地球族日記

ものかきサーファー浅倉彩の日記

映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」鑑賞録。外界との距離感

2015年10月11日 | 読み聞き日記
映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』予告編


みんなが帰った放課後の教室とか、深夜の台所。
泊まり込みの大会なんかで、夜みんながあちこちの部屋で笑っている甘美な音を
遠くに聞きながらひとり布団に潜り込む安心感。

そういう、社会との距離の置き方がある。
そのくらいの距離感が心地よいと感じる心がある。

乳母として住み込みで働き、
何十万枚も写真を撮りながら発表せずに亡くなった
ヴィヴィアン・マイヤー。

その膨大な写真は死後に発見され、瞬く間に評価を得た。
もし彼女が生きていたら、展示会場を埋め尽くす観衆に、
きっと、うんざりしただろうと思う。
きっと、愛想よく笑顔をふりまいたりはできなかった。

街へ出て、人を撮る。
写真家と被写体という距離感で、人と出会う。
それが彼女の外界との付き合い方だったのだろうと思う。
危険がいっぱいの外界から自分を注意深く守りながらも、
安全地帯から外界に手を伸ばす。
疎ましく思いながら、それでも接点を希求する。
彼女が残した写真たちは、そういう彼女の精神が生きた軌跡だと思った。

三宅洋平さんについて思うこと。

2013年07月12日 | 読み聞き日記
選挙の話です。

知ってる人が選挙に出てる!という話です。

この人。三宅洋平さんです。

三宅洋平街頭ライブ@新宿西口2/2 2013年7月5日




先週あたりから、私のFacebookのタイムライン上でこの人が増殖。笑
「散見」から「常駐」へ。どんどん増えています。

みんな、興奮気味に「ビバ!三宅洋平さん!」(ざっくりまとめると)と言っています。

彼が展開している独自の遊説の手法「選挙フェス」の様子を
YOU TUBEで全部見たら、何かが乗りうつったというコメントも見ました。笑
すごい。

だからといって、三宅洋平さんが当選するかどうかは、
まるでわからない、ということは、前回の選挙で学びました。

三宅洋平さんが今や時の人になっているのは、
せまいせま~い私のタイムラインの世界の話なのかもしれません。

私自身、彼に投票するかどうか、まだわかりません。

あ。で。知っていると言っても、
沖縄に来てからあちこちで何度も見かけた、とか
仲良くさせてもらってる友達のうちの何人かが三宅さんと友達、とか
一度、二言三言、話をしたことがある、とか
そんな感じです。

最初に見て、初めて存在を知ったのは、2012年3月11日の「てぃだのわ祭」でした。
UAさんが音頭をとって、開催して大盛況だった、音楽のお祭りでした。

そのステージ上で、三宅洋平さんは、
「あんたがメディアなんだよ!あんたメディア」と叫んでいました。

私は、そうだ、そうだ!と思いました。

いつの日か、とんでもないスーパーヒーローが彗星のごとく現れて
このクサクサするようなよのなかを変えてくれる。
ヒーローの正義と特別な力が悪を駆逐する。

というのは、おとぎ話で。

「ひとりひとりが変える力」を持っているし
それを本人の努力だったり心がけだったりで、
使わないと!

みんな客席で見てないで、いいかげんピッチに下りろよ!

ということを、私は強烈に、思っていたからです。そのころ。

あんたメディアっていう言葉は、
そういう私の思いを代弁してくれていて、
しかも、その言葉を考えついただけじゃなく、
観衆に向かってマイクを通してデカい声で叫んでくれてる人がいる。

いい!

これが、私の第一印象です。

言葉が研ぎ澄まされている人だなあ、と、
研ぎ澄まされているんだけど、
それは俳句とかすでに世に出まわった名コピーみたいな
古典的な研ぎ澄まされ方ではなくて、
「今まさに本人の中から出てきた」という新鮮さや勢いもある。

この人の言葉の力、すごい!と思いました。

その後、気になってYOU TUBE で検索したら、たくさん音楽クリップが出て来て、
私の一番のお気に入りは「Life Is Beatful」。

仕事のかたわら、ヘビーローテーションしていました。

特に好きな歌詞は、

「人生はまるで夢ではなく 人生はまさに夢そのもの」とか
「失われたものは取り戻せ あの日あの心のままに」とか。

で、三宅洋平さんなんかすごい!とFacebookでつぶやいたら、
大好きな谷崎テトラさんが、
「三宅洋平かっこいいよね」とコメントしてくれたので、

テトラさんも好きなんだ!とうれしくなり、
ますます好きになりました 笑

それから、リクルート時代の先輩から
「実は同期なんだよ、『おれは音楽でやってく』って言ってすぐ辞めちゃったけど」
というびっくりコメントも届き、ますます興味がわきました

ま、基本、アウトローが好きなので 笑。好きだし、理解できる気がするので。

メッセージを研ぎ澄まして、しかもメロディとリズムに乗せて
伝えられるなんて、うらやましい!正直、嫉妬するわ~、とも思いました。

(なんだ、結局、そういうことかよ、三宅洋平讃歌か、と思った方、
 まあまあ、そう結論を急がずに 笑)

そんなわけなので、三宅洋平さんが「おかしいことをおかしいとみんなが言うよのなかにしたいぜ。一億総メンドクサイ国民になろうぜ!」と言って、立候補したことには、勝手に納得。

