一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

3月3日の4時から男(中編)

2018-04-04 00:12:43 | 新・大野教室

といっても即詰みはない。
Yoさんは▲4七同飛と取ったが、以下△5八金打▲3八玉△4八金打▲同飛(これなら詰む)△同金▲同玉△5八飛▲3九玉△3八銀▲2八玉△4七銀成に、Yoさんが十数秒考えて投了した。

なお細かいようだが、このあたりがYoさんの棋力判定の目安となる。△4七銀成で詰んでいる、と瞬時に認識してくれれば、初段は十分にあると思う。

3局目はKob君と指す。Kob君はかつて将棋への情熱が感じられず、私と指す時も上の空のところがあった。しかし最近はやる気が出たのか対局態度もよくなり、ぐんぐん棋力も向上した。私とはもう、ふつうに平手である。
将棋はKob君の向かい飛車に私の5筋位取り。ついでに4筋の位も取って、この将棋は負けられないと思った。

第1図の△6五銀に対して▲7七角は、△6六歩▲同銀△7六銀で後手がよい。さりとて▲8四角では△8二飛で、▲5一角成なら△8七飛成があり、この成り合いも後手がよい。
Kob君は▲8四角と飛び出したが、私は△8二飛(第2図)。
これは優勢になったと思った。
ところが…。

第2図でKob君の▲7八銀が好手だった。8七歩にヒモを付け、銀取り。私は勢い△8四飛だが、▲6五飛の飛び出しが大きい。
私は△7九角と妙な角を打ったが、▲6一飛成(第3図)でKob君優勢。次に▲2四歩△同歩▲2三歩、あるいは端攻めなどが残っており、手に困らない。

以下はKob君に的確に攻められ、綺麗に負かされた。
感想戦。私は作戦勝ちと思って指していたから、この結果は満足できない。しばらくやっているうち、△4四銀が元凶であることに気付いた。そういえば以前大野八一雄七段に、この形で△4四銀は、角道を塞いで良くない、と教わった気がする。
もし本局が△5三銀型なら実戦よりはよくなっていたはずで、このあたりは悔いが残った。

4局目はWat君に教えていただく。角落ちを所望すると、
「さっきはS君と平手で指してた…」
「いいんだよ。Wat君には以前角落ちで負けたんだから」
こっちも必死である。
前回はどの戦法で負けたか忘れたが、本局は久々に、伝家の宝刀を抜いた。すなわち、「対角落ち▲2五飛戦法」である。
「ほう…(空中戦を)やってますねえ」
とOg氏。「あれ? これ、駒落ちなんですか」
「そうです。Wat君には以前角落ちで負けましたので」
「え? でも(元奨励会初段の)私と大沢さんとは平手ですよねえ」
「……。Ogさんはブランクがあるじゃないですか」
「……」
何だか面倒臭いことになったが、適当に緩めてくれるOg氏とは違い、若い元奨は緩めるという手筋を知らないだろうから、この手合いでいいのである。
将棋はWat君が速攻を警戒したため、私は早期の決戦ができない。やや焦りを感じていた。

第1図以下の指し手。▲6四角△同歩▲7五銀△2四歩▲7四銀△2五歩▲2三歩(途中図)

△2三同玉▲7一飛(第2図)

じりじりとした中盤になったが、第1図から▲6四角を決行した。対して本線は△6四同飛で、以下▲7四歩△同飛▲7五銀でどうか、と考えていたが、Wat君は△6四同歩。これなら▲7五銀で、さっきの読みより1歩得している。
ここでWat君は△2四歩から飛車を取りにきた。飛車の取り合いは打った銀がボケるから私がつまらなそうだが、△2五歩に▲2三歩の一発王手が気持ちいい。
Wat君は、ええい、とばかり△2三同玉と取ったが、▲7一飛にすっかり考え込んでしまった。

第2図以下の指し手。△2二銀▲7三銀不成△3一銀▲1六桂△2九飛▲9一飛成△1四歩▲2四香△1三玉▲2一香成△4二銀▲1一成香△3一金▲2四桂△1五歩▲1二桂成△2三玉▲2四歩(投了図)
まで、一公の勝ち。

Wat君は長考の末△2二銀。▲2一飛成なら△3一金を用意し、間接的に2一の桂を守った。
私は盤面左側の桂香を拾い、それを使って今度は右端の桂香を拾う。冴えない攻めだが、下手陣にはまだ手がついていないので、十分間に合う。気をつけねばならいのは上手の入玉だが、▲1九香や▲4八銀が生きているので、ギリギリ凌げると思った。
そして▲2四歩の王手。ここでWat君が投了した。
「いやあ、入玉も考えたんだけどうまくいかなくて…」
と、Wat君の第一声だった。
感想戦は、▲6四角のあたりを軽くやったのみ。私としては妙にうまくいった一局だったが、普通のオニイサンに戻ったWat君は、本気を出してアマチュア棋客をいじめる気はなかったようである。

(つづく)
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