ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

ラミッ!(おいしい!)

2009年07月30日 | 先住民ブラアンの子どもたち
たくや@ミンダナオ

ミンダナオの先住民族ブラアン出身の子どもが多く通う山間部の小学校では、5キロ以上の道のりを1時間以上歩いて通学する子どもも珍しくありません。そんな子ども達が疲労と空腹を我慢することなく、勉強に専念できるよう、ICANは持続的な学校給食活動に取組んでいます。

この日はアイキャンが学校給食を実施している学校の1つアスパン小学校を訪問しました。



アスパン小学校にはまだ厨房と食堂がありません。今は仮の厨房で給食を調理しています。(今年中のICANの活動で、これらは建設される予定です)


(当面の厨房)

給食を調理するのはお母さんたち。交代制で担当します。
調理されていた母親ダニナさん(仮名)に話を伺いました。


(中央がダニナさん)

ICANスタッフ:今日は何時から調理を始めたのですか?
ダニナさん:朝9時から。そして今11時で終わったところよ。
ICANスタッフ:これまで何回、調理を担当されたのですか?
ダニナさん:5回かしら?私は学校の近くに住んでいるから多い方よ。遠くに住む母親が来れない場合、私が代わりに担当するの。今日もそうよ。
ICANスタッフ:調理担当を負担と感じることありませんか?
ダニナさん:そうね。週3日はゴミ山で鉄クズ拾いして家計の足しにしているんだけど、今日はゴミ山に入れない日だから大丈夫よ。それに4人の子どもをこの学校に通わす私として、この給食はとても助かっているわ。

このようにICANの給食活動はスタッフや学校の先生たちだけでなく、お母さん達の協力も得ながら、地域住民とともに進められます。



調理の様子。電気もなければ、ガスも使いません。



まずは手洗い。水場はないので、先生が上から水を注ぎます。
「早く早く!」
皆、給食が待てない様子。



配膳は先生とお母さんが担当。



いただきます!
今日の給食は「白米」と「鶏と春雨のスープ」。



ICANスタッフ: どう?
子ども達: ラミッ!(おいしい!)

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ミンダナオ島の子どもが幸せになれるように、ICANでは3つの事業を行っています。会員になっていただける方、ご寄附をしてくださる方を募集しています。

1、ブラアン族の子どもたち(特に募集中!)
http://www.ican.or.jp/gensan_feeding.html
2、紛争地の子どもたち(特に募集中!)
http://www.ican.or.jp/pikit.html
3、ジェネラルサントス市内の子どもたち
http://www.ican.or.jp/gensan.html

子どもたちの教育環境を向上させる「書き損じはがき」も募集中です。
http://www.ican.or.jp/kakisonji.html
その他、アイキャンに関する情報はアイキャンのHPへ
http://www.ican.or.jp/

すみません。妊婦はいますかー?

2009年07月28日 | ごみ処分場の子どもたち
ゆきよ@まにら。

地区巡回診療(アウトリーチ)。これはアイキャンがフィリピン最大のごみ処分場パヤタスでの保健事業の一環(JICA草の根技術協力事業パートナー型の委託事業)として行っている活動で、医師・看護士・医療ボランティアたちがクリニックから出て、自らコミュニティを周り、治療や予防接種を必要としている人々に医療サービスを提供するものだ。

この日は、ICANの看護士、医療ボランティア、保健所の看護士、ボランティアたちだけでなく、ICANの日本事務局スタッフや近くの保健所で研修中の学生も同行し、やや大人数でゴミ山近辺のコミュニティを練り歩いた。



「いってきまーす。」ICAN医療ボランティア(協同組合保健スタッフ)がにっこり。

「あそこに生まれたばかりの赤ん坊がいたはずだけど、予防接種はどうなってたかしら。」

「すみません。妊婦はいますかー?」

「この間虫下しの薬を飲んだのはこの子だったかしら。お母さんはどこなの?ちょっと呼んできてくれる?」

「医者が来たわよ。赤ちゃんいる?」

みんなで声をかけながら、患者にたどりつく。フィリピンでは赤ちゃんの予防接種に関しては、政府発行のカードがある。カードを見ながら足りていない予防接種がないか確認。肝炎や3種混合DPTやポリオなど、持ち運んできた箱からワクチンを出して、道端で看護士が注射をする。



