いせ九条の会

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ブッシュ大統領の一番の過ち/山崎孝

2006-05-29 | ご投稿
朝日新聞5月27日付けの記事より

ブッシュ大統領「『かかってこい』、最も後悔」、ブレア首相「予想を超える出来事が起きた」

 ブッシュ米大統領は25日、プレア英首相との記者会見で「米国はイラクでの過ちから学んでいるというが、自分で一番後悔している点は」と問われ、「『かかってこい』と言ったこと」と答えた。イラク戦争後間もなく、イラク反米武装勢力について発した言葉。挑発的な表現でイスラム諸国などから反発を浴びたことに対して「間違った信号を発した」と認め「私ももう少し洗練されたやり方で自分を表現するようになった」と弁明した。

 プレア百相も、イラク戦争にあたって「大変だと覚悟していたことがそうでもなかったり、大したことがないと予想していたことがとてつもなかったりした」と、事前の見通しが甘かったことを認めた。イラクの現状が不人気だと認識しているとして、両首脳とも低姿勢が目立った。

 ブッシュ大統領は「我が国のイラクでの最大の過ちはアブグレイブ(刑務所での虐待スキャンダル)だった」とも語った。(記事以上)

ブッシュ大統領の最大の誤りとしたアブグレイブの虐待は、戦争には必然的に起こりうる副次的な出来事での誤りです。最大の誤りは国際法を破ったことです。国際機関がイラクの大量破壊兵器の有無を査察している最中に、しかも国連安保理の決議を得ることなしにイラクを先制攻撃したことです。

国際法を解説した尾崎哲夫著「世界一わかりやすい国際法入門」には次のように書かれています。

 先制的自衛権とは簡単にいえば、「やられる前に相手をつぶす」という理由で行われる武力行使になります。

 たとえば、隣国が国境周辺に武装した軍隊を結集させており、今にも攻め込んで来そうな状況があるとします。攻め込まれる脅威を感じている国が、攻め込まれることを防止するために武力を行使した場合、それは先制的自衛権の行使だといえます。確かに、攻め込まれてからでは遅いということはあります。攻め込まれる前になんとか回避したいと思うのも無理ありません。

先制的自衛権は自衛権として認められていない

 しかしながら、現実的には先制的自衛権は自衛権として認められていません。なぜならば、まだ事実として攻撃を受けていないからです。たとえ、明日にでも攻め込まれそうだとしても本当に相手国が攻めてくるかどうかはわかりません。客観的に相手国の心理や意図を事前に知ることができないのですから、明白な根拠もなく先に攻撃する先制的自衛権は認められていません。

 もし、これを認めてしまえば、世界中で先制的自衛権が発動され武力紛争だらけになってしまいます。特に核兵器の存在は先制的自衛権を発動する理由として十分なものだといえるでしょう。

 しかし、いくら相手が自国に核弾頭ミサイルの照準を合わせたからといって、相手国に先制的自衛権を発動すれば大変なことになってしまうでしょう。こうしたことから、先制的自衛権は認められていないのです。(以上)

ブッシュ大統領が「かかってこい」といったために、多くの国際テロ組織をイラクに呼び寄せテロを行う「大義」を与えた。無法なイラク攻撃やイラク人に対する無差別攻撃は、イラク内に反米武装勢力を誕生させ、テロリストも生み出しました。イラク人及びイスラム世界には、テロリストに共鳴する人たちさえ生み出しています。

米国の指導者と米国人の多数が、イラク戦争は国際法違反だったと自覚しない限り、再び過ちを繰返す可能性はあります。米兵に多数の戦死者が生まれたことのみを反省している次元に止まってはならないと思います。なぜなら、ベトナム戦争では5万人以上もの米兵の犠牲を出していますが、それをイラク戦争を当初熱狂的に支持をしています。戦争そのものに対する反省が低いと思います。

米英の指導者は少しは反省の姿勢を見せましたが、日本の政権与党はイラク戦争に加担したことを反省していません。そして先制攻撃を辞さない米国と軍事同盟を強化して、その障害となる憲法規定を変えようとしています。このことを、改憲を支持する人たちに認識して欲しいと思います。