いせ九条の会

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核抑止力の理論から脱却すべき/山崎孝

2006-05-26 | ご投稿
先日は、安倍官房長官が5月の23日の記者会見で「日印閑係は歴史上最も交流が深まっている」と述べています。最近、自民党の政治家はよくインドを持ち上げています。この一つの狙いは、いちじるしい発展を見せる中国への対抗馬として、近年これも発展の目立つインドを考えているからです。しかし、中国とインドの関係も近年緊密になっていますから、自民党の政治家の思惑通りになる可能性は少ないと思います。インドを持ち上げるのは、米国との共同歩調でもあります。

日本政府が、核兵器の全廃を真剣に考えているのであれば、次の出来事に注意を払うべきです。

インドは核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器保有国になりました。このため国際社会は、核燃料ウランや原発技術などのインドへの輸出を制限しています。

しかし、本年3月に訪印したブッシュ大統領は、インドに民生用の核技術を提供する協定を結び、国際協調を乱しました。

インドはエネルギー不足解消のために、原発建設に力を入れています。米国との協定を力に、輸出制限措置の撤廃をめざしています。こうした思惑からシン政権は、米国との良好な外交関係の維持を望んでいます。

インドの核不拡散条約に加盟せずに、核兵器保有国になっている状況を認めれば、核不拡散条約に入らずに核兵器を持とうとしている国に対して、或いは核不拡散条約に入っているが核兵器を志向する国に、そのようなことはするなとは、論理的説得が困難になります。これではイランや北朝鮮を説得が難しくなります。

特にブッシュ大統領は、指導者の心がけがの悪い国(ならず者)が核兵器を持つことは危険だと宣伝しても、先制攻撃をした貴方はどうなのかと聞き返されます。

核保有国自体、核軍縮を行わずに新たな国が核兵器を持つなということは、説得力に欠けます。自らが核軍縮を行いながら、新たに核保有を行う国を防止すべきです。核保有国の政治指導者自らが核抑止力の理論から脱却すべきなのです。

日本は世界の平和に貢献するためには、日本国憲法の理念を堅持すべきで、理想を捨て軍事的抑止論に傾く「普通の国」になるというような考えは止めるべきです。

世界の人たちは、第二次世界大戦の経験を踏まえて、国際連合を作り、国際連合憲章という理念を掲げました。その理念を踏みにじる行為は、イラク戦争を行った米国が世界から強く批判され、米国は世界における権威を落としたことを見れば、世界の人々はこの憲章を生かそうとしています。その国連憲章より、日本国憲法は優れていると、世界の平和運動を行っている人に評価されています。