日本では一般的ではないが、この地域では妊婦に破傷風の予防接種をする。「妊婦たち、出ておいで。」と声をかけると、恥ずかしそうに若い女の子たちが現われた。まだひとりは14才とのこと。医療ボランティアのお母さんたちが地域の問題のひとつとしてあげているのが「早すぎる妊娠」。その子は看護士のインタビューにもへらへら笑っていたので、看護士からピシリと叱られていた。「まじめに答えなさい!母親になるのはジョークじゃないのよ。おなかの子のために、しっかりしないとだめじゃないの!」

大きなお世話という意見もあるかもしれないが、ここでは、地域のなかで子どもや若者をしつけし監視する「コミュニティ」の機能がまだ働いている。

「ちょっとあんた、そこの家の赤ん坊、連れてあがってきれくれる?」
頼めば忙しい母親にかわって、近所のおばちゃんが赤ちゃんを連れてきたりもする。

生後数時間という生まれたてほやほやの赤ちゃんもいた。本当に「赤」くて、注射をされて一生懸命泣いていた。巡回診療に参加すると毎回必ず生まれたての赤ちゃんがいる。そのたびにフィリピンが多子社会であることを改めて実感できる。

ゴミ山近くのつぎはぎの家に、閉じ込められている子どもたちがいた。親たちはゴミ山に働きに行っている間、外から鍵をかけてしまうそうだ。火事なんか起きたらおしまいなのに、小さい子たちを家に置いて日々なんとか食べるために働いている両親たちを想う。開けてといわんばかりに中からドンドン戸をたたいている子どもたちの足が、小さな木製の戸の下からいくつかのぞいていた。

パヤタスのゴミ山があるところはもともと谷だったため、周辺コミュニティは急な坂道が多い。コミュニティ内を2、3時間ばかり周ると、ちょっとした登山から帰ってきたくらい疲労する。みなさん、今日もお疲れ様でした。



アイキャンコミュニティケアセンター内でも予防接種に忙しい看護士マデット。

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パヤタスごみ処分場の子どもが幸せに成長できるように、会員になっていただける方を募集しています。
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路上にあふれていく家族

2009年07月25日 | 路上の子どもたち
ゆきよ@まにら。

先日、路上教育事業の一環であるブルメントリットの診療に顔を出したときに、赤ちゃんを抱いた20歳の若い母親リーナ(仮名)と話をした。愛嬌いっぱいのその男の赤ちゃんは今10か月。頭にはいくつかおできができていて、その治療をお願いしたくて参加したという。



彼女の両親はブルメントリットの市場で野菜を売って生計を立ててきたが、稼ぎは十分でないのに父親が酒飲みで生活は大変だったそう。幼いきょうだいが物乞いをしてくれて、そのお金でなんとか自分は高校を卒業できたんだというリーナ。

4歳年上の夫と一緒になったが、立ち退きにあって、ブラカン州マリラウを再定住地として与えられたそうだ。一応そこに家があるが、結局ブルメントリットに舞い戻ってきて、マリラウには10日に一度か2週間ごとかに戻るだけだという。ブルメントリットでは路上の手押し車が彼らの住まいだ。

「だってあそこ(再定住地のマリラウ)にあるのは、ただ『空腹』だからね。」家があるからと言ってもそこに住めないと、夫が話す。

この夫がここブルメントリットでトライシクルの運転手をしてなんとか食べていっているのだそうだ。

「でもトライシクルも最近はあまり稼ぎは振るわないのよ。立ち退き前は、もっとたくさんの人がこの界隈にいたから、もっと稼ぎはよかったんだけど。。。」とリーナがぼやく。リーナも市場で売り子をして生計を手伝っている。

