地球族日記

ものかきサーファー浅倉彩の日記

半東京。農ライフvol.10 暗闇に香る優しさ

2009年07月02日 | お仕事日記
1日の終わりに暗闇に体を預けて

今日、生きていてよかったことを思い出す

男友達が、優しかったこと。
ひとつ、優しさに触れて、
10年前に優しかったことまで思い出せたこと。

いつもお互いに電話がつながらなくて
なんとなくイライラしちゃってた人と
笑って話ができたこと。

ベトナムを旅していたとき、
手際よく木を削っていすをつくるおじいちゃんの
堂に入った動きが果てしなくかっこよかったことを
思い出せたこと。

ネイチャー・エッセイストになるという
新しい夢が描けたこと。

知り合ったばかりの人が
子守を頼んでくれたこと。

ものの価値を時間ではかる
「タイム」という通貨を思いついたこと。
時間は命。
人が時間をかけてつくったものには、
その人の命が宿っている。
タイム イズ マネー 
じゃなくて
タイム イズ ライフ。

最近、ニンニクを収穫したんだけど、
11月1日に、いつも見ているニンニクをひとかけ土に埋めて、
それから半年。ひとかけは一株になって、また戻ってきた。

渋谷のマンションのベランダでも、
芽が出てきちゃったニンニクを土に埋めたことがあるんだけど、
ぜんぜん待ちきれずに、
芽が育って葉っぱになったのをいいことに掘り出してみたら、
何も起きていなくてがっかりしたことがある。

なんだダメじゃん って思ったけど、
ダメだったのは待ちきれなかった私。

農。植物を育てるということに、
待つ時間がつきものだということに、
ここに来てようやく気がついた。

売っているお米や野菜の葉の一枚、一粒一粒に、
種を蒔き、めぶき、育ち、収穫の時を迎えることを待った
つくり手の時間=命が宿っている。


深夜0時。
すぐそばの軒先で、
ウシガエルが笑った。