生来、そういう魂してる人だと思う。

つまり、思いつきや気まぐれやひやかしでは、少なくとも、絶対に、ないと思うよ。


ところで、立候補するのって大変なんだよ。
供託金300万円払わないと、立候補できないの。
憲法で25歳以上の日本人なら万人に被投票権が保障されてるはずなのに、
これじゃ金持ちしか立候補できないじゃんね。
欧米は、9万円とかなの。日本だけなの300万円なんて。
おかしいことはほかにもあって、在日朝鮮人の人の中には、
いまだに投票権がない人も多いんだよ。
税金は払い続けてるのに、投票も立候補もできないの。
これはほんとに、おかしい。


三宅さんは何かのときに、
「議員になるのは、日直みたいなもんだから。」と
これまた、至極納得!なことを言っていたことがある。

政治家が、一部の特別な人のものだったり、
人と人や、団体と団体の利害関係を強化するための道具になっているのは
やっぱりおかしい。と私は思っているので、
みんなで順番にやろうぜっていうのは、これまた納得。

本来政治家って、「先生」とか言われて崇め奉られてるものじゃなくて、
まさに、公僕。ご苦労な立場だよ。

だって、みんなの意見を聞いて、「これが総意だ」という
ひとつの答えを決めるのって、すごい大変なことじゃない 笑

ちょっとした会議だって、そうなんだもん。

私はとっても器の小さい人間なので、
会社で会議の進行とかしてても、
「わかってない人は黙ってて!」とか、
「まぜっかえさないで!面倒くさいなあ、もう」とか思うときもあります。

それはきっと国会という会議も同じでしょう。
と想像してみる。

国会議員は選出された地域の「総意」の代弁者で、
国会は彼らが持ち寄った意見を、交換をして、議論して、利害関係を調整して
全体最適な結論を導き出すための公器であるはずだけど、
人間がやってる限り、一筋縄ではいかないだろうなあ。

時間が限られてる中で、いろんなことを決めなきゃいけないという状況の中で、
どうやって「議論をつくす」のか。「議論をつくした」って誰が決めるのかな。
やっぱり、声が大きい人の声が通るのかな。
その「声」というのは、ついてる「バック」の大きさだったりする。(んじゃないかなあ?)
好き嫌いだって、ある。

しかも、決めることのテーマは多岐にわたっていて、
国土交通省 厚生労働省 文部科学省 経済産業省 資源エネルギー庁 観光庁 外務省 財務省 総務省 防衛省 なんやかんやで高級官僚が日夜扱っているだけ、情報も膨大。

全部の情報に目を通して自分の意見を持つことがまず、不可能に近いように思われるよ。

そんな、めんどくさい、何かをかたちにするのが難しそうな、苦労が報われなさそうな世界に、
300万円も払って(当選すればナントカ準備金が支給されて相殺はされるらしい)
打って出るって、本当にご苦労だと思います。

だからって、「よくわかんないから、やってる人たちにおまかせ!」
ってなると、「すでにやってる、手慣れた人たち」の好きなようにやられちゃう。

金持ちのじじいばっかで話しあって、金持ちのじじいに都合のいい法律ができて、
いつのまにか消費税上げられたりしちゃう。

あとさ、
何期も国会議員ばっかりやって、自分の生活設計がその上に乗っかっちゃってる人は
サラリーマンがおいそれと会社を辞められないのと同じで、
その居場所を守ろうとする心理が強力にはたらくようになるってことも
容易に想像がつくよね。で、地位を盤石なものにするために、
「長いものにまかれよう」とかってことになっていきそうだよね。
次の選挙で失職したらやだから、選挙の互助組織である政党の方針には逆らわないってことに。


だから、大変だからこそ、そうならないためにも、
なるべくみんなで手分けするほうがいいんだよね。

なのに出馬するための供託金300万円って、やっぱりおかしいよね。

これが10万円ぐらいだったら、「私もそのうち、立候補しようかな」って気になるのに。
友達のなかで、「あの人いいんじゃない?」って思う人いたら、
飲みながらでも「次あたり出たら?」なんて話するのに。

ただし、300万円のことはおいておいたとしても、
これって、文化とか風土でもあるよね。政治に対する感覚においての。

一生に一度ぐらいはディズニーランドに行くもんだ、とか
一生に一度ぐらいは、富士山にのぼりたいな、とか 笑
もしくは、結婚はだいたい一生に一度が相場だよね。個人差あるけど、とか笑
(これ、最近は二度ぐらいが相場になってきてない?そんなことない?)

なんで?って言われても、よく考えたらわかんないけど、なんとなく。
これが文化だよね。

そして、文化ってどんどん変わるよね。

だから、

一生に一度ぐらいは立候補 があたり前になったらいいよね。

ということを、三宅洋平さんが身を以てはじめようとしているとしたら、
私はその考えにとても共感するし、支持します。


実は、彼が立候補するという話は、この2月ぐらいに聞いて知っていた。

正直、アンチヒーロー的な側面があんまり強かったり、
音楽の生演奏という特別な技能を持った人だからこそできるパフォーマンスで
聴衆を魅了している側面が強調されすぎてしまうとしたら、
結果的に「普通の人」と政治の距離は変わらない、むしろ
逆効果だったりしない?とちょっとテンション低めに受け取ってました。

※アンチヒーロー的側面が強い っていうのは、
今のよのなか気に入らないぜ!→ 革命家 三宅洋平がオレ等のヒーローだぜ
っていう思考回路で「今のよのなか気に入らない人」の支持を集めるっていう意味。

でも、杞憂だったかもしれません。

YOU TUBEを見た私の感想は、
34歳の等身大の、「この社会で一緒に生きてるみんな」への思いが、
まっすぐに伝わってくる ってことだけ。
そして、言っていることがとても「まっとうだ」ということ。
陰謀史観も展開してないし、アーティストぶってもいない 笑
発信するメッセージやスタンスが、受け取る人の立場や心理を考えて
チューニングされている。

Facebookのタイムラインにあふれかえる三宅洋平さんを電子の力で眺めさせてもらいながら、
私はいま、そんなことを考えています。

こういうことを考えるきっかけをくれた三宅洋平さんに感謝と敬服を感じつつ。

いずれにしても、選挙、誰に託すか、まじめに調べて考えないとね。

投票日はもう、来週だ!

