ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

台風による被害 ICANの対応①

2009年09月30日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

28日の朝早く、いつもセッションに参加している子どものお母さんからメールがソーシャルワーカーのジェンに入りました。
「洪水で家がすべて洗いながされてしまいました。2人の子どもが亡くなりました。私たちは助けが必要です」と。

ジェンと私は、ICANに何が出来るのか、何を必要としているのか知るために、事業地に向かいました。
「大丈夫?何が今必要?どんな状況?」みんなに聞いて回ります。
「食料を持ってきてくれた人がいるの。だから今は服が必要。すべて流されてしまったし、着ている服も濡れてしまったから。」と口々に言います。

ジェンと私は、たくさんの方から寄付でいただいていた服をオフィスに取りに帰ることにしました。大人用、子ども用、男性用、女性用、4つの大きな袋に詰めて事業地に戻ります。



まず、みんなに名前を書いてもらい、1人づつ渡していきます。1人渡すごとに、みんなから、拍手が起きます。こんな時でも、子どもたちの屈託のなさは、救いです。ICANの子どもたちと子どもたちの家族を合わせ、約90人の人たちに服を渡すことが出来ました。



明日もまた台風が近づいているようです。
今度はこのような被害が起きないことを祈っています。

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路上の子どもが幸せに成長できるように、会員を募集中です。
http://www.ican.or.jp/street.html

ご寄附の受付はこちらとなります。
(認定NPOのため、5000円以上の寄付は税制優遇の対象となります。)
http://www.ican.or.jp/members.html

子どもたちの教育環境を向上させる「書き損じはがき」も募集中です。
http://www.ican.or.jp/kakisonji.html

その他、アイキャンに関する情報はアイキャンのHPへ
http://www.ican.or.jp/


台風によるマニラの被害

2009年09月29日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

先週末にマニラを襲った台風によって、私たちの路上の事業地の1つが壊滅的被害を受け、また悲劇が静かに起こっていました。

この事業地は、橋の下に家を作って暮しているコミュニティです。9月27日(土)お昼ごろ、台風による豪雨により、川の水かさが上がり、川に近い家に浸水し始めました。家族は、家財道具をすべて、3階(家の一番上)まで持って上がりました。

夜中の12時前、予想を超えて水かさが上がり、家財道具を持って逃げるまでもなく、家から避難しました。ダムの放水により、一気に水かさが上がったとのことです。このようなケースは、初めてでそこまで水が上がってくるとは想像もしていませんでした。家が1つ1つと流され始め、ついに全ての家が流されました。水は最終的に、橋の上で膝下までになっていました。

また、この洪水による影響でICANの子ども2人が命を落としました。12時半ごろ、橋の横で2人が寝ていた場所が、川に向かって土砂崩れを起こし、2人は土砂に巻き込まれてしまいました。大人たちがライトのないなか、手で堀り起こしますが、子どもたちを見つけた時にはすでに冷たくなっていました。

【土砂崩れの現場】


この事業地の家々は、普通に道路を通っていただけでは見えない場所です。フィリピン人でさえも、「ここに家があるの?」と聞いてくるくらいです。ですが、道路からの下に繋がるハシゴをつたって降りた家々で、何人もの子どもが生まれ、育ち、肩を寄せ合って生活していました。ICANの路上教育も、近くにセンターがまだ見つからない時、この1つのお家でセッションをさせてもらっていました。窮屈ながらも、いつも笑顔の絶えないみんなの場所でした。

今家族は、道路と道路の間に簡易なテントを立て過ごしています。
いつ安心のできる家で暮せるのか、また学用品もすべて流されてしまったためいつ学校を再開できるのか、まだ全くめどは立っていません。

【簡易テントで過ごす人々】


ICANは、いつもそこに住む人々とともに、活動をしています。いつも同じ問題を同じ視線から見つめ、一緒に未来を切り開いて行きます。今のこの厳しい状況の中にいる、このお母さんやこの子どもたちの痛みは、私たちの痛みでもあります。

あっけないまでにあっさりと命を落としてしまう子どもたち。子どもたちが私たちに残していってくれた笑顔を決して忘れないとともに、この子どもたちの命を無駄にしないためにも、危険な場所で生活せざるを得ない子どもたちがいつの日か幸せに生活できるように、これからも活動を継続していきます。

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その他、アイキャンに関する情報はアイキャンのHPへ
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お母さん一人ひとりの「できること」

2009年09月20日 | 先住民ブラアンの子どもたち
たくや@ミンダナオ

この日はICANの給食学校となって3年目のサンホセ小学校において、保護者との会合を行いました。



サンホセ小学校の給食活動では、5人一組の保護者が順番に調理を担当します。

しかし最近、担当日にもかかわらず学校に来て給食調理に参加できない母親がでてきました。そこでサンホセ小学校、保護者、アイキャンの3者で会合を開きました。


話合いを進行するサンホセ小学校の給食活動担当のエリナ先生(仮名)


意見を出し合う保護者たち

自分の畑を持てず小作人として生計を立てるこの場に集まった多くの保護者にとって、子どもを学校に通わせるための昼食費を捻出するのは大変困難なこと、その課題を克服するため、年数回の調理という「できること」を持ち寄ることにより子ども達が元気に通学できる環境を築くことの大切さを、母親たちは再確認しました。


