冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

Jazz現代の名盤 その50

2011-12-25 18:27:42 | 息抜き
50回目ということで、1年に渡って毎週末続けてきたこのシリーズもこれを最後にしたいと思います。
最後を何にするのか。30枚目くらいを書いている時からそれとなく考えていましたが、やはりこれですな。

On Tour。既に解散してしまった、フランスのある種実験的なバンド、Prysmのライブアルバムです。

この週末息抜きシリーズをメモしていくうちに、自分がJazzに何を求めているのか整理できたように思います。
私の場合はやはり即興性とスピード、パワー。そしてそれを支えるテクニック。バカテクと言われるような技巧派は贔屓してしまう。
メロディもスピードとパワーにマッチしたもの。メロディ軽視ではないのですが、メロディだけではだめ。
例えば、耽美的でリリカルだったり落ち着いていたりというのも悪くないでしょうし、そういうのが必要な時がありますが、それは私にとってはむしろ特殊な時。
普通にJazzを聞きたいと思うときには、刺激があるものの方が明らかに好み。
だから毒のある演奏も好むし、男性的で骨太な演奏も好む。
リリカル系で日常的に聞くのはほんの2~3枚。Habaneraとか。

閑話休題、このアルバムですが、Prysmは1994年にピアノ、ベース、ドラムズの3人が皆リーダーとして動くユニットとして結成されたフランスのトリオです。
Piano: Pierre de Bethmann
Drums: Benjamin Henocq
Base: Christophe Wallemme
という鬼才3人ですが、基本的に自作曲でパワーと即興性に任せた演奏、そしてそれを支える技巧面の才能にあふれたバンドでした。
2001年に活動停止するまで、相当の毒気を含む怪演を聞かせてくれました。
とにかく即興性が前に出る。イマジネーションとやる気の塊。音の洪水。ピンと張りつめた緊張感。「私たちを見よ。聴け。」と言っているよう。
この存在感は、私のイメージではBrad Mehldauなどあっという間に凌駕してしまうと思います。

これだけ自己主張が強ければ毒気も当たり前。アクティビスト的と言うか、反体制的なパワーがあります。
まあ、あまりクリスマス向けではないです。
私の場合は、10代から20代の後半まではRock、特にBritish Rockを聴いていたのですが、Jazzを聴くときのにもその時の好みはある程度反映されるように思いますね。
King Crimsonとかが好きな人は、この"On Tour"をお勧めしますね。
フランスのバンドですが、ワインやコニャックではない。あくの強いシングルモルトやジンのイメージ。
このアルバムを聴いて楽しんでいるうちは、まだまだ自分にも十分な若さが残っているということでしょう。
老成した大人には向かないアルバムでございます。

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3 コメント

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Prysm (jag)
2012-03-12 23:28:53
Prysmの『Five』はお聞きになりましたか?昨年春に出ましたよ。先月偶然みっけて即購入!個人的には『On Tour』を聴いたときの衝撃波?が未だ消えず、ですが、『Five』もいいです。
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コメントありがとうございます (icyfire)
2012-03-13 07:33:14
jag様
コメント&情報ありがとうございます。"Five"、3人編成ではないようですが、そんなことはともかく破壊的なパワーなのだと思います。早速聴いてみます。
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再燃Prysm (jag)
2012-03-13 21:31:07
95年のファーストアルバム『 Prysm 』を、あちこちで随分探しているのですが、やはり廃盤なのでなかなか見つかりません(アマゾンのフランス版で試聴できます)。このアルバムも、きちんとした再結成というわけでもなさそうですが、いきおいにのって来日してくれないかしら…と切に願う今日このごろ。
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