60テラワットへの挑戦

2012年02月07日 | 読み聞き日記
日本太陽エネルギー学会の会報誌「四季雑感」より。

60テラワットへの挑戦  荒川裕則


(前略)

筆者は、安価な太陽電池となる有機系太陽電池や太陽光を水で分解してクリーンエネルギーである水素を製造するための研究開発を行っていますが、これらの研究開発を行っていますが、これらの研究開発を行うについて、いつも勇気づけられる話があるので紹介します。それはC60(フラーレン)を発見して1996年にノーベル化学賞を受賞した米国RiceUniversityの教授であったRichard E.Smalley博士が2004年の米国材料学会で"Future Global Energy Prosperity : The Terawatt Challenge"と題する講演の内容です。

彼は講演の中で、人類がこれからの50年(21世紀の前半まで)の間に解決すべき10個の課題を挙げました。そして、それらの課題の中で、解決すべき最も重要課題はエネルギー問題であり、2位から10位までの課題である飲料水、食料、環境、貧困、テロと戦争、病気、教育、民主主義、人口等の諸問題は、安価でかつクリーンなエネルギーさえ入手すればすべて解決できると述べています。

では、人類にはどのくらいのエネルギーが必要なのでしょうか。2004年の講演当時の世界の人口は約63億人で、世界の消費エネルギーをワット換算すると約20テラワットでした。
2011年には世界の人口が70億人となったことは記憶に新しいところですが、2050年には世界の人口は100億程度になると予想されています。この100億の人々が、快適な生活をするには60テラワットのエネルギーが必要であると推定しています。さらに、このような膨大なエネルギーを長期に安定に供給できるのは、太陽・風力・地熱エネルギーすなわち再生可能エネルギーのみであると述べています。

そして、太陽光発電で60テラワットのエネルギーを得るためには、5大陸のサンベルト地帯にある6箇所(例えば米国南部、南アメリカ、アフリカ北部、サウジアラビア半島、中国中部、オーストラリア)の100km四方の土地に、変換効率30%の太陽電池を敷設すれば可能であるとの米国CaltechのNathan Lewis教授の試算を紹介しています。ちなみに、10%の変換効率の太陽電池を同様に土地にに敷設した場合は、現在の世界の消費エネルギーにほぼ等しい約20テラワットのエネルギーが供給できることになります。これは、現在の技術でも可能です。

しかし、得られるエネルギーはkWhあたり数セント程度の安価でないといけないとしています。奇しくも彼が発見したC60(フラーレン)は、安価な太陽電池になると期待される有機薄膜太陽電池の材料として使用され、世界中で実現に向けた研究開発が精力的になされています。Smally教授は、現在、我々は、これを可能にする技術は持ち合わせていないが、材料科学のテクノロジーなどの分野での革新技術によって、再生可能エネルギーを安価でクリーンな電力エネルギーに変換することは可能であろうと締めくくり、若い研究者や技術者を鼓舞しています。

無尽蔵な再生可能エネルギーから、安価でクリーンなエネルギーを生産できる技術が開発できれば、単にエネルギー問題の解決のみならず、飲料水、食料、環境、貧困、テロと戦争、病気、教育、民主主義、人口等、人類のあらゆる問題の解決が可能であり、人類の持続的発展につながるというSmalley教授の講演内容は、筆者のみならず多くの研究者や技術者に有機を与えるのではないでしょうか。

(東京理科大学教授)





ライフ・オブ・デビット・ゲイル 

2011年11月18日 | 読み聞き日記
1ヵ月ぐらい前に、たまたま実家にいるときにテレビでやっていた深夜映画。
ライフ・オブ・デビット・ゲイル

これぞ「日常に潜む直観。」という感じで、
もう寝てもいいなあ、という夜中の3時過ぎにつけていたチャンネルで、
何の予備知識もなかったんだけど、
始まって数秒で、「これは見よう」と決めたわけなんですね。

結果、死ぬ前に記憶に残る映画10本挙げるなら、
その中の1本には絶対に入る、というぐらい衝撃を受けました。

他は、今のところ何だろう。 「ライフ・イズ・ビューティフル」「風の谷のナウシカ」「タイタニック」「ハチ公物語」「ブルークラッシュ」「7つの贈り物」「レイチェル・カーソン 感性の森」「ぐるりのこと」「ブロック・パーティ」 好きな映画、たくさんあって幸せだなあ。

とにかく、サスペンスとしても、ドキュメンタリーとしても、
ヒューマンストーリーとしても秀逸。
めくるめく展開、登場人物の人間性を端的に伝えるムダのないセリフ、
俳優の演技もとっても自然で、ぐいぐい引き込まれました。

映画って、見るときに必ずなんらかの期待をして見ると思うんです。
予告編を見たりして、その時の気分にあわせて、「泣きたい」とか「笑いたい」とか「知りたい」とか「恋愛モードになりたい」とか「元気になりたい」とか「なんとなく見ておきたい」とか「頭を空っぽにして別世界に行きたい」というような。

そういう意味では、後からこの映画の予告編を見てみたけど、
何かしらの明確な下心があって見る映画を探しているときに見かけても、
見なかったかもしれない、と思いました。
「死刑制度」は私にとっては第一の興味関心事じゃないし、
出演者も設定も基本的に地味だし。

