ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

風邪薬を飲めば楽になれる?

2008年03月13日 | ひとりごと
ゆきよ@まにら。


2階建ての立派な豪邸の中を、着飾った太ったマダムが、忙しく歩いている。その家の広大な庭のゲートの外に、大勢の農民たちが押しかけて叫んでいる。「おお、そうか、お前たちも楽になりたいのか?」とマダムが2階のベランダから、なにかをばらまく。薬だ。この薬を飲めば、みんな楽になれる、というテレビの宣伝。


フィリピンはとくに田舎のほうでは、パトロンクライアント関係が残っている。パトロン・クライアント関係とは、封建的な主従関係で、地主などが自分の土地で働く農民たちの生活を保障するかわりに、農民たちは自分の地主に従順に従って働くという関係である。えてして、お金持ちの地主は搾取労働を農民に強いて、農民たちは最低限の生活をおくるのが日常となっている。少々の収入をえて、でもいざというときは地主に借金を頼めば、貸してくれるという関係だ。


ふだん、マニラに住んでいると、目の前でそんな関係をみることはないが、雇い主や地元の有力者と、従業員やその地の困窮者の間にそのような関係を感じることもある。ボスがおごって当たり前という感覚はあるし、葬式代の寄付を求めて政治家の家を訪ねるということも見られる。それで政治家がたった500ペソしかくれないと、これはどういうことだと憤慨していたりする。


でも、近代化のなかで、そのような関係はより民主的に変わっていくものであり、批判的に見られるようになるものであって、フィリピンでもそうなのだと私は思い込んでいた。そうしたら、先日、テレビのCMで、冒頭のまさに封建的主従制度が登場。テレビを見ている人々は、なにも違和感なくこの薬がほしいと思うのだろうか。。。これも、フィリピンのひとつの現実なんだと思うが、ちょっとびっくりしてしまった。




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