ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

うれしかった瞬間 楽しかった瞬間 -絵手紙に見える文化

2008年10月26日 | 子どもの参加
ゆきよ@まにら。

以前にも紹介したが、今年日本とフィリピンで絵手紙大会を開催している。子どもたちにとってのうれしい楽しい経験を絵に描いて、メッセージを沿え、それを日比で交換しようという活動だ。フィリピンでは、ICANの各事業地や、各地の小学校・高校の子どもたち2500人以上が参加した。

集まった絵は、カラフルなものから、丁寧な鉛筆書きのもの、大人顔負けの上手なもの、解読の困難なものまで多種多様で見ていると楽しい。どんなときに子どもたちが楽しかった、うれしかったのかは、だいたい似かよっているものの、子どもの置かれた状況や階層によって差があって興味深い。

ミドルクラスの子どもたちが通う学校から提出されたものには、コンピューターゲームをしている様子や、DSが描かれているものもあった。公立高校の学生は、小学校を卒業できた様子を描いている子がとても多かった。以下の白いトゥガと呼ばれる帽子は、フィリピンの卒業式につきもの。首にはメダル、横に付き添うのはおそらく母親と思われる。保護者と一緒に行進したときの様子だ。日本とは違って、経済的な理由からドロップアウト(落第・退学)してしまう学生が多いフィリピン。なんとか卒業式を迎えられた日は、子どもにとっても忘れられないうれしい日だったことがうかがえる。



元路上にいた子どもは、現在暮らしている保護施設の周りの様子を描き、うれしかったのはこの「子どもの家」に来れたこと、と説明書きをしていた。きれいな景色を描いて「○○に家族みんなで行ったこと」とあるものも多かった。



これは、田舎のおばあちゃんに行ったときのこと。フィリピン水牛「カラバオ」が描かれている。今も農耕に使われる家畜だ。



こちらは、海に行ったときのこと。海やプールに泳ぎに行った思い出を描いたものは多かった。並んで多数描かれていたのは、自分や友人、親戚の誕生日の様子、そしてクリスマスの様子だ。フィリピンはパーティ大好きで、赤ちゃんの洗礼式、誕生日、クリスマス、結婚式、あるいは何もなくても「リユニオンだ」と言って、家族親族がよく集まって食べてしゃべってうたって踊ってすごす。子どもたちがそれらをどんなに楽しんでいたか、絵手紙を通してみることができる。





もっとたくさんの子どもたちのうれしい楽しい瞬間は、展示会でどうぞ。マニラにいる私はまだ日本の子どもたちの絵を見ていないのだが、きっと日比の差も面白いだろうなと思う。

展示会は、名古屋市イオン大高店の一角をお借りし、SPP/Sunny Sideさんのご協力の下、来週火曜日からスタート。
以下お知らせまで。

■イベント名 「あいちモリコロ基金助成対象事業:
TULAY PROJECT 地球の架け橋絵手紙プロジェクト 展示会」
開催日 :2008年10月28日(火)~11月3日(月)文化の日
時 間 :10:00~22:00 (イオン専門店街 開店から閉店までの時間)
会  場 :名古屋最大のショッピングモール イオン大高ショッピングセンター内
     一階ジャスコ隣のエスカレーター前ブルーコート
     住所: 〒459-8001 名古屋市緑区大高町字奥平子1-1
     アクセス→(http://www.aeon.jp/sc/odaka/access.html
参加費 :無料
内 容 :
ICANでは「支援する側」と「援助を受ける側」という関係ではなく、同じ人間として理想の社会を「ともに」作り上げていく「子どもの参加」の活動に取り組んでいます。今回の「子どもが作る新しい地球のカタチ~地球の架け橋絵手紙プロジェクト~」は、これからの未来を担う日本とフィリピンの子どもたちが一緒になって「どんな地球に住みたいか」を考えてもらうことを目的として実施しており、すでに日本とフィリピンから心のこもった「楽しい、嬉しい瞬間」の絵手紙、5,000枚以上が集まっています。展示会では様々な背景を持った(*)子どもたちによっ
て描かれた作品が鑑賞できるだけではなく、愛知県内の中学生であれば、「理想の社会」を描く活動に参加できます。あなたも一緒になって「理想の社会」を思い描いてみませんか。