まだ長子が1歳に満たないというのに、次の子ができてしまったというこの若い夫婦。「えー、どうするの?大丈夫?」という私に、リーナは「そうなのよ、だからこのおなかの子を産んだらすぐにもう縛ってもらおうと思ってるの。」

この「縛る」というのは、「卵管結さつ」のことで、フィリピンでは確実で安全な避妊方法のひとつとして認識されている。でも教育を受けられなかった人たちの間では、どんな避妊方法も知らない場合も少なくないので、リーナはまだしっかり者のほうだ。



「母親から言われているのよ。自分の体を酷使してばかりじゃいけないって。だから縛るの。」

確かに子どもの数は10人以上という、体を「酷使」している女性は、フィリピンでは少なくない。

この日診療のあと、高架鉄道の下の手押し車の上で、リーナが診療でもらった薬を子どもに飲ませていた。今も雨が降っているが、あの手押し車に雨がふきこんでないだろうか。あの子の頭のおできはそろそろ良くなっただろうか。

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奨学生のお宅訪問

2009年07月22日 | ジェネラルサントスの子どもたち
たくや@ミンダナオ

先日、ミンダナオ・ジェネラルサントスのアイキャン奨学生たちは一同に集まり、日本にいるパートナーさん宛にプログレスレポートとサンキューカードを作成しました。

日本にいるパトーナーさんへ

中には都合がつかない子どもや、家庭の事情で集まりに参加できない子どももいます。その場合、スタッフが子どもの家や学校を直接訪問し、奨学生に連絡事項を伝えたり、パートナーさんへのプログレスレポートやサンキューカードを作成してもらったりします。



例えば、事務所から三輪タクシーに乗って30分ほどの場所に住むアイキャン奨学生マーク君の家は上の写真の左に写っている家より更に海に突き出た所に建っています。



青いTシャツを着たアイキャンスタッフ・シーナは実は高所恐怖症。
それでも奨学生のお宅を訪問するために、細い板の上を一歩ずつ進みます。



一歩踏み外したら真っ逆さま。



マーク君の家はこの角を曲がったところ・・・。



到着!安堵の表情を隠せないシーナ。


まだ小学生のボン君(仮名)にプログレスレポートの記入方法を丁寧に説明します。



完成!
早くパートナーさんのもとに届くといいね!

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日本にいるパートナーさんへ

2009年07月20日 | ジェネラルサントスの子どもたち
たくや@ミンダナオ

アイキャンは、ミンダナオ島ジェネラルサントス奨学生たちの近況を自ら記したプログレスレポートと、日頃の感謝を込めたサンキューカードを年2回、日本にいるパートナーさん(会員さん)へお届けしています。



ミンダナオ・ジェネラルサントスの奨学生たちにとってこの日はその作成日。
多くのアイキャン奨学生が一同に集まり、日本にいるパートナーさんに思いをはせながら、手紙の作成に取組みました。



大学に通う奨学生ダレン君が丁寧にプログレスレポートの作成方法を子ども達に伝えます。アイキャンでは、このように年長の子どもが年少の子どもに教える形で進めていきます。



親や弟が見守る中、プログレスレポートを作成する女の子。



友達と相談しながらサンキューカードを作成する子どもたち。



可愛いサンキューカードができました!
来週には、責任持って日本のパートナーさんのもとへ発送をおこないます。

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路上の子どもとドラッグ

2009年07月18日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

路上の子どもたちが最も入手しやすいドラッグの1つとして、「ラグビー」があります。これは、家のタイルや木材をくっつけるためなどに使われる接着剤で、近くの雑貨屋や本屋でも簡単に安く手に入る化学製品です。

「ラグビー」は、ガソソリンのような臭いがし、中毒がひどくなると記憶障害や精神障害を引き起こし、脳や肺に取り返しのつかない致命的な影響を与えます。それでも子どもたちは現実の問題や空腹感を忘れるためにラグビーを吸引します。常習的に吸引する子どもたちが「ラグビーボーイ」と呼ばれるくらい、ラグビーの吸引は子どもたちの間で広まってしまっています。