逆に下心がなかったからこそ、ズバっと入ってきたのかもしれません。

生きるってなんだろう? 信念を貫くってどんなことだろう? 
正しさってなんだろう? 命ってなんだろう?
社会にインパクトを与えるって?
というようなことを、深く深く考えさせられる映画でした。

環境問題を他人事にしておけなくて、NPOの仕事をしていると、
いつのまにか正義の味方みたいな気持ちで、勝手に巨大な闇を背負い込んでしまうことがあります。
誰にも頼まれてないし、他人事にしておけないというのは、私の都合でしかないのに。

たくさん稼いで、人より稼いで、人よりムダ遣いするのが幸せな人だっている。
「気候変動を止めるなんて無理だよ」と平然と言い放つ人だっている。
そういう人も含めて社会は成り立っている。
そういう人と自分もどこかでつながっている。
という事実に、腹を立てたり無力感を感じたりするわけです。

そうすると、疲れちゃう。

だから、映画の中で、
登場人物の女性が「とても疲れたわ」と言ったとき、
「わかる!」とつぶやいてしまいました。

信念や志は大切だ。
しかし独りよがりになってはいけない。
世界を敵にまわしたいわけではない。
しかしどうしようもないわからずやを無視することも必要だ。
基本的には和の輪を大切にして、怖くなく楽しそうに、
なるべく境界線をつくらずにやっていきたい。
スタンスとしては、どっしりかまえて、
長い目で見て、じわじわやっていく必要がある。
でもそれじゃ間に合わない気がする。
時には、正面からぶつかり合う対話が必要だ。
そして、結局は強烈なインパクトが人の心を変え行動を変える。
圧倒的多数を占める無関心層はいったいどうすれば目覚めるのか。
・・・・

みたいな、いつもいつも頭の中にある螺旋状の思考回路が
この映画には全部、表現されていた。
だから引き込まれたのかもしれません。

考えるのが好きな人にオススメの映画です。

10%のふらふら蟻。

2011年01月19日 | 読み聞き日記
前回の読み聞き日記に書いた「お金は使っても無くなりません。」
高木善之さんの著書「転生と地球~価値観の転換へのメッセージ~」には、
もうひとつ、面白いストーリーが書いてあった。

それは、蟻の話。

働き蟻は、列をつくってエサと巣の間を往復している。
後に続く蟻が迷わないように、おしりからマーキング汁を出してる、
というのはわりと有名な話。

ところが、実は「前のやつに続け!」とばかりに、
従順に隊列に参加しているのは全体の90%なのだそうだ。

あとの10%は何をしているかというと、ふらふらしている。

ふらふらして、みんなの次の仕事を探しているんだって。

たしかに、エサがそこにあるうちは、決まった仕事をきちんとこなす
隊列アリがみんなのためになる。
だけど、全員が隊列に参加して、ひとつのエサを運び尽くしたら、
巣ごと飢え死にしてしまう。

そうならないように、ふらふらアリは、自分の嗅覚だけをたよりに、
なんの保障もない放浪をしているのだ。

このくだりを読んだとき、私ははっと、ある人の言葉を思い出した。

ほかでもない、R水素のおしごとのボス「ハルさん」。
ハルさんは、「R水素モデルはビジネスとして採算がとれない」というようなことを
誰かが言うたびに、

「儲かるからやるのは普通でしょ?儲かるってわかったらみんなやるんだから。
儲かるようにするまでが大変なのよ」
と言っている。

そういえば、
今や世界を牛耳る石油ビジネスだって、
最初は儲かるかどうかわからないバクチだった。

以下、「石油の世紀」より、石油ビジネスの誕生ストーリー。


「それは526ドル8セントの行方から始まった。
エール大学の化学の有名教授だったベンジャミン・シリマン・ジュニアは
臨時収入を求めてあるプロジェクトの調査研究を請け負う。
1854年のことだ。

ニューヨークの弁護士ジョージ・ビセルと
ニューヘヴンの銀行頭取ジェームズ・タウンゼントは
ペンシルベニア州北西の丘陵地帯オイル・クリーク一帯で
噴出していた石油を大規模に採取して、
純粋な石油だけを取り出し、ランプの光源として使おうと計画した。
当時出回っていた石炭から採ったコール・オイルのかわりに。」

「タウンゼントが地元でこの掘削の
話をすると、みんなが笑って言った。
『おい、タウンゼント。油は土からにじみ出るんだ。
水を汲むようにポンプで汲むなんてできるか?
ナンセンスだ。頭がおかしくなったのか?』」

「ドレークは休職中で自由だった。
彼はビセルとタウンゼントのペンシルベニア石油に、
石油の掘削を試みるミッションで偶然雇われた。」

「最後には、株主の中でタウンゼント一人だけが、
このプロジェクトの可能性を信じるという
状況にまでなってしまった。資金も底をつく。
すると、タウンゼントは私財をはたいて請求書の支払いを始めた。
しかし、それも困難になり、タウンゼントはとうとう最後の送金をドレーク宛に振り込み、
請求書の始末をし、作業場を閉鎖してニューヘヴンに帰るように指示した。

1859年8月27日土曜日の午後、手紙はまだドレークのもとに届いていなかった。
掘削井の坑底は69フィートに達し、ビットは地下の地層の割れ目に落ち込み、ここからさらに
6インチ滑り落ちた。そこで作業が終わり、週末の休みとなった。

翌月曜日の朝、井戸を見に来てパイプの中をのぞき込むと、
水の上に黒い液体が浮いている。
彼はブリキのひしゃくを使って液体をすくい、
重い溶液を調べながら、興奮を押さえきれなかった。
・・・・」