(*)愛知県やフィリピンの学校に通うこども(青少年)に加えて、ICANの事業地から路上のこども、ごみ処分場のこども、先住民族のこども、紛争地のこどもなどなど。

この事業のページ:http://www.ican.or.jp/childrens_participation.html

ICANのページ:http://www.ican.or.jp/

このプロジェクトの詳細はICANのHPをご覧頂くか、電話又はメールでお問い合わせください。

主催・問合せ先:特定非営利活動法人アジア日本相互交流センター・ICAN(アイキャン)
 住所:愛知県名古屋市中村区松原町1丁目24番地COMBi本陣N103
 電話番号: 052-908-9314
 E-MAIL: :info@ican.or.jp
制作協力:SPP/ SUNNY SIDE
 住所:愛知県名古屋市中区大須2丁目8-32
 電話番号: 052-618-9270 (SPP)/9269(SUNNY SIDE)
 *本事業の問い合わせ先は、主催団体へお願いします。
会場提供:イオン大高店


いよいよ来週は子ども議会

2008年10月21日 | 子どもの参加
ゆきよ@まにら。

これまでさまざまなICAN事業地で、子どもたちの声に耳を傾けるワークショップを行ってきました。来週はそれらの子どもたちの代表30人(11歳から17歳)がマニラに一同に会して、子ども議会を開きます。



【パヤタスの子どもたち】


【ピキット(紛争地)の子どもたち】



【サンイシロ(先住民族)の子どもたち】


【ブストス(路上にいた)の子どもたち】


パートナーNGOの、障がいを持つ子どもたちや、日本とフィリピンの間の子どもたちも集まります。子どもたちはわくわくどきどき。ミンダナオからはじめてマニラに出てくる子たちもいます。スタッフは準備にばたばたです。

議会では各コミュニティ代表の子どもたちが、それぞれの経験をシェアし、互いの理解を深め、一緒にあるべき社会のあり方を描き、自分たちのできることを考えます。子どもたちがどんな「地球のかたち」を描くのか楽しみです。


ジェンサンの野菜たち~続き~

2008年10月20日 | 先住民ブラアンの子どもたち
まい@まにら。

学校菜園の野菜第3号。

こっちは立派。既に収穫できるほどに大きくなっています。
十六ささげ(Sitaw)です。



学校菜園の野菜第4号。
しゃくし菜(ペッチャイ)です。



早速お母さんが収穫。「採れたての野菜が一番おいしいのよ」
かぼちゃなどと野菜炒めにしたり、スープに入れます。

このほかにも、チリやユウガオ(ウポ)もできています。(上がチリ、下がユウガオ)





ユウガオは、キュウリと瓜の中間のような感じでやわらかい触感です。
こちらもスープや炒め物に使います。



いっただきまーす。



お食事中。真剣、真剣。

こうして、今年からはじまったダバアンワンワン小学校での菜園活動は、順調にすすんでいます。ブラアン族の子どもたちが通うこの学校で地域住民とICANが行っている学校給食活動を、今後自分たちだけで行っていけるようになるためのチャレンジが続いています。みなさん、どうぞ応援してください。

「先住民族ブラアンの子どもたち」とともに行う教育事業

「自分」を意識化するワークショップ① ~自分について考える~

2008年10月17日 | ジェネラルサントスの子どもたち
まい@まにら

6月20日、ジェネラルサントス市内の宿泊施設で、ICANキッズ(高校生)を対象としたワークショップが行われました。
午後4時半、授業を終えたICANキッズたちが続々と町の中心部にあるオヴァルプラザに集まってきました。 その後、激しい雨のため、最終的に全員が集まったのは午後6時。そこから宿泊施設に移動して6時30分、ICANキッズの一人、ザグちゃん(仮名)による開始のお祈りの後、講師(ICANマニラスタッフ)によってワークショップおよび宿泊施設での規則が説明され、ワークショップが開始しました。

このワークショップは、子ども達が自分自身又は自分の置かれている状況を意識化し、それを言語化することによって他の子ども達と共有することを目的としています。

ジェネラルサントスでのICANキッズを対象としたワークショップは今回が初めてだったこともあり、初めはグループで何かをするということ自体に抵抗を感じた子ども達もいました。

まずは子ども達は「リーダー」の定義について話し合います。しかし、参加した子ども達は人前で発表することを恥ずかしがってなかなか意見が出てきませんでしたが、話し合いの結果、リーダーとは「先導する人、同士・仲間が付いていく人、高いところにいる人、指示をする人」という定義が出てきました。

この定義のように、自分たちの経験や思いを表現もしくは言葉にすることによって、参加した子ども達が「沈黙」を破ること、そして社会の中で闘っていくために必要な「自信」につなげること、そのきっかけになれるようにワークショップではいくつかのアクティビティが用意されました。

まずは、くじ引きで、男女混合の5人づつのグループに分かれ、2日間の施設での役割分担が行われました。 (トイレ掃除、部屋掃除、朝食準備、部屋の監視役など)