この「ラグビー(ドラッグ)」の危険性を子どもたちに理解してもらうため、ミンダナオ通りの子どもたち21人に、ドラッグについての勉強会を開きました。



まず子どもたちは知っているドラッグの名前と値段、どこで買えるかを模造紙に書いて発表します。2チームに分かれて書きましたが、両チームともほぼ同じ内容で、子どもたちはこのような知識を正確に持っていることが分かりました。



次に、路上のセッションを担当するリチャードが、ドラッグの影響を紙芝居のようにして説明します。どうすればドラッグの使用を避けられるかをみんなで考えました。



ドラッグは、過酷な路上で生きていく中で日々表面化する問題を忘れられたり、空腹を全く感じなくさせる効果があります。しかし、ドラッグによって一時的に現実を忘れたとしても、結果的に子どもたちの問題はさらに深刻化します。子どもたちがドラッグを吸引する際に、ドラッグについての正しい知識がブレーキとなるように情報を伝えると同時に、私たちの精一杯の愛情を示すことによって、子どもたちが「自分自身を大切にしたい」と強く感じてもらうことがとても大切です。

そして、私たちがすべきことはそれだけではありません。ドラッグを売るのは、「大人」です。大人の自覚が、子どもたちを深刻な状態に追いやっています。私たち大人が作っている世界は、本当に子どもにとっていい世界なのか、私たちは自問し続ける必要があるようです。

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紛争、そして自然災害

2009年07月16日 | 紛争地の子どもたち
ゆきも@まにら

アイキャンがミンダナオの紛争地であるピキットで校舎の建設を進めている村で、洪水が発生しました。青空教室はもとより、数少ないコンクリート製の教室も水で溢れています。子どもたちが勉強できるように、校舎の建設を急がなくてはなりません。







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紛争の影響を受け、学校に復学した子どもが安心して勉強に集中できる日が来るように会員として事業を応援してくださる方を募集しています。
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子どもたちの教育環境を向上させる「書き損じはがき」もまだまだ募集中です。
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街頭募金や書き損じハガキが2つの教室に生まれ変わります。

2009年07月14日 | 紛争地の子どもたち
ゆきも@まにら





【ブロル小学校の授業風景、
   6月の入学シーズンには教室に
         生徒が入りきらないことも】

 フィリピン南部の島、ミンダナオ島では400年以上の間、争いが続いています。その為、多くの学校が破壊されたり、あまりに危険で建てることができないでいました。

 このような状況に対し、2006年よりミンダナオ島北コタバト州ピキット郊外にある7つの集落の小学校において、学校の整備や地域の人たちが仲良くなる為の平和活動を行ってきました。今年は、その7つの小学校の中でも特に教室増築の必要性が高い、ブロル村とカバサラン村の2つの集落で校舎の建設を行い、またその2校を含む7つの村で学用品の提供を行っています。



【ブロル小学校の先生とPTAがミーティングを開き、教室の大きさや建築位置などを話し合いで決めました。】

 日本のキッズパートナーさんや寄付者を始め、アイキャンのボランティアグループのメンバーの毎月の街頭募金、書き損じハガキを集めてご協力して下さった方々、助成団体等皆さんの力が集まり、現在、日々着々と校舎の改築に向けた準備が進められています。

 ミンダナオ第2事務所(キダパワン市)のアイキャンスタッフが、毎日コミュニティを巡回し、コミュニティの人々とともに慎重に事業を進めています。その様子を随時ブログにて進捗をお伝えいたします。





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紛争の影響を受け、学校に復学した子どもが安心して勉強に集中できる日が来るように会員として事業を応援してくださる方を募集しています。
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ICANマニラスタッフにみる宗教の多様性

