高木善之さんという人がいる。
1989年、モントリオール会議が開かれ、世界が「2000年特定フロン全廃」を決議した。
このとき、日本だけがサインしなかった。
当時の松下電器産業(現パナソニック)の社員だった高木さんは、
社長に自社製品からのフロンガス全廃を提案し、社長を世紀の勇断に導いた。
業界最大手である松下の、突然の特定フロン全廃宣言に、
他社は面食らい、クレームをつけた。
知名度が高く社会的影響力の強い松下にそんなことをされると、
全廃しないメーカーはイメージダウンになる。
一方で、別の素材への切り替えには、多額のコストがかかるからだ。
でも、最終的には1社、また1社と松下に追随。
日本政府も翌90年、モントリオール議定書にサインをした。
高木さんは紛れもなく、社会を変えたヒーローだ。
フロンガス全廃に限らず、
たとえそれがどんなに賢明で、理にかなっていて、急ぐべき選択でも、
反対する人も、決断を遅らせたい人も、そのもっともらしい理由も、いくらでも存在する。
「経済成長に悪影響」「業績が悪化すれば、雇用が維持できなくなる」「フロンガスとオゾン層破壊の因果関係ははっきりしていない」「変えることがこわい」・・・。
最終決定権を持つ社長の思考回路から、そのすべてを遠ざけ、
運命を変える舵取りを断行させた「会話」を、高木さんの著書に見つけた。
**********************以下引用**********************
“非対立、非対立“と唱えながら、社長室に入った。
「きょうは何だね」
「地球環境のことでお話があります」
「合唱団のことではないのか、それなら担当役員に話しなさい」(高木さんは合唱団の指揮者だった)
「わが社にとって重要な問題です。ぜひお知らせしたいのです」
「じゃあ聞こうか」
オゾン層破壊について話した。社長は非常にショックを受けられた。
「まさか、それは本当か」
「これは国連が各国政府などの公式データです」
「なぜ日本はサインしなかったんだ」
「わかりません。でも100億円で社内の特定フロンは全廃できます」
「うちがやればよそが怒りよる」
もしここで「よそが怒ろうと、うちはやるべきです!」と言えば私がクビだろう。非対立で。主義主張や説得はマイナスになる。気づくチャンスをつくること。
「うちがやらなければどうなるでしょう」と聞くことにした。
「うちがやらんと、よそもやらんだろうな」
ハードルをひとつ越えた。
「しかし、100億円はもったいないわ」
もしここで「100億円くらいなんですか」と言えば私がクビ。
非対立で。相手の気持ちを受け止めること。
「お金は使わないとオゾン層は無くなります。でも、お金は使っても無くなりません」と言うことにした。
「えっ、金は使えば無くなるやないか」
もしここで説明すれば気づくチャンスが無くなる。私は黙っていた。
黙っていると、相手は考えることができる。大切なのは相手が考えることを邪魔しないことだ。
しばらく考えて社長は、
「なるほど、金は無くならんな、金は天下の回りものだからな」と言った。
ハードルをもう一つ越えた。もう一息!
「私は経営者だからいい悪いだけでは考えられない。経営の観点で考えんといかん、君も経営の観点で考えてみてくれ」
もう一息のところで難しい問題。
一瞬、どう答えればいいかわからなかった。
非対立で。同じことを繰り返したり強引に説得すれば失敗する。チャンスは一度、失敗すれば取り返しがつかない。非対立は、無理しないということも大切。
「しばらく時間をください。」
**********************中略**********************
社長の注文を宿題にした高木さんは、経営とは何か、を徹底的に調べ上げた。
そして、仏教辞典で次の説明を見つけた。
**********************中略終わり**********************
“「経営」の「経」は「真理」を表し、「営」は「一生」を表す。「経営」とは「一生かけて真理を求める」の意”
この言葉に感銘を受けた!そして再び社長室に出かけて行った。
「どうした」
「経営という観点で考えてまいりました」
「話してみなさい」
そのことを説明した。
「・・・・・・経営とはそんなに凄い言葉なのか・・・・・どうすればいいんだ」
「わが社として何ができるか、社長と一生をかけて考えてまいりたいと思います」
「そんなことしてたら間に合わんじゃないか」
「間に合わないと思います」
「それじゃダメじゃないのか」
「社長の指示通り、経営という観点で考えました」
「・・・・・」
社長は無言。しばらくして、社長は次のように言われた。
「わかった。やろうじゃないか」
1カ月後、「松下電器特定フロンを全廃 5年前倒し1995年までに」という新聞記事が全紙に載った。89年7月20日のことだった。
**********************中略終わり**********************
このことで、高木さんのお給料が上がったわけではない。
でも、社会に計り知れない影響を与え、社会の進歩に大きな足跡を残した。
私は、こういう働きがしたい。
1989年、モントリオール会議が開かれ、世界が「2000年特定フロン全廃」を決議した。
このとき、日本だけがサインしなかった。
当時の松下電器産業(現パナソニック)の社員だった高木さんは、