そして、いよいよメインアクティビティに入ります。まずは、自分の名前について一人ずつ発表します。自分の名前の由来と、その名前について自身がどう感じているかを発表します。(詳細はコチラ

少し皆が和んできたところで、次のアクティビティは、自分の強み・弱みについて。
参加者の多くは、これまで、改まって自分の弱いところや強いところを考ることがなかったと言います。この「自分について考える」アクティビティについて、子ども達は以下のように感じたようです。

「(みんなの前で発表できたことは)嬉しかったけど、自分について考えるプロセスで、これまでの自分の人生で起きた辛かったことなども思い出して悲しくなった。」

「心の中で考えていたことを出すことができてよかった。」

「本当に思っていることが書けておもしろかった。」

「色んな感情が入り混じった。緊張したし、自分の強み、弱みについて書いたのは初めてで自分について書くことに難しさを感じた。」

「難しかったし、普段はあまり話をするタイプではないので今回のようにたくさんの人と一緒に何かをする機会がないので緊張した。」

「隠れていた自分の性格や能力に初めて気がつき、恥ずかしかった。」

「感情を表に出したのは初めてで恥ずかしかった。」

「自分もやればできるということがわかり、また自分の強みや人生を見つめ直すことができて楽しかった。ただし、過去の辛かったことも思い出し、悲しかった。」

自分という人間について、そして自分を取り囲んでいる家族や環境について改めて考えてみたことで、一日目の夜は興奮して眠れない子もいました。しかし、自分達の考えを共有し、人の考えを共有することで、一日目を終わるころには他の子ども達との連帯感のようなものが生まれていました。

続きはまた後日・・・。

カード作り ピキット事業の日本のパートナーの方々へ

2008年10月16日 | 紛争地の子どもたち
ゆきよ@まにら。



先月ICANのピキット事業地の小学校は、ひどい洪水に見舞われていましたが、中でもいち早く水が引いたタリタイ小学校に子どもたちが集まり、日本のパートナーのみなさんへ送るためのカード作りを行いました。


【タリタイ小学校をバックにリーダー的存在の先生】


【昨年のICAN事業で作ったミニ図書館】


【この図書館の中も膝まで浸水し、本を本棚から移動】


今月、ニュースレターとともにピキットキッズパートナーの方々へこれらのカードもお送りします。どうぞお楽しみに。



フォルム設計さん@岡山市主催のイベントにお邪魔します!

2008年10月09日 | お知らせ
ゆきも@おかやま

現在、実家のある岡山県に帰省中のゆきも@まにらです。
清々しい日本の秋空の下で、普段、マニラの排気ガスで汚れきった肺を吐き出しながら、2日後に控えているイベントの準備に励んでおります。

岡山市のあちこちに素敵で洗練されたスペース創りを手がける企業「フォルム設計」さんの主催イベントに招待され、以下の内容で帰国報告会を行います。
おかげ様で、既に定員30名を超える方々から、参加お申込みをいただいております。

フォルム設計さんHP
http://www.form-design.co.jp/

フォルム設計さんは、これまで住宅設計を通して「豊かさ」や「人とのつながり」について、多くの人々とともに歩んでこられました。

この度は、会場をご提供いただくだけではなく、主催企業として、広報・講演内容・イベントコンセプトに関してのアドバイスなど、さまざまな面できめ細やかなサポートをいただいています。

ちなみに会場となるのは、フォルム設計さんのショールーム(bo-form:ボーフォルム)です。(わたしがお邪魔するのはちょっと気が引けるような)想像力をかきたてられる空間です。

bo-form(ボーフォルム):フォルム設計さんのショールーム
http://www.bo-form.co.jp/

普段マニラで生活していると日本の企業の方、しかも建築家の方や設計事務所で勤務されている方とお会いする機会は全くありません。しかし、一見、何も接点がない職種、と思いきや、一旦気さくなスタッフの方々とつながってみると、学ぶことがとても多いことに感動しました。

フォルム設計さんはパヤタスや世界で起きている問題について「わたしたちも理解を深めるべき問題」と真剣に捉えています。

http://www.form-design.co.jp/bo-form/2008/10/ngo.html

今回12日のイベントで、フォルム設計さんに係わる人々とともに、もう一度パヤタスで起きている「わたしたちの問題」について考えたいと思います。

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10月12日岡山市でのイベント詳細はこちらを!(フォルムさん作成)
http://www.ican.or.jp/081012.pdf

