輸送のための空輸能力の確保は不可欠な要素です。空自の活動は、泥沼に陥った米軍の軍事作戦を下支えするものです。(以上)

★コメント 米テロ年次報告のイラクでのテロ事件6630件(2005年3468件)の発生し、この年次報告書以降のイラクにおけるテロのニュースは大きいもので「聖地で爆弾テロ、55人死亡」そして、4月18日のバクダットで起きた5件の連続テロによる被害者233人が出た事件などがありこれを見れば、米国のテロとの戦い、従来のイラク政策を強化したイラク増派政策はイラク治安維持に成功を納めていません。

そして、航空自衛隊の活動は事実上、首都バグダッドの軍事作戦に参加する米兵の空輸に特化した活動も同じ結果と言えます。このような活動を延長する「イラク特措法」の延長政策も同じ結果に終わることは予想できます。

中日新聞の報道《政府内は「制裁カードは切り尽くした」との意見が大勢で、期限を区切った外相発言は、対北融和路線に傾く米国務省へのメッセージとの見方が出ている》と言われており、米国は北朝鮮政策の性格を強硬路線から宥和路線に転換しており、麻生外相の従来と変わらない政策、圧力強化発言もその効果のほどは期待薄です。

米国のイラク政策、それを支援する日本のイラク政策、拉致問題を解決する北朝鮮強硬政策は、同じ性格の政策を強化しても成果は期待薄です。政策の性格を変えない限り問題は解決できません。

米国が北朝鮮政策の転換をして北朝鮮の核の問題は前進し始めていることを日本は認識しなければと思います。