2009年07月10日 | スタッフとオフィス
ゆきよ@マニラ。

5月からICANマニラ事務所には、大学を出たばかりの華奢なムスリムの女の子がスタッフとして加わっています。フェアトレード担当のこのファラは、いつもヒジャブという布を頭にかぶっているのですが、その色がその日の服とコーディネートされていて、いつもおしゃれです。このあいだ、事務所の近所の人と話していて、「ああ、あなたのところは、あのムスリムの女の子がいるところね」と、言われたくらい、どうやらファラは目立っている様子。いつも静かに微笑んでいるファラですが、なんだか存在感があります。



マニラ事務所勤務のフルタイムのピノイ(フィリピン人)スタッフは、現在10人ですが、うち5人がカトリック、3人がボーンアゲインクリスチャン(日本でいえばプロテスタントの福音派)、1人がダテン・ダアンと呼ばれるキリスト教系のフィリピンをルーツとする新派。そしてファラです。つまりファラ以外はみんなキリスト教系。最近のスタッフたちの話題は、ヒジャブで隠れているファラの髪はいったいどんなんだろう、というもの。カールしてるの?ストレートなの?見せたらだめなの?とみんな興味深々です。面接のときにファラは、このヒジャブはブラとかと同じで、これをつけないと、裸をさらしているように私にとっては恥ずかしいものなのです、と言っていました。

「いつかスタッフみんなでプールに泳ぎに行ったら、ファラの髪が見れるかな?」というマニラ事務所にふたりしかいない未婚男性のうちのひとりポール(パヤタス生計向上・協同組合担当)に、「そういうときは水泳用の帽子をかぶるのよ」とファラ。「でも泊まりに行ったりすると女の子の前ではヒジャブをとることもあるわ。」「じゃあ、やっぱり僕は見れないじゃないか。けちんぼだだなあ。」とポールは不満そうですが、ファラは「たくさんの友達がいつか私の髪の毛を見たいって言ってるのよ」とニコニコしています。

新しい文化をマニラ事務所に吹き込んだファラですが、一番古株のマデット(看護師・パヤタス保健事業担当)の信仰もフィリピンではちょっと異色。ダテン・ダアンという彼女の宗派は聖書の解釈が厳しくて、女性の装いなどにも決まりがあります。だからマデットは体の線の見えるジーパンなどは決して履かず、いつもロングスカートに、ながーい髪。腰のあたりまである髪の毛をひとつに結っています。他の宗派のお祈りで捧げられた食べ物は食べないなど、食べ物にも制限あり。

日曜日にも事業地ではいろいろな行事が入ることがありますが、日曜日は礼拝の日なのでできるだけ仕事を入れるべきでないと主張するのは、プロテスタントのエド(会計担当)。

フィリピン社会の大多数を占め、マニラ事務所の半数を占めるカトリック教徒が一番いろんな制約がないみたいです。というよりか、なにが「制約」でなにが「自由」なのかは、ひとりひとりの信仰によって、解釈が違うものなのでしょう。

書き損じはがきを集めています!
http://www.ican.or.jp/kakisonji.html





路上の子どもたちの歯科検診

2009年07月08日 | 路上の子どもたち

さえ@まにら

マニラ首都圏内6ヶ所でおこなっている路上の活動地の1つにフィルコアという場所があります。この辺りは、マクドナルドや薬局、小さな市場が並び、またジープニーの発着場所でもあるため、人が多く集まり、そこで子どもたちは、お花を売ったり、物乞いをしたりして家族の生計を助けています。

今回はそのフィルコアで4才から17才の路上の子どもたち18人の歯科診療を行いました。



まず、スタッフのカービーが子ども達に歯を健康に保つことの大切さ、どのように維持するかの説明を行いました。次にソーシャルワーカーのメアンの誘導に従い、子どもたちは順番に歯科医による診察を受けました。治療のアシスタントとして、パヤタスコミュニティで保健教育を受けたお母さん達も参加してくれました。



麻酔をされ、虫歯を抜かれる子どももいましたが、子どもたちは、誰1人泣かずにがんばりました。最年少の4歳のエンジェル(下写真)も顔を歪めながらも、痛みを一生懸命耐えていました。よくがんばった!えらい!

