いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

日本の財政的貢献は国連に評価された/山崎孝

2006-05-19 | ご投稿
先に紹介していますが、4月に行なった朝日新聞の憲法に対する世論調査は、今後の自衛隊の活動については、「イラクのような戦闘が続いている国での復興支援も認める」が22%、「国益にとって必要ならば、武力行使も認める」が15%で、それらを上回るのが、カンボジアみたいなPKOで46%でした。

今後の海外での自衛隊の活動について国民の多数が望んでいるのは、自衛軍による武力行使を伴う国際的な「治安維持活動」ではなく、「人道支援活動」です。それに憲法を変えなくても国連平和維持活動の本隊業務である停戦監視活動のPKFまでも、紛争地の武力衝突が終息していれば、今の法律で出来ることになっています。

PKOに関する法律を制定や、米国のアフガニスタン攻撃、イラク戦争で米軍などの後方支援が出来るような法律を制定したのは、国民が「国益にとって必要ならば、武力行使も認める」というような考えを広め定着させる目的を持っていたとも考えられました。「国益にとって必要ならば、武力行使も認める」が15%では、今の段階では当てがはずれたと言えます。

紛争地における国連の武力介入は安保理事国の意見がまとまらず、また、一方の勢力に加担したと見られないようにすることが難しく、ほとんど行なわれていないのが実情です。

軍隊を持ち武力行使が伴う国際貢献は、憲法を改定してまでも盛り込まなければならない事柄ではありません。国際社会が日本に要求している事柄ではありません。日本が国連加盟時に、武力行使が伴う国連活動義務の免除の申請事項は生きています。

以上の主張は最近のニュースでも根拠を見出せます。

2006年5月16日、国連総会は、紛争後の復興を支えるために新設する「平和構築委員会」の常設機関である組織委員会のメンバー31カ国の中に日本を選びました。理由は“財政的貢献”が高いでした。軍事や警察分野での人的貢献の高い国も選ばれていますが、日本が憲法の規定を守っていて、その範囲内での国際貢献を行なっていても、国際的には認められ評価されることがより明確になりました。

この日本の有様の方が、日本に植民地支配や侵略を受けたアジアの国は安心感を持っていて、逆に自民党の改憲の動きを警戒しています。警戒されてまで憲法を変える必要はどこにあるのでしょうか。言うまでもなく米国の政府高官が言明している日米安保の進化・変革の方向に合わすためです

湾岸戦争の時に米国の戦費のかなりの部分を負担した日本を、クウェートが日本を感謝リストに載せなかったために外務省が騒ぎ出して、これがきっかけになって、日本は財政的貢献だけでなく軍事的貢献が必要と主張されたことがあります。日本が「平和構築委員会」の常設機関である組織委員会に、財政的貢献を理由に選ばれたことは、この主張が“真実”ではなかったことを明確に証明しました。日本は武力行使の伴う国際貢献をしなければならないとする改憲側の根拠は明白な形で失われました。

日本は米国に肩入れするのではなく公正な立場を堅持する。憲法の理念、国際紛争を武力で解決してはならないという態度に徹していれば、国際的評価はより高くなると思います。