私たちが生きているのは、
このできごとが起きたたった150年後の世界。

この150年間、石油には十分お世話になったけど、
今では海底に穴をあけたり、砂まじりのオイルサンドから搾り取らないと、
手に入らなくなった。

限られた場所にしかないために、奪い合いの原因になり、
たくさんの戦争が起きた。

燃やす時に空気中に棄てられるガスが、
気候変動を引き起こすことがわかった。

このまま、石油(を含む天然ガス・石炭・ウランという化石燃料)に頼りきった
経済に行列をつくっていると、いのちを支える生態系は破壊し尽くされ、
地球ごと、飢え死にしてしまう。

10%の蟻は、みんなの次の仕事、つまり、自然エネルギー+水素のR水素を、
もう、とっくに見つけている。


「お金は使っても無くなりません。」

2011年01月11日 | 読み聞き日記
高木善之さんという人がいる。

1989年、モントリオール会議が開かれ、世界が「2000年特定フロン全廃」を決議した。
このとき、日本だけがサインしなかった。
当時の松下電器産業(現パナソニック)の社員だった高木さんは、
社長に自社製品からのフロンガス全廃を提案し、社長を世紀の勇断に導いた。

業界最大手である松下の、突然の特定フロン全廃宣言に、
他社は面食らい、クレームをつけた。
知名度が高く社会的影響力の強い松下にそんなことをされると、
全廃しないメーカーはイメージダウンになる。
一方で、別の素材への切り替えには、多額のコストがかかるからだ。
でも、最終的には1社、また1社と松下に追随。
日本政府も翌90年、モントリオール議定書にサインをした。

高木さんは紛れもなく、社会を変えたヒーローだ。

フロンガス全廃に限らず、
たとえそれがどんなに賢明で、理にかなっていて、急ぐべき選択でも、
反対する人も、決断を遅らせたい人も、そのもっともらしい理由も、いくらでも存在する。

「経済成長に悪影響」「業績が悪化すれば、雇用が維持できなくなる」「フロンガスとオゾン層破壊の因果関係ははっきりしていない」「変えることがこわい」・・・。

最終決定権を持つ社長の思考回路から、そのすべてを遠ざけ、
運命を変える舵取りを断行させた「会話」を、高木さんの著書に見つけた。

**********************以下引用**********************

“非対立、非対立“と唱えながら、社長室に入った。

「きょうは何だね」
 「地球環境のことでお話があります」
「合唱団のことではないのか、それなら担当役員に話しなさい」(高木さんは合唱団の指揮者だった)
 「わが社にとって重要な問題です。ぜひお知らせしたいのです」
「じゃあ聞こうか」

 オゾン層破壊について話した。社長は非常にショックを受けられた。
「まさか、それは本当か」
 「これは国連が各国政府などの公式データです」
「なぜ日本はサインしなかったんだ」
 「わかりません。でも100億円で社内の特定フロンは全廃できます」
「うちがやればよそが怒りよる」

もしここで「よそが怒ろうと、うちはやるべきです!」と言えば私がクビだろう。非対立で。主義主張や説得はマイナスになる。気づくチャンスをつくること。

 「うちがやらなければどうなるでしょう」と聞くことにした。
「うちがやらんと、よそもやらんだろうな」
 
ハードルをひとつ越えた。

「しかし、100億円はもったいないわ」
もしここで「100億円くらいなんですか」と言えば私がクビ。
非対立で。相手の気持ちを受け止めること。
 「お金は使わないとオゾン層は無くなります。でも、お金は使っても無くなりません」と言うことにした。
「えっ、金は使えば無くなるやないか」

もしここで説明すれば気づくチャンスが無くなる。私は黙っていた。
黙っていると、相手は考えることができる。大切なのは相手が考えることを邪魔しないことだ。

しばらく考えて社長は、
「なるほど、金は無くならんな、金は天下の回りものだからな」と言った。
ハードルをもう一つ越えた。もう一息!

「私は経営者だからいい悪いだけでは考えられない。経営の観点で考えんといかん、君も経営の観点で考えてみてくれ」
もう一息のところで難しい問題。
一瞬、どう答えればいいかわからなかった。
非対立で。同じことを繰り返したり強引に説得すれば失敗する。チャンスは一度、失敗すれば取り返しがつかない。非対立は、無理しないということも大切。
「しばらく時間をください。」

**********************中略**********************

社長の注文を宿題にした高木さんは、経営とは何か、を徹底的に調べ上げた。
そして、仏教辞典で次の説明を見つけた。

**********************中略終わり**********************

“「経営」の「経」は「真理」を表し、「営」は「一生」を表す。「経営」とは「一生かけて真理を求める」の意”
この言葉に感銘を受けた!そして再び社長室に出かけて行った。

「どうした」
 「経営という観点で考えてまいりました」
「話してみなさい」
そのことを説明した。
「・・・・・・経営とはそんなに凄い言葉なのか・・・・・どうすればいいんだ」
 「わが社として何ができるか、社長と一生をかけて考えてまいりたいと思います」
「そんなことしてたら間に合わんじゃないか」
 「間に合わないと思います」
「それじゃダメじゃないのか」
 「社長の指示通り、経営という観点で考えました」
「・・・・・」
社長は無言。しばらくして、社長は次のように言われた。
「わかった。やろうじゃないか」

