地球族日記

ものかきサーファー浅倉彩の日記

半東京。農ライフ vol.9 分刻み

2009年05月20日 | お仕事日記
5月19日。
深夜 1時までマクドナルド岬町店で取材と打ち合わせの下準備。
6時起床。
朝、7時53分のわかしおで東京へ。
車内で松岡正剛の「17歳のための世界と日本の見方」を読み進める。

9時東京着。
タリーズでホットサンドとコーヒーの朝ごはんでまったりした後
9時40分ごろ編集部入り。
責了作業をスタート。
ビルの2階ロビーで、殺到する人波と満員エレベーターに圧倒される。
読経のように「おはようございます」と繰り返すガードマンと、誰一人としてそれに答えずに、黙ってセキュリティカードをかざしてゲートを通り抜ける社員たちの足音、ピッピッピッという電子音、すべてが不自然で不健康で気持ち悪かった。
会社やめてよかったと心から思う。

11時~12時 赤ペン先生した企画書を元に、後輩編集CV Mと打ち合わせ
12時~13時 責了作業つづき
13時~13時45分 同じく、後輩編集CV Sと打ち合わせ
13時45分~14時30分 作業終了。 責了印を押してボックスへ。めでたく5発のすべてのミッションを完了!請求書を担当デスクに渡して編集部を後にする。

編集部で、社員時代にお世話になったKさんとばったり再会。
遅ればせながら、フリーになったと報告。

洋麺屋五右衛門で遅めのランチ。チリカルボナーラがやっぱりおいしい。
15時45分~17時20分 代々木のbiopioオフィス着。Hさんとビレッジ計画について打ち合わせ。Greenz village 番長としてのまなざしで見たBFの今を語る。
17時20分~17時55分 移動
18時~19時30分 半蔵門のファイナンシャルプランナーKさんに7発企画の取材。大成功!67歳(男性)にして去年、二人目の奥さんとの間に子どもが生まれたとうれしそうに教えてくれて、びっくり!
人生、何があるかわからないね、ワクワクしたよ。
平均寿命は80歳だけど、80歳で4割、90歳でも2割の人は生きているんだって。90歳まで生きるとしたら、30歳でやっと3分の1。
何でもできるね。
彼は、自分が何よりもすばらしい資産なのに、お金のことで自分を過小評価してしまう人が多いって嘆いていた。お金があっても家庭不和やさびしさで悩む人もたくさんいるって。
本来お金なんて、価値を交換するための道具でしかない、バーチャルな存在なのにね。貯めておくと利息がつくようになったところから一人歩きを始めちゃったねって、
なるべくお金に頼らない生き方のすばらしさを語り合って意気投合。
いい時間だった。

19時30分~20時 移動
20時 東京駅をうろうろして、bioristaのシャンプーとリンス、VEREDAのワイルドローズクリームをゲット。しめて約7000円。たっかい!
やっぱりある程度のお金は必要だ(笑)

20時30分 日本橋の焼き肉屋で元同僚Yと飲み始める。分刻みのスケジュールをベストコンディションでこなした後のビールは最高!途中から、Gが合流。歯車ががっちりかみ合った会話を楽しむ。このメンバーだといつもそう。また次回が楽しみ。

22時41分 終電。名残惜しさをふりはらって帰途へ。
社内で、元カレKの結婚について思いをめぐらしつつぐっすり就寝。
00時15分 上総一ノ宮着。00時45分 ブラウンズフィールドに無事帰宅。


半東京。農ライフ vol.7 ハンモック教育

2009年05月13日 | お仕事日記
5月12日夜。
ハンモックで就寝。

気持ちいいって浮遊感。
波乗り、酒酔い、ハンモック寝。
この三つ、似てる。

木の間にわたしたハンモックに仰向けになると、
ざわざわと騒ぐ葉音とともに、
藍色の夜空を真っ黒に切り取る木のシルエットが
揺れる映像が、視界いっぱいに広がった。

遠くから、葉っぱたちが騒ぐ音が近づいてきて、
一陣の風がやってくるのがわかる。
自然のダイナミズムに身をゆだねる
最高の感覚が、体をかけめぐった。

毛布一枚で、まったく寒くない。
かといって、暑くもない。
肌に優しく触れる、心地良い温度の空気。
どこまでもどこまでも
腕を伸ばしていけそうな、
深呼吸できそうな開放感に包まれたまま、
眠りにおちた。

そのうちに、雨がやってきた。
時計を見ると、4時だった。
ポツポツと、おでこにあたるしずくをさけるようにして
毛布をあたまからかぶったら、
雨は強まって、雨粒たちが体の上で遊び始めた。
そのステップを毛布越しに感じながら、
濡れた毛布を干すのが面倒くさいので、起き上がって
ベッドにもぐりこんだ。