写真2


路上の子どもたちに共通していることの1つは、「泣かない」ことです。これは、幼いころから精神的に強くなくては生き伸びることが難しい状況に置かれてきたことが背景にあります。このような子どもの感情の表現の仕方1つとっても、どのような厳しい状況で生きてきたかがわかります。

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演劇ワークショップ「ジェネラルサントスの共生」

2009年07月06日 | ジェネラルサントスの子どもたち

(表現力を引き出すワークショップ)

たくや@ミンダナオ

アイキャンのミンダナオ島ジェネラルサントスでの事業は、市内の子どもたちへの奨学金の提供、郊外の村における学校給食を中心とする地域開発だけではありません。

ジェネラルサントスは、キリスト教徒系住民が市内人口の大部分を占める一方、山間部では先住民族ブラアンの村が点在し、またイスラム教徒系住民も住む、多様性に富んだ地域です。しかし、このように多くの民族や宗教、文化の異なる人々がいるにもかかわらず、相互理解を促進する取り組みは限られており、子どもも大人も、差別や偏見、誤解を生じやすい環境に置かれてきました。

そのような状況に対し、昨年度アイキャンはキリスト教系の市内の子どもたちと山間部に住むブラアン族の子どもたちの連続ワークショップを行い、子どもたちはお互いのいいところを認め合うことができました。

そして今年は、この活動の2年目として、相互理解の経験をさらに多くの子どもたちと共有するため、子どもたちが「ジェネラルサントスの共生」をテーマに演劇をつくっています。ジェネラルサントスの人々がともに平和に生きていく重要性を訴える子どもたちによるこの劇は映像記録され、市内の多くの子どもたちが「共に生きる」重要性を学ぶことができる学校教材となります。





参加する子どもは、山間部に住むブラアン出身の子ども、市内に住むブラアンの子ども、そして市内に住むキリスト系の子どもの合計15人です。自分たちの経験を演劇にしていきます。



ファシリテーターはマニラからはるばる来てくださったプロの演劇指導者ボンさん。現在5日間の集中特訓の真っ最中です。




(歌の練習中)

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路上の子どもたちの衛生環境

2009年07月03日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

 この日は、アイキャン路上教育の6つの路上事業地の1つで、路上で働く子どもたちの家庭や住む地域の環境を把握するための面談を行いました。

 ここの路上の子どもたちの多くは、近くの橋の下に家を作って生活している家庭から来ています。ベニヤ板や鉄板を組み合わせ、道路から川に至る斜面と橋の間に家があるため、床は不安定に傾き、ベニヤ板が何枚も組み合わされているためデコボコになっています。さらに、その斜めの床の上に何段ものベッドが上に向かって作られ、そこで家族は寝ています。

 1つの家族に5人から10人の子どもたちがおり、どうやってこの狭いスペースに寝ているのだろうと、いつも不思議に思います。




(生活の様子をちょっと失礼して。。)

(路上での授業を担当しているアイキャンスタッフの一人、リチャードと子どもの会話)
リチャード:「今の生活の中で大変なことはなに?」
子ども:「雨になると、川の水が高いところまで上がってくること。」
リチャード「そうだよね。溺れてしまう子どもとかはいない?」
子ども:「みんな泳ぎが上手だから大丈夫!」



 子ども達は、墨よりも濃い色で、ひどい臭いの川を泳いでいます。

 この事業地のもっとも大きな問題は、「衛生環境の悪さ」です。衛生環境の悪さゆえに、子どもたちが体調を崩しています。仕事がない、お金がない、橋の下の衛生環境が悪い中で生活せざるをえない、病気になるリスクが高い、そして病気になっても医者に見てもらうお金がない。

 この悪循環の輪を断ち切るには、そこに暮す人々や政府、私たちみんなの少しずつの気持ちと努力、時間が必要です。アイキャンは、一人一人の子どもたちの声に耳を傾けながら、子どもたちのニーズに沿った活動を続け、この悪循環を少しでも解消する努力を続けています。



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