1カ月後、「松下電器特定フロンを全廃 5年前倒し1995年までに」という新聞記事が全紙に載った。89年7月20日のことだった。

**********************中略終わり**********************

このことで、高木さんのお給料が上がったわけではない。
でも、社会に計り知れない影響を与え、社会の進歩に大きな足跡を残した。
私は、こういう働きがしたい。

境界線の溶かし方。

2010年11月01日 | 読み聞き日記
昨日書いたブログポジティブな社会。で、
派閥をつくらない若者たちのことを書いた。

境界線をつくらないことがポジティブな社会づくりにつながる。
と書いたけれど、それってけっこう難しい。
そして、
できてしまった境界線を溶かすことはもっと難しい。

と思う。

ところが、意外な方法で境界線を溶かす動きがあることを、
谷崎テトラさんのメールで知った。
このブログを読んでくれている人にも、ぜひ知ってもらいたいので、
転載します。

以下転載-----------------------------------------------------------------------

日中関係が気になる。
最近、面白い記事を見た。

尖閣における衝突問題以降、2 国間関係が険悪な日本・中華人民共和国であるが、中国国内の反日デモで叫ばれる「日本鬼子(リーベングイズ)」という日本人/国への罵倒に対して、斜めに受けて「日本 鬼子 (ひのもと おにこ) って萌えキャラ作って中国人を萌え萌えにしようぜ」と中国へ返すという草の根プロジェクトができたらしい。

http://www16.atwiki.jp/hinomotooniko/pages/22.html
http://blog.livedoor.jp/kashikou/archives/51593329.html

blog『「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む』というサイトで、この萌えキャラ群を見た中国人側の反応が紹介されている。

• こう来るとは全く思いもしなかった。あの国はやはりよく分からん……
• こんな手を打ってくるとは。あの国はまずオタクから何とかした方がいいんじゃないか?
• こっちは罵声を送っていたはずなのに返ってきたのは萌えキャラ……なんかもう、無力感に苛まされる……
• やべぇ……日本はやっぱりやべぇ国だよ。ちょっと負けを認めるべきなのかもしれない。
• あ、基本は黒髪ロングでお願いします。
• 日本鬼子が萌えキャラだと ? こうなったらあいつらをどう呼べばいいんだ ? JAP ? それともキモオタ ?

反日の怒りの矛先が変なところに、いってしまう、こういう脱力系のプロジェクト。。
じつはガチな反戦運動よりも、案外、効果を発するのかもしれない。

戦わずに、萌えさせる。
憎悪をユーモアで打ち返す。
エンタメ、アートによって、虚をついていくのも日本流かもしれない。

鬼と言えば、中国でつくられた反戦映画で『鬼がきた!!』という作品がある。
反戦映画ということで、反日映画と思っていたが、逆に中国では上映禁止になっていたそうだ。(今も?)

映画『鬼がきた!!』
http://www.youtube.com/watch?v=Qb6-lT8lMw4

「鬼がきた!!」 この映画の舞台は、日本に占領された中国の寒村。
「鬼」とはもちろん日本兵のこと。ある村で日本兵が捕虜になるんだけど、平和な村ではその扱いに困る。通訳できるのは一人だけ。日本兵は典型的な日本軍人でひとり中国人への憎悪をむきだしにしている。日本兵は通訳を通して罵倒するんだけど、中国人通訳は口汚い言葉をやわらかく翻訳し、日本兵の意図とは別に村人はどんどん友好的になっていく。日本兵は通訳に中国語の罵倒語を習うんだけど、通訳は良い言葉を逆の意味で教える。

日本兵は中国人を侮辱するつもりで

「お兄さんお姉さん明けましておめでとうございます!!」

と、いうような感じ。
そうして、だんだん両者は友好的になっていく。

昨日、政策メッセの帰り、そんな話になった。

漆原さんから、三国志の諸葛孔明が直前でにらみ合う敵を前にして、戦うかわりに兵士に門の掃除をさせたというエピソードを聞いた。
戦いの勝利とは相手を打ち負かすことでなく、戦いを回避させ、両者の益となればそれが良いに決まってる。
非戦を戦略的に伝えることも国益であるはずだ。
日中関係の悪化はグローバルに見れば、日中双方にデメリットしかない。

田中優さんから「ブーゲンビル島のタニス」のエピソードを聞いたことがある。
http://blog.livedoor.jp/tetra_/archives/52302895.html

20年近く内戦が続いていたブーゲンビルでは、双方疲れ果て、もはや兵士はなんのために戦っていたのかわからなく
最前線の兵士タニスは、敵に会うと銃を空にむけて発砲し、笑顔で手を振るという行動をつづける。
そこから最前線の兵士同士で対話が生まれ、休戦、そして停戦へと進んでいく。

対話こそが鍵なのだ。
そのためには、奇策と思われることもたまには良いのではないか。



谷崎テトラ
構成作家/音楽プロデユーサー
ワールドシフトネットワークジャパン 
http://worldshift.jp./

-------------------------------------------------------------------転載ここまで

グンター・パウリ氏講演会 ブルーエコノミー

2010年04月12日 | 読み聞き日記
数年前に読んでかなりインスピレーションを受けた
「未来を変える80人~僕らが出会った社会企業家」。
http://www.amazon.co.jp/未来を変える80人-僕らが出会った社会起業家-シルヴァン・ダルニル/dp/4822245314

これは、2人のフランス人ジャーナリストが世界中を旅して
環境問題へのソリューションをビジネスを通して社会に提供する社会起業家を訪ね、
その活動やビジネスモデルを紹介している本。

当時はまだエコといえばボランティアという風潮が強く、
社会企業家という言葉がハシリだったこともあって、
目からウロコ&私も社会起業家になりたい!とはげしく憧れた事を覚えている(単純w)

