いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

各政党の憲法に対する考えについて/山崎孝

2006-05-05 | ご投稿
毎日新聞2006年5月2日19時36分の電子版より

憲法記念日:自衛隊の任務は?…盛り上がり欠ける論議

日米同盟の拡大・強化をうたった両国の共同文書がまとまり、自衛隊が世界規模の活動を求められているが、これに呼応して日本国内の憲法論議が盛り上がる気配は薄い。激しい憲法論議の末にイラクに派逢された陸上自衛隊は、年内に撤収の見通しだが、政府は今国会も自衛隊の海外派遣要件を定める「恒久法」の提出を見送る方針だ。憲法とのかい離の問題は解消されるどころか、ますます広がりそうだ。矛盾をはらんだ静けさの中で、日本国憲法は3日、施行59年の記念日を迎えた。

日米両政府で合意された在日米軍再編は、地域紛争や国際テロヘの対応を念頭に、世界規模での軍事力の展開を狙うものだ。小泉純一郎首相が表明してきた「世界の中の日米同盟」が実践段階に移り、自衛隊の任務は「専守防術」からはみ出していく。朝鮮半島などで予想される「周辺事態」や、弾道ミサイルへの日米共同対処も強化される。

しかし、イラク攻撃のような米国主導の国際軍事活動に対し、海外での武力行使を禁じた憲法との整合性を保ちながらどう対応するのか。政府の説明は乏しい。米軍との「一体化」や集団的自衛権行使の問題も指摘されるが、憲法論議も聞こえてこない。

05年は「憲法改正元年」だった。衆参両院の憲法調査会が報告をまとめ、自民党が新憲法草案を、民主党は憲法提言を発表した。公明党は04年に見解を公表している.自民党が「復古色」を抑えた草案を示したことで、改憲に必要な両院議員の3分の2を超える自民公が「9条」を除いて歩み寄り、9条についても自民、民主両党の議論は改正自体の是非論から、改正を前提とした具体論に移行しつつあった。

だが、その後、自民党内の関心は9月の総裁選に移った。民主党代表に就任した小沢一郎氏も政権交代を最優先させる意向を強調し、憲法論議は国政の後景に退いている。

 イラク、アフガニスタンと、自衛隊はそのつど制定される特別措定法に基づき派逢されてきた。泥縄式と批判され、憲法とのかいりは改憲派、護憲派ともに問題視するところだ。自民党の石破茂元防術庁長官は「自衛隊の活動範囲を明確にしなければいけない。米軍再編と恒久法はセットだ」。民主党の長島昭久「次の内閣」防衛庁長官も「特措法の泥縄方式は憲法の趣旨を大きくゆがめる」と恒久法の必要性を説くが、政府は慎重。【宮下正己】(以上)

石破茂元防衛庁長官の考え、「自衛隊の活動範囲は米軍再編と恒久法はセットだ」では、長島昭久氏が「特措法」を憲法の趣旨を歪めると考え、憲法の趣旨と整合性を保った「恒久法」を望んでも、それは水と油を混ぜるようなもので、絶対に混ざらないものです。改憲して国際紛争の手段として戦争を肯定し、集団的自衛権行使が出来る規定としない限り不可能です。

「米国主導の国際軍事活動に対し、海外での武力行使を禁じた憲法との整合性を保ちながらどう対応するのか。政府の説明は乏しい」という毎日新聞の指摘も、改憲をしない限り、法の規定に基く説明は出来ません。

現在の各政党の憲法に対する態度は、朝日新聞5月3日8時10分の電子版では、

憲法記念日、各党が談話アピール

 3日の憲法妃念日に合わせ、各党が談話やアピールを出した。昨年11月に新憲法草案を発表した自民党は「機は熟した」と改憲をめざす姿勢を鮮明にしたが、公明党は「冷静で真摯(しんし)な議論を求める」と慎重だ。主な内容は次の通り。

【自民党】改憲の機熟した 日本史上はじめて国民みずからの手で憲法を選び取る機が熟したのではないか。国民誰もが誇りに思う品格ある国家をめざし、守るべき国柄と伝統をしっかりと見極めた新憲法の制定に取り組む。

【公明党】冷静かつ真摯に 憲法論議をどう実りあるものに集約させるか、冷静で真摯な議論が求められている。憲法三原則を堅持し、時代の進展に伴って提起されるものを加えて現行憲法を補強していく「加憲」の立場だ。

【民主党】必要なら改める 与党の一部からは反立憲主義的な改憲案が示される一方で、相変わらずの護憲論もみられるが、いずれの議論とも一線を画す。現行憲法に足らざる点があれば補い、改める点があれば改める.

【共産党】「改悪」阻止する 改憲勢力の狙いの中心は9条改悪で、中身は「海外で戦争できる国づくり」だ。「九条の会」が5千近く結成されるなど国民のたたかいは広がりつつある。憲法改悪を阻止するため全力で奮闘する。

【社民党】理念実現を誓う 戦後の日本の歩みは日本国憲法とともにあった。憲法の掲げた目棟は今なお達成されていない面もあり、改めてその実現を誓う。世界に誇れる憲法が来年栄えある60周年を迎えられるよう粘り強く活動する。(以上)

自民党が「国民誰もが誇りに思う品格ある国家」をめざすならば、対米従属の姿勢と政策を止めることです。自民党所属の政治家たちが、史実を正確に認識して野中広務氏が指摘する「靖国史観」の清算を行なうことです。

政権党である公明党は「憲法論議をどう実りあるもの」とする意見については、戦争放棄・自由と民主主義の憲法の精神に沿って、政治を行なうことです。これが実りあるものです。国際法違反であるイラク戦争を支持し、自衛隊をイラクに派兵することではありません。言論の自由を弾圧する警察、検察の横暴を容認しないこと。国民の貧富の格差を拡大させる小泉改革に手を貸すことではありません。

民主党は「現行憲法に足らざる点があれば補い、改める点があれば改める」と述べていますが、安保条約の進化の状態を認める限り、「足らざる点があれば補い」は、集団的自衛権行使を補うしかありません。