そんな自然児な私に、最近舞い込んだお仕事、それは「教育担当的外部デスク」
2人の新人編集者の企画書やサムネール、タイトル案がいけてないので、
手取り足取り指導して、私が満足するレベルのアウトプット物を
出せるように教育してほしい、というご依頼をいただきました。

これ、かなりやりがいあります。

まずもって、
できなかったことが、できるようになる っていうことが大好き。
本人の努力でしかなし得ない、
誰も奪うことができない、賜だと思う。

編集という仕事は、畑違いの人にはその概要がわかりにくいんだけど、
企画を考えたりラフを引いたり、記事を完成させるまでのプロセスを
流暢にこなせるようになるのって結構大変なんです。

でも、できるようになると、すごく楽しい。

だから、自分以外の誰かが、その楽しさを経験できるようにお手伝いするという
立場を与えてもらったこと、できなかった人ができるようになるまでの
道のりを、一緒に歩けるということに、とてもワクワクしています。

やぱり「伝え教える旅館の女将なのかも」なんて思ったり。

がんばるよ。






半東京。農ライフ vol.6 コツコツ

2009年05月09日 | お仕事日記
8ページのノウハウ記事で書かなければならなかった文字数8000字。
野菜たちの新芽を無視して繁殖する、駆除しなければならない雑草に被われた畑368㎡。

道路掃除夫ベッポじいさんは言った。

おそろしく長い道路を受けもつ時、これじゃとてもやりきれないと思ってしまう。
「そこでせかせかと働きだす。
どんどんスピードをあげてゆく。
心配でたまらないんだ。
しまいには息が切れて、動けなくなってしまう。
こういうやりかたは、いかんのだ。」

「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、
つぎの一歩のことだけ、
つぎのひと呼吸のことだけ、
つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。
いつもただつぎのことだけをな。」

「するとたのしくなってくる。
たのしければ、仕事がうまくはかどる。
こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」
「これがだいじなんだ。」

ーーーーーミヒャエル・エンデ著「モモ」より


不世出の大横綱千代の富士が
前人未踏の通算勝ち星1000勝を達成し、
「次の目標は?」と聞かれて答えた言葉

「1001勝です。」


大きな岩を動かそうとするとき、
ただひとつ言えるのは、
自分が動くことでしか、岩は動かないということ。

便利な道具や、ノウハウや、マニュアルや、
まわりの人のサポートがあっても、
0は0のまま。
0を1にするのは自分。
1を積み重ねていくのも自分。
1の次は2、その次は3。

暗闇の中、
出口の見えないトンネルを掘るような気分で
1文字1文字、積み重ね、
最後の1文字を書き終えた時の
まさに"脱稿"という文字どおりの突き抜け感、すがすがしさは、
クセになりそうだ。

ものすごいスピードで雑草におおわれていく
畑で、1株1株、目当てではない草を引き抜き、
目当ての野菜の芽が規則正しく並ぶ美しい畑に
仕上がった時の満足感もまた。

そして、
除草剤を使えば、1の動きが10の成果を生むのかもしれないけれど、
自分の手を動かしたという、1を積み重ねて10になったという、
目に見えない、換金もできない満足感は得られない。

畑は黙って、そんな大事なことも、教えてくれる。


半東京。農ライフ vol.5 稼ぐということ

2009年05月08日 | お仕事日記
ちょっと前、ピースボートに勤める先輩が教えてくれた。

「ピースボートに乗ると、みんな、ぐわっと視野が広がる。
でも、船旅は永遠ではなく、みんな、日本に帰ってくる。
そして、みんな、日本社会の閉塞感にがっかりする。
広がった視野を現実に生かす術を見つけられず、
だいたいみんな、WWOOFかワーホリに行くんだよね。」

WWOOFとは、お金を介在させずに
労働力と生きる糧(3度の食事と寝泊まり場所)を交換するシステム。
その舞台が、地球環境に高い意識を持つ
有機農場や飲食店・宿泊施設であるということが
特徴のワーキングエクスチェンジだ。

ブラウンズフィールドも、このホストに登録していて、
だいたい1日1人くらいのペースで
「滞在して働きたい」という申し込みが来る。

本当にありがたいことで、
一度に3人まで、2週間以上いられる人に限る
という条件の下、受け入れさせていただいたり
お断りしたりを
こちらの都合で、している。

メールや電話でのバーチャルで事務的なやりとりが、
顔を合わせた瞬間にリアルな出会いに化けて、
同じ釜の飯を食ってひとつ屋根の下に眠った
明くる日には、もう日常に溶けている。

そのスピード感っていうか、
魂が常に新しい出会いにさらされている独特の感覚が気持ちいいし、
たまに「将来、一緒になんかできたらいいな」って
本気で思うような出会いもある。

