一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・船戸陽子女流二段⑧

2009-12-11 00:58:37 | LPSA金曜サロン
10月30日のLPSA金曜サロン、夜は船戸陽子女流二段の担当だった。
通常指導対局は4面指しなのだが、船戸女流二段は早見え早指しなので、いつも2面プラスされて6面指しになる。船戸女流二段からは早々と扇子にサインをいただいているが、サイン勝負のときと同じように勝利して、男を上げねばならぬ。とにかくこちらがアピールできるのは、将棋で勝つことしかないのだ。
前局は船戸女流二段の珍しい中飛車に、私が居飛車穴熊で迎え撃つという、いつもとは逆の戦形だった。本局は私の三間飛車に、船戸女流二段の居飛車穴熊と、いつもの対抗形に戻った。
ところでこの日はハロウィンの前日。船戸女流二段も魔女風に全身黒づくめ、カボチャ色のブーツを履いて、ハロウィン仕様だった。話が飛ぶが、この夜の食事会で、ある会員が私に
「陽子先生って、やっぱりかわいいよね」
と、しみじみと言った。彼はこの5日前に行われた社団戦の反省会でも、
「一公さん、ひろみん(中倉宏美女流二段)と陽子先生って、かわいいよね」
と語っている。ちなみに彼のイチオシは別の女流棋士である。
私もこんなところでうっかり相槌を打って、「真性陽子ファン」が増えるとめんどうなので、前回も今回も黙っていたが、まったく油断もスキもない。
将棋は、私が7筋の歩を交換し、☗7七桂とハネる。ここで部分図を示す。

43手目、私の手番だが、最初はもちろん☗8五飛と交換を迫るつもりだった。しかし☖5三銀の存在が目障りだ。これを4二に引きつけられてはかなわないので、なんとか守りから離したかった。
そこで私は☗7二歩と垂らす。☖6二銀なら大きな利かしだし、☖6四銀ならそこで☗8五飛と指して、☖6四銀が中途半端な形だから、こちらが指せると思った。
船戸女流二段は、一度は6二に引きかけた銀を、☖6四銀と上がる。私は予定どおり☗8五飛。ところが☖同飛☗同桂に、☖4五歩から☖5五歩と開戦され、私は重大な誤算に気づいた。守りから離したと思った銀が、攻め駒に変身していたからだ。
――迂闊だった。考えてみれば、船戸女流二段は猛烈な攻め将棋である。5日前の社団戦最終局で、私は松尾歩流四枚穴熊に完敗した。だからその囲いが残像として頭の隅にあったのだが、船戸女流二段にとって☖5三の銀は、もともと攻めの駒だったのだ。
本譜は☗8五飛☖同飛☗同桂☖6四銀に☗7二歩と打ったのと同じ理屈になる。こんな棋理に外れた手を指しては勝てない。ここで私の気持ちが萎えた。以下は、船戸女流二段にいいように捌かれた。ここで、いま一度局面を記してみよう。

私の☗6六歩に64手目、船戸女流二段が9九の馬を☖8九馬と寄せたところ。実はこれが投了図である。次に☖5五歩~☖5六香が厳しいから、もし下手が指すとすれば☗4七金だろうが、それは☖6七馬と引かれ、今度は☖4九馬~☖5九飛成の狙いがある。
とにかく上手にはうまい攻めがいろいろあって、とても受け切れない。だから私は投了を告げたのだが、船戸女流二段は「エッ!?」と言った。(まだ指せるでしょう?)の意であろう。そりゃあ私だって、船戸女流二段のかぐわしい香水や、ハロウィン仕様の服装を楽しみながら指し続けたい。華麗な「責め」を受けてみたい。しかし勝ち目のない将棋を未練がましく指すことは、どうしてもできなかった。
局後真っ先に、
「☗7二歩が悪手でした。ふつうに☗8五飛とぶつけるべきでした」
と言うと、船戸女流二段はそこから将棋を「再開」する。そして数手指したところで、ほかの将棋を回った。なにしろ6面指しだから忙しいのだ。
そういえば前回もこんな感じで、仮想の第2局を指したのだった。まああのときはこちらが本割で勝ったから最後まで指したが、今回は私の完敗である。船戸女流二段の温情はありがたいが、とても第2局を指す気にはなれず、私は仮想の感想戦を放棄し、盤を離れた。
これでこの日は、指導対局2連敗。考えてみれば、これは初のケースではなかったか。私は対藤森奈津子女流三段戦のときにも増して、打ちひしがれる。しかしこの日は、まだ続きがあったのである。
コメント (5)
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