この日の調理担当にはお父さんもいました。この日のために勤め先に休みを貰ったそうです。



このサンホセ小学校は、アイキャンの給食活動を開始して3年目になります。課題が出てきても自分たちで話し合い、改善していく力が育ち、嬉しい限りです。

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ミンダナオ島の子どもが幸せになれるように、ICANでは3つの事業を行っています。会員になっていただける方、ご寄附をしてくださる方を募集しています。

1、ブラアン族の子どもたち(特に募集中!)
http://www.ican.or.jp/gensan_feeding.html
2、紛争地の子どもたち(特に募集中!)
http://www.ican.or.jp/pikit.html
3、ジェネラルサントス市内の子どもたち
http://www.ican.or.jp/gensan.html

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路上担当ソーシャルワーカー ジェン

2009年09月13日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

今回は、ソーシャルワーカーのジェンの紹介です。

小さい頃の夢はシスター(カトリック教会の修道女)になることだったというジェンは、事務所の中では、控えめですが、子どもたちの前では、頑とした強さを発揮する頼もしい存在です。



ソーシャルワーカーの資格を持つ彼女の仕事は、路上の子どもたちやお母さんのよき相談相手となり、カウンセリングを行うことが中心です。しかしその他、路上教育/保健教育のセッションの内容をストリートエデュケーターと一緒に考えたり、メディカルセッション(月に一回の医師による子どもたちの健康診断)の前には、医師とのスケジュールングや薬の買出し、また、病気の子どもがいれば一緒に病院へ行ったりと多岐に渡ります。





ジェンに仕事について、インタビューをしました。

さえ:「子どもたちとのことで一番嬉しかったことは何ですか?」
ジェン:「子どもたちが、私の誕生日にハッピーバースデーの歌を歌ってくれたことです。キスをしてくれた子や、いつも路上で売っているサンパギータという花をくれた子どももいたの。」

さえ:「一番悲しかったことは何ですか?」
ジェン:「先週のことですが、私たちの事業地の路上に暮す子どもたちが痴漢に間違われて拘束されてしまいました。子どもたちは、無実を主張しているにも関わらず、ひどく責め立てられ、私が駆けつけた時には、一人の男の子は、部屋の隅っこで泣いていたわ。路上の子どもたちは、路上にいるという理由だけで、公平に扱ってもらえないことがあるの。私も、すごく泣きたい気持ちになったけど、彼らが頼れる大人はその場には私一人だったから、行政官に、路上の子どもたちにも尊厳があり、尊重されるべきものであることを伝え、一方子どもたちには、きちっと事実を述べるように話をしたわ。」

さえ:「仕事の中でのジェンの目標は、何ですか?」
ジェン:「路上で暮す子どもたちが、自分がどうして行きたいか、考え、声を発し、行動していけるように力をつけ、いつか路上から出ること。家族の元や落ち着ける場所を一人一人が得られること。」

ジェンの強みは、強い信念を持って仕事をしていること、そして不器用な部分もあるけど、少々のことでは、へこたれない強さだと思います。このような一人一人のスタッフの力にアイキャンの路上事業は支えられています。

最近、日本語も勉強中のジェン。一緒に道を歩いていると「トンデ」と言って、一人飛び跳ねたり、とてもおちゃめな一面も。





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「僕もかつて、君たちと同じように路上にいたんだ。」

2009年09月06日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

ICANでは、今路上にいる子どもたちへの教育活動と同時に、元路上にいた子どもたちの教育支援も行っています。フィリピンのパートナーNGOの「こどもの家」で、彼・彼女らは、学校に通いながら暮しています。

その中の一人、ロナルド君(仮名)17歳に、現在も路上にいる子どもたちに自らの経験を話してもらいました。



ロナルド君の話
「僕もかつて、君たちと同じように路上にいたんだ。ラグビー(シンナー)も吸っていたし、スリなどの悪いこともしていた。でも刑務所の中にいた時に、施設に誘われてから僕の人生は大きく変わった。最初は、お腹いっぱいになったら逃げ出そうと思っていたけど、このこどもの家には僕の必要としているものすべてがあったんだ。

こどもの家での生活を始めて、ラグビーを止めようと決めてから、僕は、空腹感や寂しい気持ちや嫌な気持ち、ラグビーを吸う事で忘れようとしていた気持ちを、すべて受け止めることにした。お腹がすいたら誰かにご飯を下さいといい、寂しい時は、誰かに側にいてもらうように言うことにした。ラグビーを吸うと勉強も仕事も考えることさえも、出来なくなる。そして自分の人生をダメにしてしまうから。

路上にいた時は、毎日を生き延びるだけで、将来のことなんて考えられなかった。でも学校に通い、僕は社会のいろいろなことを学び、今、警察官かソーシャルワーカーになりたいって夢をもってる。学校では年下の子どもと混ざって授業を受けているけど、僕は恥ずかしいなんて思わない。僕にとって必要なことだし、学ぶことはいつからだって始められるから。

だから、みんなもラグビーを吸うのを、どうか止めて欲しいと思う。勉強を始めることを恥ずかしいと思わないで欲しい。自分の人生と向き合って欲しいと心から思う。」

子どもたちは、真剣に時にうなずきながらロナルド君の話を聞いていました。ロナルド君の今の様子から、ロナルド君が昔ラグビーを吸っていたなんて信じられない、僕もロナルド君のようになりたいと、子どもたちはとても気持ちを動かさていました。

そして最後にラグビーを吸わないように精一杯努力するとロナルド君に約束しました。

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