「おまえも30過ぎたんだから、相手がいるなら
結婚してしまえ」
「そんな気短なこと言わないで、空を見てごらんよ、
織り姫と彦星なんか、1500年もつきあったって
一緒になれない
それから見たら、私たちなんかまだ10年だよ」
「馬鹿なことを言うな、人間と神さんは違うんだ
10年は十分長すぎる
おまえも知ってるリコも、昔,8年つきあった彼氏がいたけど
さっぱり結婚の様子が無いから、『リコ結婚する気はあるのか』
って聞いたら『したい』っていうので『それなら
彼氏に迫ってみろ、それで奴に気が無けりゃ
(別れます)って言ってやれ』って強く言ったら
それから数日後に『結婚することになりました』
ってさ。 おまえだって、そのくらいやらないと
いつの間にか女の花は萎れてしまうぜ」
「にいさん!それがセクハラよ」
「ばかやろう兄妹でセクハラもあるもんかい、つまらないことを言うな」
「そんな調子だから、義姉(ねえ)さんもまともに口をきいてくれないのよ」
「人の心配はやめて、てめえの心配をしやがれ」
「それは、そっくりお返しよ」
「まあいいや・・もうやめて七夕の天の川でも眺めようか」
「あれあれ、けんかしてるウチに雲が出てきて何も見えないよ」
「今夜は満月だから、どっちにしたって見えやしないだろ
それにしても1500年か、気の長いことよ」