この本の中で紹介されている、
生分解可能な洗剤「ecover(エコベール)」のメーカー創業者が
グンター・パウリ氏だ。

ところが、本で紹介されていた成功には後日談があった。
パウリ氏は、洗剤が売れて主成分であるヤシ油の需要が増加するにつれて
ヨーロッパの川はきれいになるけれど、
オランウータンの住む森が破壊されることに気付いた。

そこで、エコシステム全体に配慮し予期せぬ悪影響を生み出さない
ビジネスモデルの考案に腐心するようになり、
現在は、廃棄物までリンクした経済のモデル「ゼロエミッション」や
自然からヒントを得て生まれた最良の技術100件でイノベーションを起こす「ブルーエコノミー」
といったプロジェクトを提唱している。

これから継続的に、100のイノベーションをWEBで紹介しつつ
ビジネス化して10年間で1億人(!)の雇用を目指しているそう。
WEBサイト http://blueeconomy.de/

グリーンを超えたブルーなエコノミーの原則とは?

以下メモ。

Blue Economy Principles by グンター・パウリ

Sustainability is potential to respond to basic need of all.

narrative 物語

Part 1 Solutions are first and foremost based on physics.
physics 物理学 
foremost 最前
たとえば
しまうまの皮膚は、黒い部分と白い部分で9度も温度差がある。これにより、
空気のdensityが違うので風が起こり、涼しさを保っている。
ダイワハウスがしまうまにヒントを得て、仙台に白黒のビルを建てた。

シロアリはどうやって温度と湿度をコントロールしてるか?

If we rely first on physics
then we have no moving marts, no fricrtion no maintainance,,,

Everything in biology is exception.

rupture 破裂
humidity 湿度

物理学に頼るととても効率がいい。
生物学は常に例外がつきまとう。

Part2
substitute something with nothing.
nature keeps it simple.

ウィンドタービンは60年代の技術 That is green economy
Blue economy is ファイバーで風を受けて振動で発電??

しゃべる圧力で発電する携帯!!

eliminate
change your business model fundamentally!


ビジネスの一部分をエコなものに代替するのではなく、
根本的に改革しよう。

Part3
Natural systems cascade nutrient ,,,,

cascade 滝
nutrient 栄養物

Part4
Nature evolved from few species to a rich biodiversity in each of the five kingdoms of nature.

Ever more millions of players contribute to ever higher levels of material and energy efficiency.

市場に貢献するプレイヤーが多様であればあるほど、品質と効率は向上する。

Part5
Nature provides room for entrepreneurs who do more with less

アントレプレナーはルールを変えなければならない。シェアの拡大を狙うのではなく。

Part6
Gravity is main source of energy.
solar is the second renewable fuel.

24時間働くから。

りんごはどうやって木の上にある?

neglect 無視
sirfise tension

Part7
Water is the primary solvent
(no complex catalysts)

絹の製造では溶剤をつかわずに圧力と湿り気だけでコントロールする機械をつかう。
アミノ酸に圧力をかけて巣をつくるクモ。

Industry uses aggressive solvents.

ビルに必要な4つのマテリアルを1つの(水を使ったシステム)で代替できる。
スマート・ビルディング

audience question
どうやって政府の規制に合わせればいい?どうやって銀行に説明する?

政府がもっとオープンマインドになるべき。
パテントビジネスモデルはもっと難しい。
バンドリング コンバイニング テクノロジー イノベーション
コービジネスシンキングがとても競争力がある。

21まであるんだが、講演会ではここまでだった。

デルファイ調査

2010年03月26日 | 読み聞き日記
デルファイ調査という調査方法があるそうで。

説明書きには、
多数の人に同一のアンケート調査を繰り返し、
回答者の意見を収斂させる方法。
とある。

どこでこんなことを知ったかというと、

5年で25兆円の国家予算が使われている
「第3期科学技術基本計画」
を読んでいたら出てきたのです。

1995年に科学技術基本法ができてから、
5年ごとに17兆円、24兆円、25兆円が、
計画の理念
「人類の叡智を生む」「国力の源泉を創る」「健康と安全を守る」ことに資する
科学技術の研究開発に投資されています。

森羅万象あまたある科学技術の領域やテーマの中の、
どこに重点的に資源を投下するかを決めるときに、
デルファイ調査が行われたようです。

第3期の目標として、
飛躍知の発見・発明
環境と経済の両立
生涯はつらつ生活
科学技術の限界突破
イノベーター日本
安全が誇りとなる国
と書かれています。

、、、カリフォルニア州と同じ面積に
54基も原発密集させといて
安全が誇りってwww
科学技術の限界突破なんて無理だよ。
科学技術は自然に起きてる現象を"説明”することはできても、
同じ現象を"つくり出す"ことはできないんだよ。

私にとっては
突っ込みどころ満載なんだけどそれはさておき。

日本国政府、いつまで金持ちぶってんだよ!と言いたい。
将来を見据えた発明を目指すのも大事だけど、
そんな余裕はないのは?
国債発行額が個人の金融資産額を上回って
金利が暴騰、円が暴落する前に、
お願いですから無駄づかいをやめてもらいたいです。トホホ。

そして、デンマーク政府のように
「国民に、新鮮な水と空気と食べ物とエネルギーを保証する」
という、当たり前の約束ができる国になってもらいたいです。

本当は、同じ質問をし続ける事で答えが収斂していく、って
個人や組織のビジョニングにも使える普遍的な方法だよね。
ってことが書きたかったんだけど、
こんなに使われてるって知らなかったので、そちらの驚きが上回ってしまった。

まずは、知ろう。
http://202.232.75.151/jp/singi/titeki2/tyousakai/kyousou/dai1/pdf/siryou6-a.pdf

【日経BPネット】なぜか10年新設がない地熱発電 眠れる巨大資源のハードルとは?

