マーケティング研究 他社事例 その263 「一億倍高速の夢マシン2」 ～量子コンピューター～

マーケティング研究　他社事例　その263　「一億倍高速の夢マシン2」　～量子コンピューター～


ところが、その微細化技術が限界を迎えつつあるというのが、専門家に共通する見方です。

さらなる進歩には、従来の延長線上にあるのではない異なる技術によるコンピューターが必要であるという認識がじょじょに高まってきたのです。

そこで、量子コンピューターが脚光を浴びるようになったのです。

量子コンピューターが従来型のコンピューターに比べて得意なのは、膨大な「組み合わせ」の中から最適な答えを探すものです。

有名な例が巡回セールスマン問題です。

それは、セールスマンがいくつかの訪問先を１つずつ全て巡回して自社に戻ってくる時、移動距離が最小になる経路を探す問題を指しています。

簡単そうに見えますが、そうではありません。

自社を含めた巡回先が1か所増えるだけで、その組み合わせは爆発的に増えて行きます。

4か所の場合の組み合わせは3通りですが、10か所の場合には18万１４４０通りに増え、３０か所の場合は4.42×10の30乗通りに膨れ上がります。

この問題を解くには、富士通と理化学研究所が開発した、1秒間に1京回の計算が出来るスパコン「京」を使っても1400万年もかかる計算になるのです。

量子コンピューターが進歩すれば、文字通り「一瞬」で答えが導きだせるようになります。

こうした組み合わせ最適化問題を高速処理出来れば様々な社会課題の解決につながり、限られた金額の範囲内でどう投資ポートフォリオを組むか？

最適な電力網をどのように構築するか？

膨大な分子の組み合わせから、どう新しい薬を作るか？

など応用できる問題は数多く転がっているからです。

この夢の技術をどう使うかという、実証実験も進んでいます。

筆頭がフォルクスワーゲンです。（以下VW）

VWは都市部の交通量を最適化するプロジェクトを昨年3月に発表しました。

（続く）


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