社長に自社製品からのフロンガス全廃を提案し、社長を世紀の勇断に導いた。
業界最大手である松下の、突然の特定フロン全廃宣言に、
他社は面食らい、クレームをつけた。
知名度が高く社会的影響力の強い松下にそんなことをされると、
全廃しないメーカーはイメージダウンになる。
一方で、別の素材への切り替えには、多額のコストがかかるからだ。
でも、最終的には1社、また1社と松下に追随。
日本政府も翌90年、モントリオール議定書にサインをした。
高木さんは紛れもなく、社会を変えたヒーローだ。
フロンガス全廃に限らず、
たとえそれがどんなに賢明で、理にかなっていて、急ぐべき選択でも、
反対する人も、決断を遅らせたい人も、そのもっともらしい理由も、いくらでも存在する。
「経済成長に悪影響」「業績が悪化すれば、雇用が維持できなくなる」「フロンガスとオゾン層破壊の因果関係ははっきりしていない」「変えることがこわい」・・・。
最終決定権を持つ社長の思考回路から、そのすべてを遠ざけ、
運命を変える舵取りを断行させた「会話」を、高木さんの著書に見つけた。
**********************以下引用**********************
“非対立、非対立“と唱えながら、社長室に入った。
「きょうは何だね」
「地球環境のことでお話があります」
「合唱団のことではないのか、それなら担当役員に話しなさい」(高木さんは合唱団の指揮者だった)
「わが社にとって重要な問題です。ぜひお知らせしたいのです」
「じゃあ聞こうか」
オゾン層破壊について話した。社長は非常にショックを受けられた。
「まさか、それは本当か」
「これは国連が各国政府などの公式データです」
「なぜ日本はサインしなかったんだ」
「わかりません。でも100億円で社内の特定フロンは全廃できます」
「うちがやればよそが怒りよる」
もしここで「よそが怒ろうと、うちはやるべきです!」と言えば私がクビだろう。非対立で。主義主張や説得はマイナスになる。気づくチャンスをつくること。
「うちがやらなければどうなるでしょう」と聞くことにした。
「うちがやらんと、よそもやらんだろうな」
ハードルをひとつ越えた。
「しかし、100億円はもったいないわ」
もしここで「100億円くらいなんですか」と言えば私がクビ。
非対立で。相手の気持ちを受け止めること。
「お金は使わないとオゾン層は無くなります。でも、お金は使っても無くなりません」と言うことにした。
「えっ、金は使えば無くなるやないか」
もしここで説明すれば気づくチャンスが無くなる。私は黙っていた。
黙っていると、相手は考えることができる。大切なのは相手が考えることを邪魔しないことだ。
しばらく考えて社長は、
「なるほど、金は無くならんな、金は天下の回りものだからな」と言った。
ハードルをもう一つ越えた。もう一息!
「私は経営者だからいい悪いだけでは考えられない。経営の観点で考えんといかん、君も経営の観点で考えてみてくれ」
もう一息のところで難しい問題。
一瞬、どう答えればいいかわからなかった。
非対立で。同じことを繰り返したり強引に説得すれば失敗する。チャンスは一度、失敗すれば取り返しがつかない。非対立は、無理しないということも大切。
「しばらく時間をください。」
**********************中略**********************
社長の注文を宿題にした高木さんは、経営とは何か、を徹底的に調べ上げた。
そして、仏教辞典で次の説明を見つけた。
**********************中略終わり**********************
“「経営」の「経」は「真理」を表し、「営」は「一生」を表す。「経営」とは「一生かけて真理を求める」の意”
この言葉に感銘を受けた!そして再び社長室に出かけて行った。
「どうした」
「経営という観点で考えてまいりました」
「話してみなさい」
そのことを説明した。
「・・・・・・経営とはそんなに凄い言葉なのか・・・・・どうすればいいんだ」
「わが社として何ができるか、社長と一生をかけて考えてまいりたいと思います」
「そんなことしてたら間に合わんじゃないか」
「間に合わないと思います」
「それじゃダメじゃないのか」
「社長の指示通り、経営という観点で考えました」
「・・・・・」
社長は無言。しばらくして、社長は次のように言われた。
「わかった。やろうじゃないか」
1カ月後、「松下電器特定フロンを全廃 5年前倒し1995年までに」という新聞記事が全紙に載った。89年7月20日のことだった。
**********************中略終わり**********************
このことで、高木さんのお給料が上がったわけではない。
でも、社会に計り知れない影響を与え、社会の進歩に大きな足跡を残した。
私は、こういう働きがしたい。
ありがとう。。
いつも楽しみに拝見しています。
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社会を変えるとはこういうことなんだと、感銘を受けました。
勇気や行動だけでなく知恵も必要なんだと。
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