ラマダン明け

2008年10月01日 | 紛争地の子どもたち
ゆきよ@まにら。【写真はピキット事業地の子どもたち】

今日はラマダン明けの祝日で、フィリピン全国お休みとなった。イスラムの人々は、断食の季節を終えて集まってお祝いを行う。断食によって清められた状態なのだそうだ。

ミンダナオ島で断続的に続いている内紛が、ラマダン明けに本格化するといわれている。4日前もその準備の前触れかのように、たくさんの戦車がキダパアンの街を移動していた。政府軍、反政府軍だけでなく、ボランティア住民たちも武装し準備をすすめている情報が入ってきている。

現在ICANではフィリピンの子どもたち2500人、愛知県の子どもたち2500人が参加する絵手紙大会を実施中である。「僕わたしの楽しい瞬間」を描き、その下に一言メッセージを書いて、日比の子どもたちがその絵手紙を交換する。この絵手紙の絵やメッセージは、子どもたちの階層や境遇を反映したものになっているのが興味深いのだが、9月半ばにピキットの子どもたちが作った絵手紙には、「平和」を求めるメッセージがたくさん書かれていた。

「I want PEACE not WAR. 戦いではなく、平和がほしい。」
「I do not want rebellion! 暴動はいやだ。」
「Please tell MILF and Army to stop war.MILFと国軍に戦争をやめるように言ってください。」

"I want PEACE!" いわゆる平和集会でよく使われるフレーズかもしれないが、弾丸を逃れて避難生活を経験した子どもたちが書くとき、この言葉は重みもってその切実さを伝えている。

ラマダン明け、平和を望む子どもたちの思いがまたふみじられるのか。戦いや災害でいつも最も大きな被害をうけるのは、社会の中の「弱者」である。ムスリムもクリスチャンも平和を保って共存したきた地域に、外から戦いが持ち込まれ、疑心暗鬼や憎しみが作り出されていく。その大きな流れに、ただ平穏な暮らしを望んでいる子どもたちの思いもかき消されていくのか。私たちはそれを許さない。それを許さない人々がいることを示していくこともまた、平和を作っていくひとつのプロセスにもなりうると信じている。

ICANのミンダナオにおける事業については以下のとおり。
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/e/4a0725d4279ee56821a8347cb16889b6

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絵手紙大会について

■イベント名 「あいちモリコロ基金助成対象事業:
TULAY PROJECT 地球の架け橋絵手紙プロジェクト 展示会」
開催日 :2008年10月28日(火)~11月3日(月)文化の日
時 間 :10:00~22:00 (イオン専門店街 開店から閉店までの時間)
会  場 :名古屋最大のショッピングモール イオン大高ショッピング
センター内一階ジャスコ隣のエスカレーター前ブルーコート
     住所: 〒459-8001 名古屋市緑区大高町字奥平子1-1
     アクセス→(http://www.aeon.jp/sc/odaka/access.html
参加費 :無料
内 容 :
ICANでは「支援する側」と「援助を受ける側」という関係ではなく、同じ人間として理想の社会を「ともに」作り上げていく「子どもの参加」の活動に取り組んでいます。今回の「子どもが作る新しい地球のカタチ~地球の架け橋絵手紙プロジェクト~」は、これからの未来を担う日本とフィリピンの子どもたちが一緒になって「どんな地球に住みたいか」を考えてもらうことを目的として実施しており、すでに日本とフィリピンから心のこもった「楽しい、嬉しい瞬間」の絵手紙、5,000枚以上が集まっています。展示会では様々な背景を持った(*)子どもたちによって描かれた作品が鑑賞できるだけではなく、愛知県内の中学生であれば、「理想の社会」を描く活動に参加できます。あなたも一緒になって「理想の社会」を思い描いてみませんか。

(*)愛知県やフィリピンの学校に通うこども(青少年)に加えて、ICANの事業地から路上のこども、ごみ処分場のこども、先住民族のこども、紛争地のこどもなどなど。

この事業のページ:http://www.ican.or.jp/childrens_participation.html
ICANのページ:http://www.ican.or.jp/

このプロジェクトの詳細はICANのHPをご覧頂くか、電話又はメールでお問い合わせください。

主催・問合せ先:
特定非営利活動法人アジア日本相互交流センター・ICAN(アイキャン)
 住所:愛知県名古屋市中村区松原町1丁目24番地COMBi本陣N103
 電話番号:052-908-9314
 E-MAIL: :info@ican.or.jp
制作協力:SPP/ SUNNY SIDE
 住所:愛知県名古屋市中区大須2丁目8-32
 電話番号:052-618-9270(SPP)/9269(SUNNY SIDE)
 *本事業の問い合わせ先は、主催団体へお願いします。
会場提供:イオン大高店