2010年03月15日 | 読み聞き日記
グッドニュース!

〈要約〉
・日本の地熱資源の賦存量はインドネシア 米国に次ぐ世界第3位で2347万kW
・設備利用率は平均70%(風力20% 太陽光12%)
・ベースロード電源として利用可能
・初期コスト数百億円が課題
・有望31地点での発電コストは9円~22円
・秋田県湯沢町もNEDOが調査済みで2009年度内に事業化判断→温泉地と共生のパターンがつくれるかの試金石
・調査済み31地点のうち特に条件のいい16地点合計62万kWはkWあたり15円程度で事業化できる。この資産の設備原価償却期間はたったの15年。地熱は40年~50年動くのに。

〈補足〉
しかも!地熱発電所からは潤沢な熱が出る。
地下から噴出して、タービンをまわした後も、水蒸気は十分アッツアツだからね。

八丈島地熱発電の例
http://www.tepco.co.jp/hachijojima-gp/hachijo/g-04-j.html

これはもちろん暖房にも利用できるし、
農業に利用すれば、寒冷地でマンゴー栽培も夢じゃないかも!?
というのは冗談にしても、食料自給率の向上にも寄与するはず。

「地熱で食とエネルギー完全自給の温泉リゾート」できるよ。最高じゃない!?

さらにCO2冷媒にしてヒートポンプで熱を圧縮して温度上げて地熱バーベキューとか♪


ちなみに賦存量2347万kWというのは、原子力発電所23基分です。
仮にすべて活用すれば、
今稼働している原発のうち半分が止められる→放射能ゴミも半分に→再処理の予定はもともと出たゴミのうちの半分のみ
→不要に→再処理工場の運営に「これから」使われる予定の6兆円が浮く

6兆円÷数百億=60以上 ですよ。地熱発電所60個つくれるよ。

すでに、鋼材の値上がりで地熱発電所の建設初期コストは

「1970年代は1kW当たり10万~20万円だったが、鋼材や人件費の上昇で現在は100万円近くかかる」
by日鉄鉱コンサルタント(東京都港区)の野田徹郎顧問

らしいので、
今以上鋼材や原油が値上がりしないうちに、
純国産エネルギーで発電できる発電所をつくっておくべきじゃない?
エネルギーセキュリティ的にも。

で、ここで水素を登場させるならば!

まずはこちらをご覧下さい。

八丈島地熱発電所のホームページに掲載されている
八丈島の電力供給のグラフ。
http://www.tepco.co.jp/hachijojima-gp/hachijo/g-06-j.html

地熱発電は、出力が一定でベースロード電源になるというメリットの反面、
(原子力発電と同じで)需要に応じた出力制御が難しいため、
電力需要の"波"の部分は化石燃料を燃やして発電して調整してます。
つまり、地熱発電を利用する場合は、なんにせよ、
需要の”波”を吸収するための、別の、出力制御が得意な発電方法と
セットである必要があるということのようです。

ということは!

八丈島では化石燃料燃やしてますが、
これを水素にコンバートすればゼロエミッションのシステムができるじゃないか! 

つまり、地熱発電でつくれるだけつくって、そのとき使わない分は
水の電気分解にまわして水素化して貯めておく。
需要が高まるときに、これまでの化石燃料のかわりに水素を燃やして
内燃機関で発電する。

シンプル!

風力や太陽光のように出力が不安定な"波"を水素でならして、
デマンドの"波"に合わせようとすると
需要も供給もどっちも”波””波”で最適化がスゴく難しそう。
(北海道のフレインエナジーはこれにチャレンジしてんだよね)

それよりも、
地熱や海洋温度差発電のような、出力制御が不得意だけど
安定している発電方法で
余った電気を水素化して、その水素を燃やす内燃力発電でデマンドの"波"
に合わせるほうが、シンプルな気がします。

水素はHです。これを3つと空気中の窒素でアンモニア。
これは化学肥料に含まれているチッソ リン酸 カリウム のうちのひとつ。
つまりは農業肥料として使えるし、
アンモニア化することによって水素の運搬もぐーんと効率アップ!

別に夢でもなんでもなく、
やると決めればすぐにできる!

〈引用〉
なぜか10年新設がない地熱発電 眠れる巨大資源のハードルとは?

世界有数の火山大国ニッポン。資源に乏しい国といわれながら、地熱資源はインドネシア、米国に次ぐ世界第3位の賦存(ふそん)量を誇る。だが、この10年、地熱発電所の新設はない。なぜ地熱の活用は進まないのだろうか。

地熱発電は、地下深く井戸を掘り、マグマで温められた熱水と蒸気をくみ上げ、タービンを回して発電する。ひとたび運転を開始すれば、40~50年もの長期間にわたって、天候などに左右されることもなく、安定して発電できる。電力会社自らがかかわっている地熱発電所が多いのも、出力の変動がなく、ベース電源として利用できる利点があるからだ。

 設備利用率は平均で70%だが、国内の地熱発電所の中には90%を優に超えるところもある。風力が約20%、太陽光が約12%であることを考えても、地熱の優位性がわかるだろう。産業技術総合研究所の試算によれば、国内の賦存量は2347万kWにも達するという。

 コストの高さから太陽光や風力の活用には消極的な、電力中央研究所社会経済研究所の杉山大志上席研究員すら、「資源量が豊富な地熱は利用価値がある」と認める。

 だが、地熱発電が長らく停滞を続ける背景には、一筋縄で解決できない課題が山積している。

つづき
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/special/20100215/103205/?P=2

〈補足〉