それに、一緒に種が芽吹いたことを喜んだり、
風に揺れる田んぼの水面を眺めたりするだけで、
会って間もない人との間に一体感が生まれるっていう
かなりハッピーな体験もさせてもらってる。

でも、
だいたいみんな、「自分探し中」。
ここに来れば何か見つかるかも、っていう
淡い期待だけをぎゅっとにぎりしめて、
漠然とした不安を見ないようにして、やってくる。

その人を好きになればなるほど、ついつい思ってしまう。

ここに来て、どこにいくんだろう?
何でも経験するって大事なことだけど、
興味や感性だけで選んだバラバラのピースを
ひとつの形に結んでいくにはやっぱり、
世の中の評価を受けて影響力を持つための、
我慢とか、忍耐とか、徹夜とか、激務とか、
避けて通れないんじゃないかな。

そして、世の中の評価の一番一般的でわかりやすい形がお金だから、
お金を稼ぐことは、とてもとても大切なことなんじゃないかな。





なんかこのまま行くと、
ある程度稼いでる自分が正しいっていう
自己正当化の話にしかならない気がしてきた。。。うー、かっこわるい。でも続ける。





稼ける方法を、自分が納得のいく形で得るっていうことが、
居心地のいい居場所を、本当の自分を、
見つけるっていうことなんじゃないかな。

書けば3行だけど、
現実にはいばらの道。

「アポ取り電話をしつづけろ」って
手と電話の受話器をガムテープで縛り付けられたり、
契約社員だからって軽く扱われたり、
役員の前で支離滅裂なプレゼンをしたあげくに緊張の
あまりぶっ倒れたりもする。(これは全部私の話)

輝いている人に嫉妬したり、
うまくいかないことを親や育った環境や
生まれ持った才能を恨んだりもする。(これも全部私の話)

でも、それで、己を、身の丈を知る。
まわりからの評価を、濾過して受け入れる
度量が育まれる。

だから、「これから会社やめようと思ってて」という段階で
見学に来た子にはあえて、今いる場所の価値と、
ここで得られることの限界を語ることにしている。

ここではお給料は出ないから。

お給料が出ないから、ここの仕事に価値がないと
言っているわけでは、もちろん、ない。
だったら私はここにいない。
今の社会でのお金のまわり方はゆがんでて、
目に見えない価値が正当に評価されるようにはなってないとは思う。

だけど、ここでどんなに価値があることを学んでも、
稼げなければ続けていけない。
物見遊山や単なる癒しで終わるなら、
元々持っていたフィールドで、自分を高めた方が
よっぽどその人のためになる。
人生の一休みをするには、みんな若すぎる。

お給料が出ないことを補ってあまりある価値を
自分で見つけて、稼げる方法につなげていける人に
来てほしい。。。。。。。。

そして、ここが、
スタッフにお給料を出せる場所になるために、
がんばりたい。

WWOOF担当として、色々な人を見ていて、
心からそう思う今日このごろ。

半東京。農ライフ vol.4 軸と輪郭

2009年05月08日 | お仕事日記
ここブラウンズフィールドには、
実に色々な、たくさんの人たちがやってきて、
そして、去っていく。

だから、
人間の魅力というものについて、考えさせられることが多い。

働いている側は基本的に無給で、
ほとんど一人になる時間がない共同生活という
特殊な職場環境なので、
「ちょっと興味があったのでアルバイトに来ました」
みたいな感覚で来ている子はいない。

何かを覚悟して、そして期待して、ここにいる。

そこは同じはずなのだけど、
魅力的な人と、そうじゃない人が、
やっぱり、いる。

何が違うんだろう?
そう考えて、ひとつの答えに辿り着いた。

惹きつけられるのは、
ぶれない軸と、くっきりした輪郭を持つ人。

曇った日の水平線よりも、
晴れた日の水平線が魅力的なように。

それは顔に、瞳に、オーラに、
出る。
隠しようがない。

人生って、何度もデッサンを引き直しながら、
少しずつ「私の輪郭」を太く、
濃くしていく作業なのかもしれない。

用意された下書きに色を塗るのではなく、
自分でゼロから描き始めること。

時には、
下書きを消すところから始めること。

その作業をさぼらずに、
人生に真っ正面から向き合っている人は、
瞳の奥に光を宿している。
謙虚で、前向きで、開いている。
そして、目の前にある問題にも、
向き合う。

人から与えられるのを待っている人は、
文句が多くて、いつも色々なことを
他人や世の中や政府のせいにする。

私は未熟で、ついつい待っている人を
じゃまに感じてしまうことがあるけれど、
待っている人を、向き合う人に変えるられる人になりたい。

向き合う人ばかりになったら、
環境問題も貧困問題も格差問題も、
するするっと解決するんじゃないかと思うから。