いせ九条の会

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どちらが視野狭窄的か/山崎孝

2006-05-25 | ご投稿
5月24付け朝日新聞より

 小泉首相に靖国神社参拝の再考などを求めた経済同友会の提言を巡り、首相官邸と同友会の対立が深まってきた。首相が「商売と政治は別」と反論したことに、同友会の北城恪太郎代表幹事(日本IBM会長)は23日の記者会見で「経済も含めて国の政策は決めるべきではないか」と再反論。この発言に対し安倍官房長官は「視野狭窄的になってはいけない」と不快感を表明した。

 北城氏は会見で「会社の業績や業界の利益ということではなく、良好な日中関係のために首相に靖国参拝を控えてほしい」と改めて強調。9月の自民党総裁選の際は、靖国参拝を含む外交を判断材料の一つにし、同友会の立場を表明する考えを示した。

 提言については批判的な電話や手紙が同友会や日本IBMに相次いだという。ただ、北城氏は「多様な意見を交わすことのできる社会は健全。我々も意見に真摯に耳を懐けるが、提言の内容は変えない」と語った。

一方、安倍氏は23日の会見で「同友会側もそういうコメントを述べるのであれば、首相側の意図等についても深く考えてもらいたい」と反発。提言が、アジア外交に影響を与えるとしていることにも「少し間違っている。基本的には中国、韓国との外交だ。日印閑係は歴史上最も交流が深まっているし、ASEANとの交流も深まっている。視野狭窄的になってはいけ

ない」と語った。(以下略)

安倍官房長官の方が視野狭窄的になっています。

5月23日の朝日新聞の報道は、靖国参拝アジアに影響とマレーシア首相は懸念を示しています。以下記事です。

 5月22日から訪日中のマレーシアのアブドラ首相は、出発直前、朝日新聞の書面インタビューに答え、小泉首相の靖国神社参拝をめぐる問題について「日本と近隣諸国が、間に横たわる障害を取り除かなければ、地域の平和と協力が影響を受ける」と懸念を表明した。

 アブドラ首相は、小泉首相の靖国神社参拝が国際的な報道、論評の中で批判的に取り上げられている、と指摘。日本と近隣諸国の関係悪化で影響を受ける地域協力の枠組みとして、東南アジア諸国連会(ASEAN)10カ国と日中韓が参加する「ASEANプラス3」や、インド、豪、ニュージーランドが加わる東アジアサミットなどをあげた。

 アブドラ首相は「近年の国際社会は日本に対し、外交面でその経済力と政治力に見合った役割を果たすようシグナルを送っている」ともした。

 こうした発言の背景には、昨年12月にクアラルンプールで開かれたASEANプラス3と東アジアサミットの性格付けをめぐり、将来の緩やかな地域統合である「東アジア共同体」への影響力をにらんで、日本と中国が水面下で激しい争いを繰り広げた経緯がある。(以上)

また、5月24日の朝日新聞報道は、米元国防次官補代理を務めたカート・キャンベル米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長は23日、都内でのシンポジウムで小泉首相の靖国参拝問題について「今起こっていることは日本のためにならない、ということで専門家の意見は一致している」と懸念を示した。

 キャンベル氏は、靖国問題に対する米国の対応について①関与すべきでない⑧「憂慮している」と伝えるべきだ、と研究者の間で両論があることを紹介。「ASEAN(東南アジア諸国連合)の多くの国が私に『何で米国は日本を非難しないのか』と言う。克服すべき問題だ」と語った。(以上)

安倍官房長官は、憲法を変えて日本は集団的自衛権を行使が出来る憲法を持ち、米国と双務の関係になり対等平等の立場になるべきだと考える政治家です。双務の関係とは、国連の意思で関係なく、世界の警察官を自認する米国に求められたら、世界の何処ででも軍事行動をする義務を負うことを意味します。安保条約の適用範囲は既に世界規模となっています。

「東アジア共同体」構築に努力することより、日米軍事同盟強化の方が大切だと思っていることは間違いないところです。

安倍氏は、次のような考え方をしたことがあり、それを私は批判しました。

朝日新聞2003年9月5日付け「声」欄掲載文

安倍氏発言は後ろ向き過ぎ

 北朝鮮の核開発問題を巡る北京での6者協議で北朝鮮が米国に不可侵条約を求めたことに、安倍晋三官房副長官は締結反対の立場を表明した。金沢市内の講演で「万が一、北朝鮮が日本を攻撃した時に、米国が北朝鮮に報復することができなくなる。米国が反撃しないとなると、安心して日本を攻められるじゃないか、となる」と朝日新聞は報道している。

 米朝が不可侵条約を結ぶということは、情勢は北朝鮮が核武装を放棄し対話路線を促進するという、平和の方向に進むことだと思う。だが、安倍副長官は、北朝鮮の日本攻撃の懸念を先に考える。私には後ろ向きで不思議な発想としか思えない。東アジアの緊張緩和を望んでいないのであろうか。

 2002年9月、日本は日朝平壌宣言に署名した。宣言は国交正常化方向への道を選び、お互いの安全を脅かす行動をとらないことを約束している。安倍副長官は平壌を訪問した小泉首相に同行した宣言の当事者であった。拉致問題が大きくのしかかっているとはいえ、この宣言の実現に向かって努力する責任を負っていると私は考える。(以上)
野中広務氏は自分の遺言として政治家は「靖国史観」から脱却すべきと、伊勢アリーナのフォーラムで述べていますが、総裁候補の中では麻生氏と共にこの「靖国史観」的な発言をする候補者です。5月25日の朝日新聞では総裁選へ7月中旬に開かれるサミット後に、出馬の正式表明をすると言います。そしてその政権の重要課題として憲法改定を掲げる意向を示しております。日本の政治はますます心配になります。