冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

「族長の秋」読んだ

2011-11-17 21:17:08 | 息抜き
ガルシア=マルケスは3冊目かな。これまで比較的多くの小説を読んできたと思いますが、ラテンアメリカのものは20世紀後半に非常に評価が高まったのに反比例するように、私としては避けてきた領域でした。ボルヘスの何かを大学生の時に読んで、あまり感動しなかったせいですが。

この「族長の秋」、実は読むのに時間かかりました。
毎日読んだわけでもなく、1日数ページしか読まなかった日も多く、1ヶ月以上かかってます。
比較的速読みの私としては異常なペースですが、それは極めて読みにくい表現をあえて使っているからです。
しかも、ガルシア=マルケス的なギラギラするようなイメージが描き出されるので、頭の横のあたりが痛くなるような感じがしてきます。
文庫とはいえ350ページ以上の長編だし、この小説の世界に入り込んで集中しながら、ダレないようにして読んでいくのは結構たいへんでした。
しかし、最後の30ページくらいでしょうか。恐ろしい迫力を持ってこの長編がまとめられていきました。

権力者の孤独が描かれている、というようなことが本のカバーなどには書いてありますが、私の読みはちょっと違いますね。
真実とか愛とかいうものは、実は虚偽よりも不快だし無用のものなんだということ。でも、虚偽ってのは結局のところ、虚偽でしかないということ。
これを延々とギラギラした描写で分からせていくんですわ。この小説。
禅の枯淡、幽玄、白黒のイメージに対し、「族長の秋」は極彩色の油絵ですが、言わんとしているところは似ているようです。

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